CoinPostで今最も読まれています

日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)、ステーブルコインの制度設計について提言

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ステーブルコインについて提言

日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)は15日、「日本におけるステーブルコインの制度設計の在り方について」と題するレポートを公表した。

同レポートは、日本におけるステーブルコインの法的課題を整理し、その分類に応じた適切なAML(アンチ・マネーロンダリング)・CFT(テロ資金供与防止対策)対策、安全管理などを備えた法的枠組みを設け、その取扱い実現を目指すためにJCBAのステーブルコイン部会が提言したものだ。

関連:初心者にもわかるステーブルコインとは|特徴やユースケースを解説

ステーブルコインは「法定通貨担保型」「仮想通貨担保型」「無担保型」の3種類に大別し、この提言では、以下の性質を持つものを取り扱っている。

  • 法定通貨を裏付け資産とするもの
  • 既存の電子マネーと異なり、発行者と流通者が分離しているもの
  • 発行者による制限なく、ブロックチェーン等を通じて不特定多数の者の間で移転可能な仕組みを有するもの

提言の内容は

ステーブルコインはブロックチェーン上の資産であるため、発行者と流通が分離された機能・性質を持つことから、国内でステーブルコインの取り扱いを検討する際には、各種金融法制の適用に不明瞭な点が存在すると指摘。また、国際的にもAML/CFTの観点から法的枠組みの整備が急がれる状況であると説明している。

また、通貨建資産に該当するステーブルコインとして、現在流通しているものは主に以下の2種類であるとした。

  1. 払戻約束型ステーブルコイン──発行者が単一の法定通貨(日本円、米ドルなど)による払戻しを約束しているステーブルコイン(USDC、USDTなど)
  2. プリカ型ステーブルコイン──(払戻しは約束していないものの)発行者が単一の法定通貨による決済手段としての利用を約束しているステーブルコイン(JPYCなど)

現行法の課題とあるべき制度設計

1の検討事項として、発行者は発行・払戻しを通じて、資金の移動を行っているとも解釈できるため、為替取引に該当しうるが、ステーブルコインの場合は暗号資産のように不特定多数の間で送金手段・決済手段として流通する可能性や、通貨建資産の管理は仮想通貨カストディに該当しない、などの点を指摘。

そのため、課題として「従来型に比べて、マネーロンダリング・テロ資金供与リスクが高まるのではないか?」「ステーブルコインの場合は、暗号資産と同様の流出リスク等が認められることから、必要なのは金銭の保全ではなく、 当該ステーブルコインそのものの安全管理・分別管理ではないか?」といった点を挙げた。

2の検討事項としては、発行者はステーブルコインの発行を通じて決済手段を提供している場合には、「前払式支払手段」に該当する余地があるが、ステーブルコインの場合は暗号資産のように不特定多数の間で決済手段として流通する可能性がある点などを指摘。

課題として「クローズド型に比べて、マネーロンダリング・テロ資金供与リスクなどが高まるのではないか?」「従来型に比べて、ステーブルコインの移転が不能となった場合は影響が大きいのではないか?」といった点を挙げた。

それぞれの検討事項や課題を列挙したうえで、以下のようにあるべき制度設計を提言している。

出典:JCBA

JCBAの活動

JCBAは今回に限らず、仮想通貨のネガティブなイメージを払しょくするためにユースケースをまとめたレポートやNFT(非代替性トークン)関連ビジネスに関するガイドラインなどを作成し公表してきた実績があり、仮想通貨やブロックチェーンの有用性の周知や法的枠組みの作成などを目指し業界の発展のために活動している。

8月には一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)と共同で、仮想通貨税制の課題や、アンケート調査から分析を行った増収効果と申告分離課税導入の有効性などについてまとめた要望書を金融庁に提出している。

アンケート結果をもとに、仮想通貨税制に分離課税を導入した場合における税収への影響をシミュレーションし、申告分離課税を導入すれば、1)含み益の利益確定の促進 2)投資額の増額 3)損失繰り越しを理由とした積極的な税務申告が促進され、「+52%の税収増加が見込める」との試算を公表している。

関連:「仮想通貨の税制改正で推定52%税収増も」JCBA・JVCEAが共同要望書提出

JCBAとは

JCBA(日本暗号資産ビジネス協会)は、「銀行・証券会社・金融商品取引業者が日本国内において暗号資産ビジネスをはじめるにあたり、テクノロジー・会計・レギュレーション・商慣行などの面から、必要な情報の調査・研究、知見の集約、意見交換を積極的に行い、業界の健全な発展を目指すために設立された一般社団法人仮想通貨ビジネス勉強会を母体とする。」(JCBA公式)

▶️仮想通貨用語集

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
07/27 土曜日
09:45
3兆円運用の米ミシガン州の退職年金、10億円以上のビットコイン現物ETF保有
仮想通貨ビットコインの現物ETFに対する米国の年金基金からの需要は増加傾向にある。運用資産総額3兆円に相当するミシガン州の退職年金はウィスコンシン州とニュージャージー州のジャージー市の年金基金に続き、ビットコインETFの株を保有していることを報告した。
08:10
マスク氏のX(旧ツイッター)、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除か
イーロン・マスク氏がオーナーのX(旧ツイッター)は、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除した。ドージコイン擁護のためか。
07:35
BitwiseのETH現物ETFの横断幕、NYSEに掲揚
仮想通貨運用企業Bitwiseのイーサリアム現物ETFの横断幕が、ニューヨーク証券取引所に掲げられた。同社は、取引終了のベルを鳴らすことも報告している。
07:05
野村傘下のレーザーデジタル、利回り提供のイーサリアムファンド販売予定か
野村ホールディングスの仮想通貨資産子会社であるLaser Digital(レーザーデジタル)は、イーサリアム現物ETFの代替商品の導入を計画しているようだ。
06:40
米SEC、グレースケールのミニ版ビットコインETFを承認
仮想通貨投資企業グレースケールが提供するGBTCは手数料(1.5%)が最も高く資金流出は続いていたが、新商品を導入し0.15%という業界最安の手数料設定で競争力を高める狙いだ。
06:20
ビットコイン価格が21年後に最大で75億円に到達か、マイケル・セイラー氏の強気予想
ビットコインを最も保有する米上場企業マイクロストラテジーのマイケル・セイラー氏はカンファレンス「ビットコイン2024」で、BTCの今後の強気予想のプレゼンテーションを行った。
07/26 金曜日
17:10
「米大統領選で価格変動 トランプやハリス由来のミームコインの買い方
トランプトークンの概要 ドナルド・トランプ前米大統領とその「Make America Great Again」(アメリカを再び偉大に)というスローガンからインスピレーションを得…
17:10
ヤマハ発動機が初のVTuberコラボNFTを発行、Yamaha E-Ride Baseを訪れて進化可能
ヤマハ発動機が初のNFTデジタルステッカーを発行。横浜のYamaha E-Ride Baseで進化するダイナミックNFTを体験し、限定グッズをゲットできる。
15:13
ビットフライヤーがFTX Japan買収完了、カストディ事業展開へ
株式会社bitFlyer HoldingsはFTX Japanの株式100%を取得し、完全子会社化を発表。8月26日までに社名を変更し、クリプトカストディ事業を展開予定。法制度整備後の暗号資産現物ETF関連サービス提供も視野に入れている。
14:43
Neo Xメインネットが正式稼働 EVM互換でネオのエコシステムを拡張
Neoは高性能EVMベースのサイドチェーン「Neo X」のメインネット正式稼働を発表。クロスチェーンブリッジで流動性と互換性が向上し、エコシステムの可能性が広がる。
14:15
カマラ・ハリス氏のミームコインが過去最高値を記録、大統領候補指名の期待受け
PolitiFiと呼ばれる政治パロディのミームコインが、仮想通貨領域で独自のジャンルを形成しており、カマラ・ハリス副大統領のパロディコイン「 Kamala Horris(KAMA)」が急騰し話題となっている。
12:55
アルトコインETFの未来、ブラックロックが語る現実と可能性
ブラックロックのデジタル資産責任者は、イーサリアム現物ETFが承認されていても他のアルトコインETF誕生には困難があると話した。
12:14
仮想通貨相場反発、ビットコイン・カンファレンスのトランプ登壇に関心集まる
昨日までの大幅下落とは打って変わり暗号資産(仮想通貨)相場は反発した。強気シグナルのハッシュリボンが点灯しているほか、今週末にはビットコインカンファレンスに米国のトランプ前大統領が登壇予定であり、投資家の関心が集まる。
11:00
トランプ前大統領の陣営、4〜6月期で仮想通貨で6億円の寄付金調達
トランプ前大統領は、ビットコインなど仮想通貨で6億円以上の選挙資金を調達。「ビットコイン2024」でもさらに資金を集める予定だ。
10:30
BTCが290万ドルに到達するシナリオ、VanEckが公開
仮想通貨ビットコインが2050年までに290万ドルに到達するシナリオをVanEckのアナリストが公開。このシナリオを実現するための条件を説明している。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア