CoinPostで今最も読まれています

米環境団体、ビットコインのPoS移行推奨キャンペーン開始 リップル共同設立者らが賛同も業界からは反発の声

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットコインの環境負荷を批判

国際的な環境NGO「グリーンピース」の米国部門は29日、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)の環境負荷問題に一石を投じるためのキャンペーンを開始した。リップル社の共同設立者であるクリス・ラーセン氏も、キャンペーンに6億円(500万ドル)の資金を提供するなど、支持を示している。

環境問題に対抗する為、ビットコインがPoW(プルーフ・オブ・ワーク)からPoS(プルーフ・オブ・ステーク)に移行するべきとの考えも示しており、一部では物議を醸している。

広告キャンペーンは、ニューヨークタイムズやウォールストリートジャーナルなど米大手メディアにビットコインの環境問題に関して疑問を投げ掛けるものだ。界隈においてビットコインやマイニングに関して度々言及を行ってきたジャック・ドーシー氏やイーロン・マスク氏などの著名人を名指しする戦略を取るという。

出典:Greenpeace

広告キャンペーンのアドバイザーであるマイケル・ブルーン氏は、「このキャンペーンは反ビットコインではない」と述べつつ、気候変動問題が臨界点に達していると警鐘を鳴らした。仮想通貨市場における最大の時価総額を誇るビットコインが地球温暖化に過度に貢献していると指摘した上、問題を黙認するべきではないとして、業界の協力を呼びかけた。

リップル社共同設立者も賛同

なお、ラーセン氏は今回のキャンペーンへの支持は自身の見解であり、リップル社の見解を代表するものではないと説明。同氏は2021年春よりマイニングで大量の電力を消費するビットコインのPoWシステムは「老朽化している」と指摘するなど、環境リスクを念頭に、新たなコンセンサス(合意形成)アルゴリズムへの移行を提唱していた。

ラーセン氏はエネルギー消費の少ない仕組みへの移行は簡単ではないとしつつ、仮想通貨市場のさらなる拡大(機関投資家の参入・流動性の向上)にはESGや持続可能性を考慮する必要があると指摘する。

ESGとは

環境(Environment)社会(Social)ガバナンス(Governance)の略称。事業面のポテンシャルだけではなく、多角的な側面から産業の影響を考慮した上で、環境問題や社会問題、国連の持続可能な開発目標(SDGs)などに貢献することが企業責任となりつつある。

▶️仮想通貨用語集

一部の採掘企業が行なっているグリーンエネルギーを利用したマイニングのような短期的な解決策だけではなく、長期的な改善のためにはイーサリアム(ETH)のようにPoSへ移行したり、XRP(XRP)のような仕組みに変更するべきだと述べている。

仮に、PoWから移行しても、ビットコインの重要性は変わらないとして、ビットコインのマイナーらに「反対するつもりはない」とラーセン氏はコメントした。

実際、米国の大手マイニング企業らは21年5月に採掘企業における環境問題を改善すべく「ビットコイン採掘評議会」(BMC)を設立。北米地域のエネルギー消費の透明性を推進する方向で合意し、加盟企業では再生可能エネルギーの利用率が一般産業を上回るとの統計が出ていた。

関連:北米マイニング企業らがBTC採掘評議会を設立、ネットワークの56%が再生エネルギー利用

しかし、現在はマイナーが100%グリーンな電力源を利用すると宣言しても、結果的にはマイナーはより低コストなエネルギーを採用するような仕組みとなっているため、ロシアのような石油大国が化石燃料を消費して安価でビットコイン採掘を開始しない保証はどこにもないとラーセン氏は考察。長期的には、PoWから移行する必要性があると提案した。

業界からは反発の声

これに対し、業界有識者からは反発の声が目立つ。オンチェーンアナリストのディラン・レクレア氏は、仮にビットコインがPoSを導入しても、別チェーンに分岐して新たな通貨が生まれるだけであると指摘。結果的には新たな仮想通貨がエアドロップされるだけとなりかねず、「時間とリソースの無駄」と評した。

仮想通貨カストディ企業Casaの創設者であるジェームソン・ロップ氏はグリーンピースのPoS移行案がビットコイン改善案(BIP)として確認できないと述べ、真剣に提案したいのであれば開発者ボードで正式にBIPとして提出するべきだとした。

米ロビー団体・ブロックチェーン協会のジェイク・シャービンスキー氏は、「ビットコインはこれからもPoWを利用する」とコメント。PoWはビットコインの根本的な性質の一部であるため、PoWを利用しないビットコインはもはやビットコインではなくなると考察した。

仮想通貨VCのCastle Island VenturesのGPであるニック・カーター氏は「一握りのVCやカストディアンにより管理されているPoSネットワークと従来の金融企業には何の違いもない」と指摘。ビットコインではないが故に、特定の金融データベースが「エコ」を主張するのは「筋違い」だと述べた。

また、カーター氏は同キャンペーンが利用している2018年の分析結果は学術的に否定されているデータだと抗議。この統計は「ビットコインが普及した場合、地球気温が2℃上昇する程の二酸化炭素が排出される」と提唱するもので、多数の学術者から「学術的に根拠がなく、論破されている」と批判した。

Carter氏が問題視する箇所

出典:Greenpeace

米国の仮想通貨シンクタンクCoin Centerのディレクターであるジェリー・ブリトー氏はビットコインの仕組みを変更するためには、マイニング企業だけではなく、数万人にものぼるノード運営者からも支持を得る必要があると分析。このため、PoWからPoSへの移行は「さまざまな理由から絶対に非現実的」だと考察した。

また、ビットコインがPoWを選択した理由はスピードよりもセキュリティを重視した結果であり、ビットコインの本質であるとBrito氏はコメントしている。

著名投資家のアンソニー・ポンプリアーノ氏も「ビットコインがPoWを見捨てることはまずあり得ない」と指摘。500万ドルを無意味な反ビットコインの広告キャンペーンに充てるより、500万ドル分のビットコインを買うべきだとコメントした。

また、ビットコインのコードを変えても、新たな価値のない仮想通貨の誕生につながるだけだと厳しい見解を示した。

注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
06/10 土曜日
15:00
メタバース関連法規を「未成年取引やなりすまし」をもとに解説
メタバースのような非対面プラットフォーム上の取引に関わる法規制、特に未成年取引やなりすましについて法律事務所ZeLoが寄稿で解説。
13:45
Ava Labs、グリーやgumiらと「Avalanche Arcad3」を発足
アバランチの開発を手がけるAva Labsは、日本のソーシャルゲーム大手グリーやgumiなどの初期パートナーと共に、Web3ゲーム構築支援プログラム「Avalanche Arcad3」を立ち上げたと発表した。
13:00
米国の超党派ステーブルコイン草案、最新版が公開
米下院金融サービス委員会は、公聴会に向けて、マクヘンリー議員らによる超党派ステーブルコイン草案の最新版を公開した。FRBの権限などが新たに盛り込まれている。
11:20
Vitalik Buterin氏、イーサリアムの進化に不可欠な「3つの移行」
イーサリアム共同創設者のVitalik Buterin氏が新たな提言を公開した。イーサリアムが実験的な段階から一般ユーザにとって使いやすい、成熟した技術基盤へと移行するためには、「3つの移行」が不可欠だと指摘している。
09:50
米司法省、マウントゴックス事件の容疑者を特定・起訴
米司法省は、2014年に経営破綻した仮想通貨取引所マウントゴックスのハッキングなどを行ったとしてロシア人2人を起訴した。ビットコインを盗み資金洗浄した罪などに問われている。
08:25
gumiの子会社「gC Games」、Suiのバリデータを運用開始
株式会社gumiの連結子会社である「gC Games Singapore Pte. Ltd.」はレイヤー1のブロックチェーンSuiのバリデータとして参加しノード運営を開始したことを発表した。
07:50
米ロビンフッド、ソラナ・ポリゴン・エイダを上場廃止へ
価格続落 米大手投資アプリのロビンフッドは9日、ソラナ(SOL)・ポリゴン(MATIC)・エイダ(ADA)の上場廃止予定を発表した。具体的には、米時間6月27日6:59 PM …
07:25
ETHのL2「Optimism」、ガス代を56%削減
仮想通貨イーサリアムのL2「Optimism」は、アップグレードBedrockを実行した後、ガス代を56%削減。Bedrockは、ガス代を下げることを1つの目標にしていた。
06/09 金曜日
13:40
バイナンスUSが米ドル入出金を一時停止へ
仮想通貨取引所Binance.USは、米ドル(USD)の預金と出金を23年6月13日以降、一時停止することを発表した。これに伴い、米ドル建ての取引市場の廃止と、仮想通貨のみを対象としたプラットフォームへ移行する方針を示している。
12:31
米Ark Invest、SECの提訴日にコインベース株30億円相当を購入
米大手ヘッジファンドARK Investが、米証券取引委員会が提訴を発表した6日に、30億円相当のコインベース株を追加購入していたことが、取引開示により明らかになった。
12:17
ビットコイン横ばい、主要取引所の現物取引高は前月比20%減
米SEC(証券取引委員会)によるバイナンスとコインベースの提訴を受け、現物出来高が細っている。ビットコイン(BTC)は横ばいで推移。イーサリアム(ETH)は大口投資家の数が減少している。
12:04
クラーケン、NFT市場を公式ローンチ 複数チェーンに対応
米大手仮想通貨取引所クラーケンは独自のNFT市場を正式に立ち上げた。イーサリアムとソラナに加えて、新たにポリゴンのブロックチェーンにも対応開始した。
11:35
イーサリアムの次期アップグレード「Dencun」、実装内容が決定
イーサリアムのブロックチェーン開発者は、次期アップグレード「Dencun」に向けて、改善提案(EIPs)のリストをまとめた。予定される最も大きな変更はEIP-4844で、L2のトランザクション手数料を大幅に低下させる目的を持つ。
10:20
ゲンスラー委員長の主張「SECはすでに規制ガイドラインを提供済み」
米SECのゲンスラー委員長は、バイナンスらに対する訴訟後、ビットコインなど仮想通貨に対する規制方針を改めて示した。SECは様々なガイドラインをすでに提供しているとも強調した。
09:35
ZK-EVM開発プロジェクトTaiko、30億円を調達
仮想通貨イーサリアムのスケーリングソリューション「ZK-EVM」を開発するTaikoは、2回のラウンドで合計約30億円の資金を調達。24年1Qにメインネットローンチを計画している。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2023/06/15 ~ 2023/07/15
その他 未定
2023/06/16 09:30 ~ 20:00
東京 東京ミッドタウン八重洲
2023/06/18 10:00 ~ 19:00
Non Fungible Tokyo 2023 associated with Japan Blockchain Week
東京 東京国際フォーラム
2023/06/18 16:00 ~ 20:15
東京 アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京
重要指標
一覧
新着指標
一覧