はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

エルサルバドルで可決したビットコイン法、国際送金企業への影響は

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

送金大手への影響

中米エルサルバドルが先週、世界で初めて暗号資産(仮想通貨)を法定通貨と認めた「ビットコイン法」を可決したことで、各国に波紋が広がっている。

6月上旬、米マイアミで開催された過去最大級のビットコイン(BTC)カンファレンスでは、エルサルバドルのブケレ大統領がサプライズ出演。ビットコインを法定通貨と認める法案を提出する方針を示し、仮想通貨送金企業StrikeのJack Mallers CEOは、同国の年間GDPの40.7%が海外送金に頼っていることなどを明かしていた。

関連:【全文】ビットコインの法定通貨検討、エルサルバドル大統領のスピーチを日本語で読む

エルサルバドルはこれまでも国際送金にこれまで大きく頼ってきたが、中南米諸国の政治家とは対照的に、送金企業らは仮想通貨の導入に二の足を踏んでいる現状がある。

リサーチ企業Autonomous Researchの決済・フィンテック部門のKenneth Suchoskiアナリストは、以下のように分析した。

送金業界の担う送金額の大半は、先進国から、現金を多く用いる新興市場の家族や友人への送金が占める。

ビットコインが導入されず、広く受け容れられない限り、このような送金業者は今後数年間は活躍するだろう。

Suchoski氏の分析によれば、コロナ禍で非接触型決済など、モバイルマネーを介した2020年の国際送金は前年比で65%も上昇し、120億ドル(1.3兆円)を記録した。

グローバルの国際送金額5,000億ドル(55兆円)の内、1%以下の取引量が現在仮想通貨を利用していると言及。ただ長期的には、仮想通貨を利用した国際送金の年間送金額の割合は増えていくだろうと予想した。

送金業界の最大手ウエスタンユニオンは、過去にも仮想通貨XRP(リップル)を利用した送金テストを行ったことがあるが、仮想通貨を利用した使用事例で大幅なコスト削減は見られておらず、実際の導入には踏みとどまっている現状がある。

一方、米決済大手のマネーグラム社は5月、米国内で現金でビットコインを売買できるサービスを12,000拠点で開始。長期的には対象地域と銘柄を拡大する方針を示していた。

マネーグラム社はロイターに対し、以下のコメントを送付した。

我々は、ビットコインをはじめとするデジタル通貨と、法定通貨をつなげるブリッジ(架け橋)を構築した。仮想通貨やデジタル通貨が隆盛を極める中、成長への主要な障壁は地域毎の法定通貨へのオン/オフランプになるだろう。

関連:送金大手マネーグラム、米国でビットコインを売買できるサービス提供へ

仮想通貨のメリット・デメリット

国際送金において仮想通貨を利用するメリットの一つは、送金コストの低下だ。

世界銀行の調査によれば、2020年4Q(第4四半期)における平均送金手数料は約6.5%だった。ただ、これは国連の掲げる2030年までのSDG’s(持続可能な開発目標)を上回っている。対照的に、銀行口座を持たないアンバンクト層が多いナイジェリアにおけるビットコインの送金コストは平均で2%から2.5%を記録している。

持続可能な開発目標(10-C)

2030年までに、海外労働者が、自国にお金を送る時にかかる費用が「送金額の3%」より低くなるようにし、「送金額の5%」を超える送金方法をなくす。

参照:UNICEF

一方で、仮想通貨導入の足かせとなっているのは、資金洗浄対策(AML)やテロ資金供与対策(CFT)などの送金企業のコンプラコストも考えられる。

多くの仮想通貨企業はコンプラ基準を高めるために、ユーザーIDの証明などのステップを要求しているが、仮想通貨が違法取引に利用されている点を懸念視して導入を見送る企業もあるとSuchoski氏は指摘している。

広まるビットコイン支持の声

ビットコイン・カンファレンスでの発表後、同じ週に議会提出、法案の可決とスピーディーだったエルサルバドルのビットコイン法。国民の7割が銀行を持たないこともあり、金融包摂の向上を背景に仮想通貨を支持したブケレ政権の対応は中南米諸国から共感を得て、中南米をはじめ、複数国家の政治家がSNS上でビットコイン支持を示した。

また、13日には東アフリカ・タンザニアのHassan大統領も仮想通貨・ブロックチェーン領域の開発を中央銀行に進めるなど、中小規模の国家などから仮想通貨に前向きな姿勢が伺える。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/01 月曜日
18:34
日経グループQUICK、ビットコイン指数の算出開始
QUICKは12月1日、円建てビットコイン指数の本格公表を開始した。試験運用から更新頻度を毎日に引き上げ、12月22日からはリアルタイム指数も提供する。暗号資産ETFなどでの利用を想定。
17:07
イーロン・マスク氏「エネルギーこそ真の通貨」、ビットコインは基づくと主張
テスラCEOのイーロン・マスク氏が「エネルギーこそ真の通貨」と主張し、ビットコインはエネルギーに基づいていると説明。一方、著名経済学者やピーター・シフ氏は「本質的価値がない」と批判を続けている。
17:01
政府・与党、暗号資産の分離課税導入を検討へ 調整開始─NHK報道
政府・与党が暗号資産投資の分離課税化を巡り調整に入ったとNHKが報道。現行は最大55%の総合課税で、制度見直し議論が年末の税制大綱へ進む見通し。
16:26
「チェーンリンク」の将来性は?トークン化市場に必須インフラ
チェーンリンク(LINK)の将来性を解説。2030年に16兆ドル規模が予測されるトークン化市場で、既存金融とブロックチェーンを接続するオラクルとして80%超のシェアを獲得。SWIFT・J.P.Morganとの提携事例も紹介。
16:00
スイ(SUI)のステーキングで高利率なのは?自分で行う方法と取引所比較
SUIのステーキング方法を徹底解説。取引所(年利最大4.28%)、ウォレット、リキッドステーキングの3つの運用方法を比較表付きで紹介。初心者向けのOKCoin Japanから、Slushウォレットでの自己管理、Haedalでの高度な運用まで、リスクと利回りを考慮した最適な選択をサポート。
15:55
ワールドコインの本人認証方法|マイナンバーカードでWLDを受け取る手順を解説
ワールドコイン(WLD)がマイナンバーカードでの本人確認に対応。World Appでの認証手順を画像付きで解説。所要時間約5分で完了し、Orb認証済みの方も追加のWLDを獲得可能。受け取ったWLDの現金化・運用方法も紹介。
15:43
ソニー銀行、米ステーブルコイン事業化に向けBastionと業務提携 子会社設立も視野に
ソニー銀行が米Bastionと業務提携し、米ドル建てステーブルコインの事業化を推進。日経報道によると2026年度の発行を計画し、ソニーグループの「経済圏」での決済活用を目指す。米国子会社設立とOCC銀行免許取得も視野に。
15:35
Ginco、Babylon Labsと提携「BTCFi 2.0」を推進
GincoがBabylon Labsと提携し、第三者への預託なしでBTCを活用できる「BTCFi 2.0」を日本で推進。業務用ウォレットGEWからBTCステーキングが可能に。
14:26
カザフスタン中銀、仮想通貨投資を計画 最大約470億円規模
カザフスタン国立銀行(中銀)のティムール・スレイメノフ総裁は、金・外貨準備ポートフォリオの一部として、仮想通貨へ最大3億ドルの投資を検討していると発表した。
11:47
テザー社CEO、S&PによるステーブルコインUSDT格下げに反論 余剰資本を強調
テザー社CEOがS&PによるステーブルコインUSDTのドルペッグ機能評価の格下げに反論した。余剰資本や米国債利回りを考慮していないと指摘している。
11:07
ヤーン・ファイナンスのyETH製品に攻撃、約4億5000万円相当が流出
イールド・ファイナンスのyETH製品が攻撃を受け、約4億5000万円相当のETHが流出。攻撃者は無限ミントの脆弱性を悪用し、約1,000ETHをTornado Cashに送金。V2・V3ボールトは影響を受けず、yETH保有者は安全に引き出し可能に。
09:15
中国人民銀行、仮想通貨取引の厳格取締を改めて要請、ステーブルコインも警戒対象
中国人民銀行が仮想通貨取引の取締強化を改めて各当局に要請した。仮想通貨関連活動の再活発化が背景にあるとみられ、ステーブルコインも警戒対象としている。
09:03
コインシェアーズ、XRP・ソラナ・ライトコインのETF申請を取り下げ
欧州大手のコインシェアーズが、XRP・ソラナ・ライトコインのETF申請を取り下げた。米国市場での大手運用会社への集中により、差別化や利益率確保が困難になるとの懸念を示し、ナスダック上場を控え、仮想通貨関連株式やアクティブ運用戦略など新商品の投入を計画している。
11/30 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、金持ち父さん著者キヨサキのBTC売却やソラナとXRPのETFの好調など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナなど主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
12:00
DeFiで株式市場はどう変わる? Progmat齊藤達哉氏が語るオンチェーン金融の未来|独占インタビュー【後編】
Progmat齊藤達哉氏インタビュー後編。議決権付きトークン化株式で日本が世界初となる理由、2028年施行を目指すトークン化法のロードマップ、DeFi・AIエージェントを見据えた将来ビジョンを聞いた。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧