米コインベース、収益の多様化目指す
米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは24日、2021年第4四半期(10月~12月)の決算説明会を開催した。その中で、今後収益の多様化に注力していく姿勢を示している。
ブライアン・アームストロングCEOは、仮想通貨は様々な採用事例を実現しているとして、次のように述べた。
DeFi(分散型金融)には何百億ドルもの資金が集まっている。NFT(非代替性トークン)は大きなトレンドであり、成長を続けている。ゲームやソーシャルメディアのアプリ、DAO(自律分散型組織)、IDシステムも作られているところだ。
金融サービス以外の応用事例も含め、インターネット上であらゆる種類のアプリケーションを構築する方法として、Web3.0はある種の未来像であるだろう。
こうした状況を踏まえ、アームストロング氏は、「こうした数十億ドル規模のビジネスチャンスが様々ある中で、どのようにこの分野の規模をとらえ、チャンスを広げていけばいいか」ということが重要な課題だと語っている。
コインベースのアレシア・ハース最高財務責任者(CFO)も、2022年に収益源を多様化していくと話した。
現在は収益の多くを取引関連が占めているが、サブスクリプション・サービス収入も重要性を増しているという。2021年は、この分野の収入は5億ドル(約580億円)以上に到達しており、2020年の10倍となった。また、純収益に占める割合も、前年の4%から7%に上昇したと話す。
ステーキングサービスなどの利用者増加
サブスクリプション・サービス分野には、ステーキングなどにより報酬を得るサービスが含まれている。
ハース氏によると、21年末時点で360万人のユーザーが資産を預けて報酬を得るサービスを利用しており、前年比5倍以上となった。イーサリアム(ETH)のステーキングを行うユーザーが多いという。
この傾向を受けて、コインベースは22年後半に、機関投資家向けにもイーサリアム2.0のサービスを打ち出す予定。ユーザーのために他のPoS(プルーフ・オブ・ステーク)チェーンも追加する姿勢だ。
ハース氏は、非常に大きな市場であるNFTについて、マーケットプレイスを立ち上げることにも言及した。
機関投資家向けサービスも好調
仮想通貨メディアThe Blockは、コインベースがプライムブローカレッジやOTC(店頭取引)の部分で、過去最高の出来高を記録していることに注目している。
The Blockの推定では、コインベースにおける、これらの分野の取引量は4Qに880億ドル(約10兆円)近くに達した。
この成長は、機関投資家が仮想通貨市場へ新たに参入する動きを反映しているとも考えられる。コインベースは、2021年に機関投資家の顧客数が前年比で50%増加したことも明かしていた。