ビットコイン相場と金融マーケット
16日の暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン価格は、前日比-3%の350万円(31,860ドル)と続落した。
午前3時頃には31,000ドルまで下落するもその後切り返すなど、一筋縄ではいかない情勢が続く。
形的にはジリ貧となっており、3万ドルを下抜けた場合、大幅下落する可能性もあるため注意したい。中途半端な位置で徐々に下落するよりも、出来高を伴った急落から反発した方がトレンド転換は見込みやすい。
米大手決済企業PayPalが、利用者の購入制限を週2万ドルから10万ドルまで5倍に引き上げたことは、市場にとって追い風だろう。
PayPalは、昨年10月に暗号資産決済の導入を発表し、強気相場を後押しした。21年第1四半期時点で、3億9200万ものアクティブユーザーアカウントを誇る。
イーサリアム財団は15日、ベースフィーのバーン(焼却)の提案「EIP1559」を含む大型アップグレード・ロンドンの実施時期を発表した。8月3日〜8月5日頃(ブロック高1,296,5000)にメインネットでアクティベートされる。
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マイナー情勢とオンチェーンデータ
中国規制の影響で激減していたビットコインのハッシュレート(採掘速度)が、回復傾向を強めている。
15日には、急落後はじめて120EH/s水準を回復した。中国の豊水期と新型ASICマイニング機械の導入が進んだことで伸長した、20年7月水準に相当する。
このことは、中国から締め出された大手マイナー(採掘業者)の海外移転、および再稼働が順調に進んでいることを意味している。月初には歴史上最大のディフィカルティ(難易度)調整が行われ、マイナーの採算性は数週間で劇的に改善している。
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オンチェーン分析アナリストのウィリー・ウー氏は、マイナー視点のオンチェーン指標として、「Puell倍数」と「ディフィカルティ・リボン」について解説する。
難易度調整では、ブロック生成時間を約10分の一定周期に保つための調整が行われるが、Puell倍数とディフィカルティ・リボンは、これらの法則を反映した性質を持つ。
Puell倍数とは
Puell倍数ことPuell Multipleは1日に発行されるビットコインの総額を年間平均で割り、BTCマイナーの収益率を算出、供給量側の経済状況を指標化したもの。名称は、考案者のオンチェーンアナリストDavid Puell氏に因んでいる。
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同氏の解説によれば、「過去の相場の統計データでは、Puell倍数が0.5を下回った(緑のゾーンに突入した)場合、買いの期待値が大きく、Puell倍数が4倍を上回った場合は、利確ポイントに適している」という。
ビットコインのPuell倍数は21年6月27日、20年7月以来およそ1年ぶりに0.5水準を下回ったが、16日現在は1.28まで回復している。
ウー氏は、中国マイナーの影響について、ハッシュレート激減とブロック生成時間遅延の影響で、同時期におけるBTC発行ペースも通常の1/3に鈍化したと指摘。その上で、過去の傾向から「今後も下落トレンドが長引く場合、効率性の悪いマイナーは収益性を保てず、事業撤退(マイニング機器停止)やコスト補充のため、大量売却を余儀なくされるシナリオもあり得る」と分析した。
弱小マイナーが淘汰されれば、売り圧の減少につながるため、トレンド転換の予兆となるとの見解を示している。
また、ウー氏よれば、「ディフィカルティ・リボン」がこのようなマイナー情勢の可視化に役立つ。ディフィカルティ・リボンが収縮してから再び拡がるタイミングは、相場回復の前触れだとしている。
ディフィカルティ・リボンとは
ディフィカルティ・リボンは、コインネットワークの難易度の異なる周期の移動平均線を集めた指標。マイナーの売り圧を測るのに適している。
BTC難易度が低下するとマイナーは事業継続が難しくなり、採掘済みBTCの売り圧となり得る。考案者はWilly Woo氏。
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ディフィカルティ・リボンは今年5月以降、マイナスに転じ始めていることが伺える。
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