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個人層の仮想通貨普及が進むアフリカ、前年比12倍の成長率

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨普及進むアフリカ

ブロックチェーン分析会社Chainalysisは14日、「暗号資産(仮想通貨)の地理」と題したレポートの一部を公開。仮想通貨市場が急速に成長するアフリカの現状を紹介するとともに、その原動力について分析した。

レポートによると、昨年7月から今年6月の1年間で、この地域における仮想通貨の受け入れ額は1,200%以上成長。市場規模では約1,056億ドル(11.6兆円)と、世界各地の他の地域と比べ最も小さいものの、Chainalysisの「仮想通貨採用指標」の上位20位以内には、ケニア、ナイジェリア、南アフリカ、タンザニアの4カ国がランクイン。

同社は、アフリカを「世界で最も草の根レベルで普及率が高い地域」と評価している。

仮想通貨採用指標とは

Chainalysis社独自の仮想通貨普及率を評価する指標。購買力平価を加味して調整された(1)受信されたオンチェーンの仮想通貨額、(2)送信されたオンチェーンのリテール販売額、(3)P2P取引所における取引量という3つの指標で構成される。

▶️仮想通貨用語集

一般への普及率を判断する指標に、個人投資家規模の少額取引が地域全体の取引量に占める割合がある。アフリカの場合、この割合が世界平均の5.5%に対し、7%強と平均を上回った。

関連:「日常的に仮想通貨を利用する国」ランキング2021 上位の国が変化

成長の原動力は

アフリカの成長を支える重要な要因の一つとしてChainalysisは、P2P取引が盛んであることをあげた。アフリカにおけるP2P取引の割合は、ビットコイン取引量に限定すると全体の2.6%(全通貨では1.2%)を占めており、世界の他の地域を大幅に上回っている。

出典:Chainalysis

P2Pとは

ピアツーピアの略称。専用のサーバーを介せず、接続されたコンピューター同士がコミュニケーションするネットワーク形態を指す。

▶️仮想通貨用語集

アフリカでP2P取引が普及する理由として、Chainalysisはナイジェリアやケニアなどで、仮想通貨企業と銀行との取引が禁止もしくは制限されていることを挙げた。

ナイジェリアでは、中央銀行が今年2月、国内の全金融機関に対し、仮想通貨取引関連の銀行口座サービス提供禁止を通告。ケニア中央銀行は、国内の銀行に対し仮想通貨企業との取引について警告を発し、銀行は顧客に対して仮想通貨取引に関する注意喚起のメールを送ったとされている。

関連:ナイジェリア中央銀行、全金融機関に仮想通貨取引関連の銀行サービス禁止を指示

ナイジェリアの仮想通貨コンサルタント企業ConvexityのAdedeji Owonibi最高経営責任者は、中央銀行の決定以後、仮想通貨取引の方法に変化が起こったと次のように語った。

以前はバイナンスが圧倒的に人気のあるプラットフォームだったが、中央銀行の制裁後は、多くの人がPaxfulやRemitanoなどのP2Pプラットフォームに移行している。

P2Pプラットフォーム「Paxful」のCOO兼共同設立者、Artur Schaback氏は、銀行口座から通常の取引所への送金ができなくなったため、P2P取引が頼みの綱となっていると指摘。同社の昨年の取引量は、ナイジェリアで57%、ケニアで300%成長したと言う。

しかし、P2P取引の多くは、従来の取引プラットフォームではなく、WhatsappやTelegramなどのグループチャット上で行われているとOwonibi氏は説明。OTC業者と数百万ドル規模の取引を行うグループもあるとのことだ。 Schaback氏は、顧客獲得にはP2Pプラットフォームのユーザー体験の改善が重要だとの認識を示した。

仮想通貨の利用目的

アフリカでは、送金のニーズも大きい。ブルッキングス研究所の調査によると、2019年、サハラ以南のアフリカ諸国では、少なくとも480億ドル(約5.3兆円)相当が送金されたと推定されている。そのうちの約半分はナイジェリアに送られている。

北米や欧州地域からの送金がほとんどを占めるが、アフリカ諸国間の送金も多い。

一方、世界銀行の送金データによると、サハラ以南のアフリカ諸国は送金コストの最も高い地域であるのに加え、国外への送金に対しては厳しい規制がある例も多い。例えば、ナイジェリアでは1回の送金上限を500ドル(約55,000円)に制限している銀行もあるとのこと。このような事情から、アフリカでは仮想通貨を利用した送金のニーズが生まれているとSchaback氏は語る。

さらに個人送金だけではなく、多くのアフリカのユーザーが国際商取引においても、仮想通貨を利用していると、OwonibiとSchaback両氏は指摘。金額が大きい取引の場合、法定通貨よりもビットコインによる支払いの方が簡単なため、中国からの商品購入にビットコインで決済を行う貿易商の例を挙げた。

資産保全とCBDC

法定通貨の価値が安定しないアフリカでは、多くのユーザーが資産防衛のために仮想通貨を利用しているとレポートは指摘。ナイジェリアやケニアでは、法定通貨価値の減少と仮想通貨の取引量が反比例する傾向にあるようだ。

ナイジェリアでは、中央銀行のデジタル通貨(CBDC)である「eナイラ」を導入する計画が発表されている。しかし、CBDCが実現しても、現在のナイラと同様、価値の不安定性や管理の問題が予想されるため、Owonibi氏が知る仮想通貨ユーザーの大半はCBDCの利用に反対している。

仮想通貨ではなくeナイラを利用する唯一の理由は政府への信頼だが、多くの国民にとってその信頼は損なわれている。

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