好条件の入札
米連邦破産裁判所で4日、暗号資産(仮想通貨)投資プラットフォームVoyager Digitalに関する2回目の法廷審理が開催された。同社の買収に関する最新情報としてVoyagerは、大手取引所FTXとその関連会社アラメダよりも、「より高くさらに望ましい入札」があったことを明らかにした。
同社は連邦破産法第11条の適用を申請しており、会社更生の一環として、単独再建計画案と並行し、株式と資産売却という選択肢も探っている。Voyagerは7月24日、裁判所にFTX/アラメダによる買収提案を拒否する文書を提出していた。
米連邦破産法11条(チャプターイレブン)とは
日本の民事再生法に似た再建型の倒産法制度。経営を継続しながら負債の削減などを実施し、企業再建を行う。申請後に債権取り立てが停止され、債務者は負債の整理に取り組み、原則120日以内に再建プランを策定する。
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Voyagerは法廷審理で、FTX/アラメダが発表した入札に関するプレスリリース、ツイート、またFoxのインタビューなどは不正確であると批判。両社に対し公開文書に関する排除措置命令書を送付したことを明らかにした。しかし、FTX/アラメダは入札及びそのプロセスについて、現在でも公の場で発言しているとして強く非難した。
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入札に関する今後の計画
裁判所への提出文書によると、約46社がVoyagerと秘密保持契約を締結し、そのうちの22社が買収プロセスに参加中。4日までには複数の入札が提出されたという。Voyagerは8月26日までに入札に参加するよう求めており、適格な入札が複数提出された場合は、8月29日にオークションを実施するとしている。
今後のスケジュールとしてVoyagerは以下のような計画を発表している。
- 9月7日:買収に関する承認審理
- 9月9日:開示説明書の提出
- 9月16日:開示説明書の審理
- 10月24日:計画に関する反対意見・投票
- 10月31日:確認のための公聴会
そして2023年の第1四半期には契約の締結を目指すとしている。なおこのスケジュールはあくまで計画であり、さらに修正される可能性もある。また売却プロセスの結果が更生計画の確認時期に影響を与えることも考えられる。
顧客資産の出金が承認
破産裁判所は同日、顧客資産のうち、現金約360億円(2億7,000万ドル)を顧客に返還する申し立てを承認した。Voyagerは7月、Metropolitan商業銀行(MCB)の顧客用口座に保管されている米ドルについて、裁判所に出金許可を申請していたが、この申請が認められた形となった。
破産申請時の裁判所資料では、口座の金額は約3億5,000万ドルとなっていたが、MCBによるとVoyagerが保有していたのは2億7,000万ドルだったという。MCBは、出金が許可された現金は顧客のために信託された資産であり、Voyagerが法的利益を有しないことが確認されたと述べた。
なお、今回の顧客資産の出金承認は現金に関するもので、Voyagerプラットフォームに保有されている仮想通貨については、今後の裁判所の決定が待たれるところだ。
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