アンドレ・クロンジェ氏の新プロジェクト
著名なDeFi(分散型金融)開発者アンドレ・クロンジェ氏は19日、機関投資家による暗号資産(仮想通貨)の発行・運用に体系的なガイダンスを提供するプロジェクトを開始したことを発表した。
既にクロンジェ氏は複数の組織を設立したという。これらを通じ、機関投資家向けに仮想通貨の発行に関する助言や、技術支援、戦略立案で協力していく。新たなプロジェクトは仲間を募集しており、事業範囲は以下の通り。
- 仮想通貨の保管(カストディ)ソリューション
- リスクレポーティング
- 多通貨決済チャネルとインフラ
- 清算機関および証券取引所のトークン化ポータルサイト
- 上位担保付変動金利DeFi債
- 仮想通貨ETFとミューチュアルファンド
- 国家ブロックチェーン
クロンジェ氏は、地理的領域の無い「クリプト(仮想通貨市場)を規制すること」は不可能だが、ライセンス等を要する領域における「規制されたクリプト」は実現可能と述べる。そして「規制されたクリプト」の実現こそが機関投資家の参入を助け、新しいブロックチェーン経済の台頭につながると主張した。
関連:1週間で1000倍?分散型金融市場のDeFiトークン「yearn.finance」とは
仮想通貨の文化を改める
Yearn.Financeやファントム(FTM)など数々のプロジェクトに貢献してきたクロンジェ氏は、仮想通貨市場が新時代を迎えるためにその慣習を改めるべき、と前日(18日)の投稿で主張していた。
「富や強欲、エゴ」にまみれたクリプト文化が、自己主権、自己統治といった本来のクリプト精神を反故にし、ひいては新規参入者の足を遠のけている。同氏は、予防ではなく保護するためのメカニズムとしての規制の重要性を訴えた。
子供がコンセントに指を差し込もうとしているなら、なぜやってはいけないかを教えるよりも先にまず止めるべきだ。
同氏はまた、ブロックチェーンの新時代はトラスト(信頼)によって推進される世界であり、新しい規制によって強欲は抑えられると指摘した。
今年3月にクロンジェ氏は、ファントム関連プロジェクトの開発者アントン・ネル氏と共に仮想通貨の世界から身を引くことが報告された。DeFiプロトコル「Solidly.exchange」を立ち上げて間もない同氏の突然の引退報道により、関連プロジェクトの仮想通貨が値下がりする事態となった。
こうした経緯もあり、ソーシャルメディアではクロンジェ氏の新プロジェクトに対し懐疑的なコメントも見受けられる。
関連:仮想通貨ファントム、DeFiプロジェクトの開発者が撤退表明