制裁を背景に取引終了
SBIホールディングスは、ロシアのビットコイン(BTC)マイニング企業BitRiver(ビットリバー)との取引を終了した。関係筋の情報としてコインデスクが報じた。
SBIは15日に、シベリア地域で行っていた仮想通貨マイニング事業を停止しており今後撤退と発表。その際は特に取引先企業の名前は挙げていなかった。
報道によると、SBIはBitRiverが運営する施設でビットコインのマイニングを行っていたという。SBIは、ロシアとウクライナの戦争開始後すぐに、シベリアでのマイニングを停止したと述べている。
撤退の背景には、主にウクライナ侵攻にともなうロシアへの経済制裁がある。米財務省は4月、「ロシアの天然資源のマネタイズに貢献している」としてビットリバーを制裁対象に追加。7月には、米国政府が外交ルートを通じて、日本の仮想通貨事業者にロシアとの関係を断つよう圧力をかけていたことが伝えられていた。
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SBIは、ロシア以外の国で行っているマイニング事業については継続すると説明している。Blockchain.comのデータによると、SBIマイニングプールは、2月に124ブロック採掘していたものの、7月には74ブロックまで採掘量が減少している。
他の企業がプールに参加することもあるため、必ずしもSBIの採掘量だけを反映したものとはいえないが、ロシアのウクライナ侵攻の影響が窺える形だ。
ビットリバーへの制裁
ビットリバーは、ロシアの最大手仮想通貨マイニング事業者である。6月には、ロシアの天然ガス大手ガスプロムの産油子会社ガスプロム・ネフチと提携して、データセンターに石油ガスで発電した電力を活用していくと発表していた。
米財務省は、ビットリバーを制裁対象とする理由を次のように説明している。
ビットリバーは、仮想通貨のマイニング能力を国際的に売り出す広大なサーバー施設を運営することで、ロシアの天然資源の収益化に貢献している。ロシアはエネルギー資源と寒冷な気候のために、仮想通貨マイニングで比較的優位な立場にある。
一方で、ビットリバーのIgor Runets CEOは、「ロシア政府機関にサービスを提供したことはなく、米国の制裁の対象となっている顧客とも取引していない」と主張した。また、ロシアは仮想通貨マイニングにおいて、米国のライバルとなるため「米財務省の行動は、米国のビジネスに競争上有利になるよう考えられて決定された」とも意見している。
22年1月時点で、ロシアは世界のビットコイン(BTC)ハッシュレートにおいて4.7%の割合を占めており、1位の米国、2位の中国、3位のカザフスタン、4位のカナダに次ぐ、5位にランクインしていた。
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オリガルヒとの関係も指摘
ただ、コインポストの提携メディアThe Blockによると、ビットリバーはロシアのオリガルヒ(新興財閥)Oleg Deripaska氏に関する企業との関係があり、このことも制裁の一因となっている可能性があるという。
米財務省は2018年時点でDeripaska氏本人と、同氏のアルミニウム企業Rusalとエネルギー企業En+およびEuroSibEnergoを制裁対象に指定していた。
The Blockは、ビットリバーには、Deripaska氏の経営企業といくつか繋がりがあると指摘している。一例として、BitRiverの主要なデータセンターは、EuroSibEnergoが所有する水力発電所施設に隣接しており、このデータセンターはもともと、En+とRusalにより構想されていたもので、ビットリバーが借りている施設もEn+が所有していると報じた。