はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

米FRB、ステーブルコインのポテンシャルと既存金融に与えるリスク面を分析

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ステーブルコインに対する考え

米連邦準備制度理事会(FRB)は1日、ステーブルコインに関する調査結果を発表した。ステーブルコインの成長ポテンシャルとともに、政府の金融政策や銀行などの既存金融に与える影響を取り上げ、リスクとメリットに言及している。

ステーブルコインとは

価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIやUSTといったアルゴリズムを利用するステーブルコインもある。

▶️仮想通貨用語集

FRBは、ステーブルコインを「デジタル市場において重要な役割を担っており、その成長は経済全体のイノベーションを促進させる可能性がある」と評価し、2021年9月には総供給量が1300億ドル(約15兆円)に達したことや、様々なユースケースが登場していること引き合いに出し、ステーブルコインの急速な成長スピードについて触れた。

また、ステーブルコインの抱える問題として、市場状況によって脅かされる米ドルなどへのペッグの安定性や消費者・顧客情報の安全性、マネー・ロンダリング、決済のスケーラビリティ、その効率性などがあることにも言及。

加えて、現金と等価でないリスク資産によって裏付けされるステーブルコインには暴落するリスクもあるとして、法定通貨にペッグされるデジタル通貨の潜在的なリスクを列挙した。

関連:初心者にもわかるステーブルコインとは|特徴やユースケースを解説

金融機関に与える影響

FRBはステーブルコインを「将来の決済のブレークスルーとなりうる革新的な技術である」、「金融システム全体に広く普及すれば、その効果は絶大」とポテンシャルの高さに注目する一方で、ステーブルコインが既存の金融機関のバランスを破壊する可能性にも目を向けている。

今回のステーブルコインの調査では、法定通貨担保型のステーブルコインが最も規模が大きく、既存の銀行システムに最も密接に結びついているという理由から、法定通貨担保型のステーブルコインの導入を想定して調査を進めたという。

そして、具体的な銀行形態として、ナローバンク型、層式仲介型、証券保有型の3つを想定し、それぞれにおいてステーブルコインがどのような影響を与えるかを考察している。

  • ナローバンク型
  • ナローバンク型は、中国のデジタル通貨「デジタル元」といった中央銀行デジタル通貨(CBDC)に採用されている形式だ。

    この場合、ステーブルコインは中央銀行の準備金で完全に裏打ちされる必要がある。

    同理事会は、伝統的な銀行の仲介を排除することにつながり、信用供与に支障をきたす可能性が最も大きいとする一方で、中央銀行の準備金でステーブルコインを購入すれば、ステーブルコインが「暴落」するリスクは最小になるため、フィアット通貨(USDやJPYなどの中央銀行が発行する通貨)に対する最も安定したペグを提供することができるかもしれないと述べている。

  • 二層式仲介型
  • 二層式仲介型は、世界中のほとんどの銀行が採用しているシステムで、銀行自身は手持ちの合計預金の一部を保有するバンキング形式である。

    同理事会は、民間や企業が、従来の商業銀行残高の代わりにステーブルコインを保有することを選択すれば、商業銀行預金からステーブルコインが流入し、より多くの信用仲介をもたらす可能性があるとする一方で、預金からの大幅な代替が、信用供与の混乱を招く可能性があるとしている。

  • 証券保有型
  • 証券保有型では、ステーブルコインの発行者は、商業銀行に資金を預ける代わりに、財務省証券や高品質のコマーシャルペーパーといった現金同等証券を保有する形式となる。

    これは、テザー(USDT)などを始めとする、現在の法定通貨担保型ステーブルコインの発行者が採用している形式であり、連邦準備理事会のパウエル議長は、最近の会議で、「マネー・マーケット・ファンドのようなもの」と指摘した。この場合、銀行システムへの資金還流が必要となるため、信用供与への影響はほとんどないが、その裏付け資産によるリスクがある。

    関連:謎に包まれていた「仮想通貨USDTの裏付け資産」 内訳をテザー社が初公開

調査を経て

FRBは、調査の結果、ステーブルコインの銀行や信用供与に与える影響が、資金の流入源とリザーブ(準備金)の構成という2つ要素によって異なってくる事が分かったとし、そのポテンシャルを「ステーブルコインの現在の使用は、主に暗号通貨取引、制限されたピアツーピア支払い、およびDeFiによって推進おり、将来的には、ステーブルコインは、より包括的な支払いと金融システムの促進を通じてさらに成長する可能性があります。」と評価した。

2022年も引き続き、米国のステーブルコインやCBDCに関する議論は進んでおり、その動向に注目が集まる。

関連:米FRBパウエル議長「ステーブルコインはデジタルドルと共存可能」

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
09/19 金曜日
12:00
ステーブルコインに関する税金の基本 仮想通貨初心者こそ覚えておきたいポイント|Aerial Partners寄稿
日本でJPYC・USDCなどステーブルコインの利用が拡大中。仮想通貨にも詳しい税理士が税務上の取り扱いを初心者にもわかりやすく解説。雑所得の計算方法、確定申告の注意点、NFT購入・DeFi運用・他通貨交換時の課税ルールを具体例とともに詳しく紹介します。
11:56
BNBが大台の1000ドル突破、DOGEとXRP ETFの取引量はアナリスト予想を大きく上回る
暗号資産市場でBNB(旧:バイナンスコイン)が過去最高値の1,000ドル突破を達成。バイナンス創業者CZ氏のCEO復帰思惑や「Megadrop」需要が背景に。一方、米国初のドージコインETF(DOJE)とXRP現物ETF(XRPR)が取引開始から驚異的な取引量を記録し、アナリスト予想を大幅に上回る滑り出しを見せた。
11:40
ビットコイン建て分散型予測市場の魅力とは? 研究者が提唱
コンピュータ科学者のシャバシェフ氏が仮想通貨ビットコイン建ての分散型予測市場を提唱。ステーブルコイン建ての機会損失を解決するとして、3つの流動性供給方法を分析した。
11:03
Blockstream、Liquidで挑むアジア太平洋市場──アダム・バックCEOに聞いたEchoXとの連携の狙い
Blockstream CEOアダム・バック氏。ビットコイン拡張ネットワーク「Liquid」でのUSDT活用、RWAトークン化戦略、Echo Xとの提携によるアジア市場展開について語った。
10:50
クラーケン、ICOプラットフォームをローンチへ
仮想通貨取引所クラーケンは、ICOと初期のトークンセールのためのプラットフォームKraken Launchのローンチを発表。ローンチの目的や特徴などについて説明した。
10:15
仮想通貨取引所ブリッシュ、純利益160億円で黒字転換 決算発表
機関投資家向け仮想通貨プラットフォームBullishが2025年4~6月期決算を発表。純利益160億円で黒字転換を達成した。その他「Pudgy Penguins」のオーナーIglooとの提携も開始している。
10:05
メタマスク独自トークン「MASK」発行の可能性、ルービンCEO「予想より早く実現」
コンセンシスのジョー・ルービンCEOがメタマスクの独自トークンMASKの発行が予想より早く実現する可能性を明言。
09:02
PayPalのステーブルコインPYUSD、7チェーンに拡大
決済大手PayPalのステーブルコインPYUSDが、レイヤーゼロのスターゲートブリッジを通じてアプトスなど7つの新しいブロックチェーンに展開。「PYUSD0」として相互運用性を強化。
08:48
仮想通貨関連企業Bakkt、日本市場向けに「bitcoin.co.jp」のドメイン取得を発表
米仮想通貨企業Bakktが当初予定していたbitcoin.jpドメインの権利を放棄し、bitcoin.co.jpドメインの取得を完了したと発表。日本市場向けのプレミアムドメインとして選択。
08:30
ミシガン州の仮想通貨準備金法案が前進、ビットコイン団体は反対表明
ミシガン州議会で仮想通貨準備金法案HB4087が2月以来初めて進展した。州資金の10%投資を認める内容だが、ミシガンビットコイン貿易評議会は全仮想通貨対象のため反対を表明している。
07:50
リップル社、DBS・フランクリンテンプルトンとRWA領域で提携
リップル社は、DBSとフランクリン・テンプルトンとRWA領域でパートナーシップを締結。適格投資家や機関投資家に取引と融資のソリューションを提供することが目的である。
07:15
コインベース、USDC貸出サービスで10%以上の高年利を提供開始
コインベースが仮想通貨USDCの貸出サービスを開始し、年10.8%の高利回りを提供すると発表した。モルフォプロトコルとの連携により、従来の4.1%を大幅に上回る収益機会を提供する。
06:40
ソルメイト、443億円調達でソラナ特化企業に転換 Arkなどが出資
米上場企業ブレラホールディングスがソルメイトに社名変更し、アーク・インベストらから3億ドルを調達してソラナ特化のDAT企業に転換すると発表した。
06:15
エヌビディア、インテルに7400億円投資でAIチップ共同開発へ 株価22%高騰
エヌビディアがインテルに50億ドルを投資し、データセンター向けAIチップとPC向けチップの共同開発を発表した。インテル株は22%急騰し38年ぶりの上昇幅を記録した。
05:55
米国初のドージコイン現物ETF、上場初日の出来高が専門家予想上回る
米レックス・オスプレイが米国初のドージコインETF「DOJE」とXRP ETF「XRPR」を木曜日夜上場開始。初日のドージコインETFは約600万ドルの出来高を記録した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧