はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

イエレン米財務長官「責任のある仮想通貨(イノベーション)規制を」

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨について演説

ジャネット・イエレン財務長官は7日、暗号資産(仮想通貨)に関する米バイデン政権の大統領令を主題とする演説を行なった。米国の首都ワシントンDCの「アメリカン大学」にて、学生らに対して、金融とイノベーションに関する”5つの教訓”を共有しながら、米政府の規制方針について深掘りした。

財務長官就任以降、仮想通貨を主題とする演説は初となる。

仮想通貨の経緯

イエレン長官は、「仮想通貨などのデジタル資産は比較的新しい技術であるものの、金融のデジタル化という観点では大きなトレンドの一部に過ぎない」と指摘。1990年代初期に約300万人だったインターネットユーザーは現在では約45億人まで拡大するなど、「社会の在り方を大きく変えた」と述べた。

また、このような金融のデジタル化では、中央集権的な仲介機関への依存を減らす技術が台頭しており、その代表例が2008年に提唱されたビットコインであると紹介。匿名の人物であるサトシナカモトが暗号技術を活用して、二重支払い問題を解消するビットコインのホワイトペーパーを公開したことが、後にブロックチェーンを活用した仮想通貨の基盤となったと説明した。

イエレン長官は、このようなイノベーションの台頭を背景に、バイデン政権が「仮想通貨に関する大統領令」を発表したと言及。大統領令の下、今後6ヶ月の間、財務省やSEC(証券取引委員会)などの省庁機関が連携してレポートを作成していくと語った。

関連:米バイデン大統領、仮想通貨関連の大統領令を発表

CBDCの可能性

またイエレン長官は、「仮想通貨などの新たな技術的イノベーションが、金融領域における送金問題の効率化につながる可能性がある」としつつ、これらの問題の改善に貢献できるかを定めるのはまだ時期尚早だと指摘。

CBDC(中銀デジタル通貨)もこのような観点から注目していると解説した。中央銀行が発行する現金(米ドル)の信頼性と仮想通貨のメリットを組み合わせることで、新たなお金になりえると述べた。

その上でイエレン長官は、「大統領令ではCBDCのデザイン案を検討するレポートを発行予定」と説明し、今後CBDCの構造案が提案されるとした。

なお、CBDCの発行に関する決断について、政府の結論はまだ決まっていないと説明。仮に発行する場合でも、実装には数ヶ月ではなく、数年単位の期間を要するだろうと予測した。

CBDCとは

「Central Bank Digital Currency」の略称で、各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された法定通貨を指す。送金コストの削減や効率性向上などが期待できる反面、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題も多い。

▶️仮想通貨用語集

関連:中央銀行デジタル通貨(CBDC)とは|ビットコインとの違いと主なメリット

仮想通貨規制のアプローチ

さらにイエレン長官は、「仮想通貨でも既存の金融商品でも、同様の規制を適用するべきだ」と発言。このような観点では、規制は「技術的な中立性」(Tech Neutrality)を保つべきだと語った。犯罪利用における意味では、現金を利用しても、仮想通貨でも脱税や違法金融など犯罪目的で利用した場合には双方のケースでも犯罪になるとした。

大統領令については、「仮想通貨領域における消費者保護や投資家保護を促進していく必要がある」と指摘。既存の規制における隙間を埋める政策提言や法改正を行っていくべきだと述べた。

一方で、ステーブルコインについては、2008年の金融危機を引き起こした要因の一つだった「シャドーバンク」と同様に、違法金融や消費者保護のリスクがあると説明。DeFi(分散型金融)や仮想通貨取引所などと共に、規制面の管轄が必要な部分であると課題として挙げ、「法的枠組みは責任あるイノベーションを促しつつ、リスクを管理すべき」と述べた。

この上で、政府のイノベーションに対する正しいアプローチについて、イエレン長官は以下のようにコメントした。

私の考えでは、政府の役割は全ての米国市民のために働き、国家安全保障上の利益と地球を守り、経済的成長に貢献する責任あるイノベーションを保障することだと思う。

このようなイノベーションは官民の対話や、歴史上の金融的な教訓を反映するべきだ。

有識者の見解は

仮想通貨やブロックチェーン業界に造詣がある米ブロックチェーン協会のJake Chervinsky氏は、今回のイエレン財務長官の演説を高く評価。以下のようにコメントした。

イエレン財務長官は、責任あるイノベーションの利点とリスクに関してニュアンスのある理解を示し、技術的な中立性を保った規制の重要性を再認識した。同氏が軽率な政策を進めていないことは明らかだ。

我々も責任あるイノベーションの促進を促すために、財務省や大統領府などと引き続き連携していきたい。

関連:「NFTを国の成長戦略に」自民党デジタル社会推進本部・平将明議員インタビュー

関連:仮想通貨関連「米大統領令」、政府関係者や有識者らの見解は?

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/03 水曜日
17:03
XRP ETF、13取引日で8億ドル(約1240億円)到達 仮想通貨史上2番目の速さ
XRP現物ETFが上場13日で8億ドル超の流入を達成し、ビットコインETFに次ぐ史上2番目の速さを記録。ソラナETFを大きく上回るペースで、アナリストは最大1兆円超の市場規模を予測。
16:25
バイナンス(海外)、15種類の現物取引ペアを停止へ 12月5日実施
バイナンス(海外)は流動性レビューに基づき、12月5日に現物取引ペア15種を停止すると発表。停止は特定ペアのみで、対象トークンの上場廃止を意味しない。取引ボットも同時に終了予定。
15:14
ゲンスラー前SEC委員長「仮想通貨は投機的」 ビットコイン除く全トークンに警告
ゲンスラー前SEC委員長がブルームバーグのインタビューで、ビットコインを除くすべての仮想通貨を「極めて投機的」と評価。退任後も投資家保護の重要性を強調し、規制の観点からビットコインのみをコモディティとして区別する姿勢を維持している。
15:00
HashPortウォレット、Pontaポイントでステーブルコインの購入が可能に
HashPortは12月1日、HashPort WalletでPontaポイントをBase上のUSDCやcbBTCに交換できる「オンランプ」機能と、暗号資産をau PAYギフトカードに変換する「オフランプ」機能を開始した。
13:40
カルシが米CNNの公式パートナーに、予測市場のリアルタイムデータを報道に統合
米予測市場プラットフォームのカルシがCNNと提携し公式予測市場パートナーになった。カルシのリアルタイムデータがCNN番組全体に統合され、政治的・文化的イベントの確率情報を報道に活用する。ソラナ上でのトークン化予測市場も開始した。
12:45
ストラテジーCEO「米ドル準備金でビットコイン売却回避」、配当戦略を語る
米ストラテジー社CEOが今後の準備金や配当戦略を詳細に説明した。米ドル準備金で当面の配当資金を確保し、ビットコイン売却を回避する。レンディング参入の可能性も示唆した。
12:14
イーロンの「Xマネー」決済システム開発で人材募集 ソラナが支援表明
イーロン・マスク氏のX Moneyが決済プラットフォームの技術責任者を募集。ソラナが協力を表明し、仮想通貨統合の可能性に注目が集まる。WeChat型スーパーアプリ実現への動きを解説。
10:32
「資産トークン化が金融のあり方を変革」ブラックロックのフィンクCEOらが論説
ブラックロックのフィンクCEOらが現実資産(RWA)トークン化の可能性を様々な観点から解説した。トークン化の2つの大きな利点や規制当局の役割などにも言及している。
10:15
Trust Wallet、予測市場へのアクセス機能をローンチ
仮想通貨ウォレットのTrust Walletは、予測市場にアクセスできる機能をローンチ。まずはMyriad、ポリマーケット、カルシの3つの予測市場に対応する。
09:49
クラーケン、Backed買収 米国株のトークン化取引を拡大
仮想通貨取引所クラーケンがスイスのBacked Finance買収を発表。トークン化株式サービス「xStocks」は半年で取引高100億ドルを突破。RWA市場は2028年に2兆ドル規模へ成長見込み。
07:25
欧州10銀行がユーロ連動ステーブルコイン発行へ、2026年後半に開始予定
INGやBNPパリバなど欧州10銀行がユーロ連動ステーブルコイン発行を計画中。新会社キバリスを設立し2026年後半の発行を目指す。
07:15
バンカメ「資産管理サービスの顧客は仮想通貨投資を検討すべき」
バンク・オブ・アメリカは、資産管理サービスの顧客に対しポートフォリオの最大4%を仮想通貨などのデジタル資産に配分するように推奨していることがわかった。ビットコイン現物ETFも投資対象にする計画だ。
06:45
トム・リーのビットマインが継続的にイーサリアムを押し目買い、3日間で110億円相当
ビットマインが市場下落局面でも3日間に110億円相当のイーサリアムを追加購入した。同社は約373万ETHを保有し総供給量5%保有の目標に向け62%まで進捗。
06:25
米CME、ビットコインの恐怖指数VIXなどの新ベンチマークを導入
米CMEがビットコイン、イーサリアム、ソラナ、XRPを対象とした仮想通貨ベンチマーク指数を導入した。ビットコインのボラティリティを追跡する指数は株式市場のVIXに相当し、機関投資家のリスク管理ツールとなる。
05:55
チェーンリンク初の現物ETFがNYSEで取引開始、グレースケール「GLNK」
仮想通貨チェーンリンクの初の現物ETFが3日にニューヨーク証券取引所で取引を開始した。グレースケールがGLNKとして上場し運用資産は1700万ドル超となっている。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧