ビットコイン相場と金融マーケット
1日の暗号資産(仮想通貨)市場。ビットコインは、前日比+5.57%の402万円(36,700ドル)と反発した。
足元ではレンジ内で推移しつつ保ち合いを形成しており、上下どちらに抜けるか注視される。
株と同様に「金融バブル崩壊論」も台頭する中、今年の強気トレンドを支え役割転換した上値抵抗線(①)と年初来安値27,678ドル=約300万円(②)の狭間に揺れる仮想通貨市場。強気筋と弱気筋の思惑が交錯しやすい価格帯と言えそうだ。
引き続き際どい情勢にあり、弱気トレンドが長期化すれば、1BTC=2万ドル以下水準も視野に入れる必要はある。一方、こと需給面においては、3年前の仮想通貨バブルよりも遥かに好転しており、単純比較はできないだろう。昨年5月の「半減期」を経て希少価値が大幅上昇したほか、規制当局による環境整備、2020年以降のDeFi(分散型金融)市場の成長や米大手上場企業及び機関投資家の相次ぐ参入によって市場構造は激変している。
2017〜2018年の相場は、個人投資家及びデリバティブ主体の未成熟な市場でICOバブルが過剰に膨らみ、そして弾けた経緯がある。
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個別銘柄の動向
ビットコインの反発に伴い、CMC時価総額2位のイーサリアムが前日比+16.5%と高騰。DeFi(分散型金融)銘柄も全面高の様相を呈した。
CMC時価総額10位のユニスワップ(UNI)が前日比15.1%の28ドルまで反発したほか、CMC時価総額40位のPancakeSwap (CAKE)が前日比+18%の18ドル、CMC時価総額26位のAAVEが前日比+21.4%の380ドルに。年初よりDeFi市場の恩恵を受けて躍進したバイナンスコイン(BNB)も、前日比+11.7%の350ドルまで上昇している。
主要銘柄では時価総額6位のXRP(リップル)が強めに切り返し、前日比+18.1%の1ドル水準を再び回復した。急落の反動による自律反発のほか、XRPの有価証券問題をめぐり、SEC(米証券取引委員会)と係争中の裁判で、Ripple社にポジティブな判断が下されたことが材料視されたものと思われる。
長期保有者の蓄積行動も
5月31日に掲載されたGlassnodeの週次レポートによれば、直近の市場環境にて、一部のビットコイン長期保有者(5ヶ月以上)の損益分岐点を下回り始めている。
上図では、青のゾーンが長期保有者、赤のゾーンが短期保有者としてグルーピングされている。
「濃い青」は、2021年より前に購入・保有した投資家が含み益状態にあることを示しており、市場に供給された全ビットコインの内69%を占める大口投資家がメインだと想定される。
「薄い青」は、BTC供給の0.5%ほどのボリュームで、1月初旬にかけて購入した層に該当するが、含み損に転落し始めていることがわかる。
市場供給量の4.5%を占める短期保有者の分類では、利益を上げる「濃い赤」のグループはトレンド転換の影響で大幅に落ち込み、「薄い赤」は26%が含み損状態にあることを示した。
ビットコインの利益率を表すオンチェーン指標「Spent Output Profit Ratio(消費支出利益率)」を確認すると、現在の市場構造は、2020年3月のコロナ・ショックを上回る水準の損失額も目に留まる。
採掘業者(マイナー)や長期保有者が急落時の押し目買いに動いた一方で、損失に耐えかねた短期保有者の「降伏」を示しているという。
同指標は、BTC売却時の価格を購入時の価格で割って算出するもので、1.0を超えている場合は投資家の「利確」を、1.0を下回った場合は投資家が「損切り」していたことを意味する。
なお、CoinPost提携メディア「The Block」の統計データによれば、イーサリアム2.0のステーキングコントラクトに預け入れられた累積額が500万ETHを突破した。
6月1日時点で、136億ドル(1.5兆円)に相当する520万ETHがデポジットされているが、特筆すべきは、4月中旬に相場が天井を打ち暴落した後で、むしろETHの流入ペースが加速している点だろう。
デポジットコントラクトとは、ETH2.0の心臓部にあたるビーコンチェーン上で、ステーキングを行うための契約機能である。「32ETH」を預け入れ、バリデータノードを運用することで報酬を得ることができる仕組みにより、インカムゲインを目的とした長期保有インセンティブが働きやすい。