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「P2Eゲームで新しい世界を構築したい」|Galaインタビュー Galaのブロックチェーン部門責任者 ジェイソン・ブリンク氏

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

Galaのジェイソン・ブリンク氏インタビュー

Galaは、Web3ゲームにおけるP2E(Play to Earn:遊んで稼ぐ)モデルをいち早く採用し、ここ最近では音楽や映画事業にも展開している急成長プロジェクトだ。

これまで半年ごとに定期開催されている大型イベント「Galaverse」では、有名アーティストによるコンサートや複数のプロジェクトとの提携などで話題となっている。

今回、Galaでブロックチェーン部門責任者を務めるJason Brink氏にインタビューを行い、ブロックチェーン業界に携わるようになったきっかけや、P2Eゲームの開発に至った経緯、また日本への思いなどを語ってもらった。

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目次
  1. これまでの経歴について
  2. Gala Gamesと日本について
  3. リブランディングと「Galaverse」について
  4. Galaの今後の展望
  5. 日本の読者にメッセージ

これまでの経歴について

・あなたは若干14歳でテクノロジー系のベンチャー企業を立ち上げました。当時のビジョンや目的はどのようなものだったのでしょうか。

当時は自分のコンピュータースキルを利用して、お小遣いを稼ぐ方法を探していました。まだ14歳だったので、当時はコンピューターをそんなに使いこなせていたわけではありません。才能があるわけでもスペシャリストと呼べるわけでもなく、ただ「Photoshop」で人々をサポートできるだけの子供でした。

最初は小さな事業から始め、1点50ドル(約6,800円)でロゴをデザインし、その次は500ドルでシンプルなウェブサイトを作るようになりました。やがてその事業は、米カリフォルニア州のセントラルコースト地域で、ワイナリーや企業向けのデザインの仕事を受けるまでに成長しました。

・ビル&メリンダ・ゲイツ財団の「グローバル・ディベロップメント・ネットワーク賞2014」を受賞しましたが、現在でも、その時の「海外援助」というビジョンを大切にしていますか?

海外援助は、ハイチへの渡航体験が影響しています。ハイチで私は日常的に、非常に多くの悲劇を目にしました。首都のポルトープランス全体が地震で被災していたのです。ポルトープランスで唯一診療している非軍事病院は、人であふれかえっていました。病院のスタッフは最善を尽くしていましたが、明らかに手に負える人数ではありませんでした。

私はこの写真の姉妹に食べ物を届けていました。1人が両足の再建手術をしてベッドに寝ており、もう1人が付き添いをしています。彼女たちの家は地震で破壊され、病院で生活していました。
(提供:Jason Brink)

何百万ドルという支援が国に寄せられていたにも関わらず、街では、ほとんど恩恵が受けられていませんでした。(提供:Jason Brink)

こういった経験は私に「人間としてお互いに支え合うことが必要である」ということを教えてくれました。外国からの支援は非常に有益ですが、支援を広げるための効率的なシステムがないと無駄になってしまうことも多いのです。私は政府やNGO(非政府組織)で働く人々が、支援が行き渡るようにすべきだし、最低限そういった取り組みを誠意を持って始めてみるべきだと思っています。

しかし、固定化されたシステムや官僚政治では、大規模な支援を提供することは不可能に近いのです。これが、私がブロックチェーン業界に参入した主な理由の1つ、特に「Play to Earn(P2E:遊んで稼ぐ)」のゲームを提供しようと思うようになった理由です。

P2Eは、ゲームを楽しみつつお金を得る機会を提供して、人々に必要なものを届けるための1つの手段です。ゲームをする人々は経済圏に貢献することができるようになります。正しくインセンティブを提供できれば、本当に世界を変えることができます。私はこれからも、こういったシステムを構築するサポートをしていくことを楽しみにしています。

実は最近、これに関した内容を世界的カンファレンスである「TEDxTalks」で話す機会がありました(「ゲーム革命と世界を変える方法についてーJason Brink」)。

・2013年からブロックチェーン業界に携わっていますが、当時のモチベーションと、最初に参加していたプロジェクトを教えてください。

最初はブロックチェーンが持つ、ミステリアスでサイエンスフィクション的な性質に惹かれました。そして、様々なデジタル通貨が登場する書籍を多く読み、「私は世の中をサポートし、新しい世界を構築することができるかもしれない」という思いを持つようになります。

しかしながら、時間が経って知識が増えるにつれ、エコシステムが絶対的な中央組織に管理されていることから発生する多くの問題に直面し、ブロックチェーンがどのくらい有益なのかということを考え始めるようになりました。銀行や物流、個人情報管理、金融、不動産、製造など全てのことが、十分に考慮・設計されたブロックチェーン技術であれば改善できると思ったのです。

これはただ単に、業界の広範囲で行われているような、ブロックチェーンでトークンを作るということに留まるものではありません。トラストレスな情報システムを開発することで、効率性を向上できるような、熟慮された方法も含まれます。トークンや仮想通貨もすばらしいですが、それはブロックチェーンがもたらす可能性のほんの一部分に過ぎません。

Gala Gamesと日本について

・Gala Games初のP2Eゲーム「タウンスター」は非常に人気が出て、日本でも話題になりました。正直、ここまでの成功を予想していましたか?

提供:Gala Games

タウンスターはすばらしいゲームです。我々は最初に大きく成功できたことを嬉しく思っています。しかし、さらに発展させ、歴史に残るWeb3ゲームにするためには、やらなければならないことがまだ沢山あります。そこで我々は現在、タウンスターの経済的な仕組みを再構築しているところです。

また、タウンスターの開発チームを率いてもらうため、新たな人材も起用しました。今回リーダーに起用したMark Skaggs氏は、Farmvilleの生みの親であり、過去数十年で最も人気を集めた戦略ゲームの多くを主導してきました。ゲーム開発に関する経験が驚くほど豊富なため、タウンスターがより楽しくなるような改良を行い、開発を進めてくれると期待しています。

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(編集部注:7月20日以降、タウンスターの収益化は一時停止しており、ゲームの経済的な仕組みの再構築が始まっています。)

・日本では、Web3という概念が近年大きな注目を集めるようになり、多くの大手ゲーム企業がブロックチェーンゲームを開発するようになっています。Gala Gamesが、日本のゲーム企業と提携する計画はありますか?

我々は、ぜひ日本の開発企業と提携したいと思っています。Gala Gamesとの協業に興味がある人や企業はGalaのDiscordに参加して、責任者にコンタクトをとって欲しいです。ぜひ資料を用意していただいて、秘密保持契約書にサインをして、お話しましょう。

・好きな日本のゲームはありますか?また、以前よく遊んでいたゲームなどがあれば教えてください。

子供の頃は「ファイナルファンタジーVII」をやっていて、最初から最後まで何度も繰り返しプレイしました。植松伸夫氏が作曲したゲーム音楽「親愛なる友へ」を聴きながら、よく眠りに落ちたものです。

私がファイナルファンタジーVIIで最も印象に残っているのは、グラフィックが、ストーリーを伝える上でそんなに重要ではないということを示していたことです。どんなコンピューターが作成するものよりも、プレイヤーの想像力の方がはるかに良いグラフィックを作成してくれます。ストーリーの要素や象徴的な意味合いがしっかり描けていれば、プレイヤーが頭の中で細部まで描いてくれるということです。

ファイナルファンタジーVIIで、セフィロスが天井から降りてきて、エアリスを殺した時は泣きました。私はティファが大好きで、バレットは最高にカッコいい男だと思っています。

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リブランディングと「Galaverse」について

・Galaは最近ゲーム事業に加え、音楽と映画の業界にも参入しました。今後の計画や目標をお聞かせください。

当社のミッションは、変化に対して肯定的な力になること、そして業界をまたいで、Web3時代のエンターテインメントにおけるリーダーになることです。

ゲームや音楽、映画の業界は、お互いが密接に関係しています。音楽がない映画やゲームはありませんし、映画をゲームにすることは容易です。また音楽をゲーム化することも可能ですし、様々な方法で関係性を持たせることができます。Galaとしても3つの業界で成長していきたいですし、ゲームと音楽、映画を結びつけられれば、コミュニティ全体を最高に満足させることができると考えています。

また、お互いが足を引っ張らないように注意することも重要です。音楽、映画、ゲームの各チームはサポートし合いながらも、お互いの開発リソースには依存せず、完全に独立できるように心がけています。

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・初回の「Galaverse」イベントのように、第2回目も素晴らしいプレゼンテーションや大きな発表があり、エンターテインメント性の強い内容でした。これからも半年に1回このようなイベントを開催するのか、そして今後のイベントではどのようなプレゼンテーションを予定しているのか教えてください。

現時点では、同じように継続して開催していく予定ですが、今後は計画が変更される可能性もあります。我々はいつも新しいアイデアを試そうとしていますし、我々のファンを楽しませる新しい方法を模索し続けています。

マルタのイベントは非常に良かったですが、もし私が決めてよいのであれば、人々が参加しやすくなるように様々な場所でイベントを開催したいです。日本でも同じような規模のイベントを行いたいと考えています。

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Galaの今後の展望

・将来的に、非英語圏のアーティストやインフルエンサーと、世界的な規模でコラボレーションする計画はありますか?

はい、もちろんあります。我々とコラボレーションしたい人は連絡してください。

・Galaは最近、3DCGエンジンを開発するUnityと提携しました。Unityのユーザーが開発したゲームを、Galaコミュニティにリリースする計画はありますか?

ぜひリリースしてみたいです。我々は、自分たちのエコシステムのために、質の高いプロジェクトを常に探しています。Discordに参加して、情報を提供して欲しいです。もちろん、Unityの素晴らしい開発者も常に探しています。

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日本の読者にメッセージ

・日本はゲーム文化が非常に浸透していて、仮想通貨に対する関心も高いです。日本にいる仮想通貨の投資家やGalaコミュニティに伝えたいことはありますか?

ぜひ、Galaは他の多くのプロジェクトとは違うということを知って欲しいです。我々は小さなプロジェクトを行うための、小規模なチームではありません。350人超の従業員がいて、未来のために大掛かりなプロジェクトを行なっています。すぐにでも日本のコミュニティや開発者ともっと同じ時間を共有したいです。我々は、世界のゲーム業界をさらにより良いものにできるはずです。ぜひ、GalaのDiscordに参加したり、私のツイッターを覗いたりしてみてください。

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