分散化・安全性を保つための処理速度
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)の共同設立者であるヴィタリック・ブテリン氏は7日、ブロックタイムについての説明を掲示板サイトに投稿した。
大手掲示板サイトRedditのイーサリアム関連スレッドで、ブロックタイムについて、処理速度と分散化・安全性の兼ね合いについて説明した格好だ。
A quick post explaining the current choice of block times (both pre- and post-merge) and the tradeoff between speed and decentralization/safety.https://t.co/jYlt9ODzzE pic.twitter.com/EuP9u7NCgX
— vitalik.eth (@VitalikButerin) February 6, 2022
ブロックタイムとは
ブロックチェーンで1ブロックが処理されるのに予定される時間のこと。それぞれのブロックチェーンでブロックタイムは大きく異なる。ビットコインでは約10分、イーサリアムでは約15秒とされている。
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ブテリン氏によると、ブロックタイムを速くし過ぎると、ネットワーク接続の面で優れたノードに、イーサリアムのマイニングやステーキングが集中してしまう可能性がある。
ブテリン氏は、プルーフオブワーク(PoW)とプルーフオブステーク(PoS)の両方の場合に分けて論じた。
1. ブルーフオブワークの場合
まず、プルーフオブワークの問題としては、ブロックタイムがランダムなことだ。例えば、平均ブロックタイムが13秒の場合には、新たな2つのブロックが互いの時間差を1秒以内としてやってくる確率は13分の1である。
これほど、2つのブロックの時間差が小さい場合は、よりよいネットワーク接続を有しているマイナーが、もう一方のマイナーより先にブロックを到着させることが可能だ。
ブテリン氏によると、こうした状況は、13秒のブロックタイムでは許容範囲内である。しかし、時間的に近接して現れるブロックがさらに増えるような状況、例えば平均ブロックタイムが3秒の場合には、大きな問題になるという。
2. ブルーフオブステークの場合
ブテリン氏は、プルーフオブステークでは、ブロックは12秒に1回均等に到着するために、プルーフオブワークのような問題は存在しないと説明。しかし、処理速度をさらに速めようとすると別の問題が浮上するという。
イーサリアムのプルーフオブステークは、1つのスロット(12秒ごとの単位)ごとに、非常に高いレベルで取引の承認プロセスを行うものだ。1スロットあたり、数千の署名(現在は、最大約9,100件)が必要であり、レイテンシーが発生する。
ブテリン氏によると、この承認プロセスを、6秒以下で安全に行うこともおそらく可能だが、その場合、時間内にチェーンに組み込むことのできる署名の数は少なくなる。それにより、やはりステーキング報酬が、中央集権的な主体にとって有利になってくる形だ。
ブテリン氏は、「現在の約12秒は、そのようなリスクを充分に緩衝してくれるものだ」と続けた。
高速な確認が必要なアプリケーションの場合は、スケーラビリティソリューションである「ロールアップ」などに頼る必要があるという。また、開発チームは、ある取引が次のブロックまたは別の近い将来のブロックに含まれることを、即座にユーザーに保証できるメカニズムも研究しているところだとしている。
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