少額ETHステーキングプール
仮想通貨イーサリアム(ETH)のマイニングプール最大手「Ethermine」は来たる「マージ」に向けて、31日に少額から始められるステーキングサービスをローンチした。
「Ethermine Staking」というステーキングサービスはユーザーが0.1ETHから利用できるプールだ。「ETH.STORE」というインターフェイスを通じて世界中のETHバリデーターが生産する1日の平均リターンを確認し、Ethermineのサービスが同等のリターンを提供しているかどうかを判断することができるようになる。また、32ETH以下を預けるユーザーには、最大15%の手数料が設けられるが、より手数料の低いサービスである「Ethpool」では32ETHの最低限ステーク数を必要とする。
なお、米国はサービス対象国に含まれないという。
We are proud to announce Ethermine Staking! 🎉
— Ethermine.eth (@ethermine_org) August 30, 2022
Ethermine Staking is an investment based on ETH_STORE, an objective and transparent reference rate based on Ethereum Proof-of-Stake.
Invest as little as 0.1 ETH https://t.co/myG3pOob7P
大型アップグレード「マージ」はレイヤーごとに2段階に分けて行われるされるもので、9月6日には「Bellatrix」が、そして15日前後には「Paris」が実施される見込みだ。完了すれば、マイニングを必要とするPoWからステーキング基盤のPoSへと変わる。
関連:イーサリアムPoWフォーク:新トークン付与に関する「仮想通貨取引所」対応一覧表
一方、米政府によるアドレスへの検閲のリスクを懸念し、PoS版ETHに対応しない業者が見られる。マイニングプール大手AntPoolは27日、「PoS版イーサリアムはさまざまな国の検閲リスクを伴うため、顧客の資産保全を考慮すると、AntPoolはPoSチェーン上のユーザーのETH資産を維持することができなくなる」として、PoS版ETHを管理しない方針を発表した。
関連:マイニングプールAntPool、「ETHマージ」後のサポートを廃止する方針
検閲のリスクとは
PoS版イーサリアムに対する検閲懸念が高まっているのは、8月8日に米国財務省外国資産管理局(OFAC)が、仮想通貨ミキシングサービスTornado Cash(トルネードキャッシュ)を制裁対象者リスト(SDN)に指定したことに起因。
関連:米議員、イエレン財務長官へTornado Cash制裁について質問状を送付
PoSに移行後、イーサリアムのトランザクション処理はバリデータによって行われることになる。しかし現在、Lido Financeやコインベースをはじめとする米国に拠点を置くステーキングサービスプロバイダーがPoS版ネットワーク上のバリデータノードの約60%を占めている。そのため、これらのプロバイダーが米政府によるアドレス制裁にどのように対応するかといった未知数の部分が大きいとされている。
関連:マイニングプールAntPool、「ETHマージ」後のサポートを廃止する方針