CoinPostで今最も読まれています

NFTゲーム化予定、MMOの金字塔「メイプルストーリーN」とは|主な特徴を解説

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

2022年6月、ゲーム大手のネクソン株式会社は、『メイプルストーリー』のNFTゲーム版をリリースすることを発表しました。

初代メイプルストーリーは2003年にリリースされたMMO(大規模多人数同時参加型)オンラインRPGの元祖とも言えるタイトル。世界中に1億8000万人超の総ユーザー数を抱える人気作品です。

そのため、メイプルストーリーがブロックチェーンゲーム化され、「Play to Earn(遊んで稼ぐ)」の仕組みが実装されるというニュースには、ゲームファンから非常に大きな反響がありました。

メイプルストーリーのNFT化は、主に4つのプラットフォームから成り立つ大規模な仮想世界「メイプルストーリーユニバース」の構築を通じて行われます。メイプルストーリーユニバースでは、NFTゲームにとどまらずゲーム制作・アプリ制作といったクリエイター機能による収益化も可能です。

本記事では、始動しはじめた将来有望なプロジェクト・NFT版のメイプルストーリーの構想や詳細、ネクソンが描く展望についてご紹介しましょう。

目次
  1. 大人気ゲーム『メイプルストーリー』とは
  2. NFTゲーム版メイプルストーリー『メイプルストーリーN』のリリースが決定
  3. 『メイプルストーリーユニバース』を構築する4つのプロジェクト
  4. 『メイプルストーリーユニバース』のエコシステムの展望
  5. メイプルストーリーのNFT化が市場に与えるインパクト

1. 大人気ゲーム『メイプルストーリー』とは

出典:MapleStory

まず前提知識として、圧倒的な人気を誇るMMORPG「メイプルストーリー」について簡単に解説します。

1-1. メイプルストーリーの歴史、実績、人気度

出典:ネクソン

メイプルストーリーは、2003年に配信開始されたMMORPGゲームの金字塔。懐かしのドット調グラフィックスで描かれる可愛らしいキャラクター・本格的なゲーム要素が魅力の2D横スクロール型アクションゲームです。

配信開始からまもなく20年を迎える古参コンテンツですが、現在に至るまで継続的な成長を続け、シリーズの累計総売上高は30億ドル超に達します。

アジア圏を中心に世界中で根強い人気を誇りますが、特に韓国における人気は驚異的で、韓国内の登録ユーザー数は同国人口の45%に相当するとのデータもあります。まさに「元祖オンラインRPG」と呼ぶにふさわしいタイトルでしょう。

ゲームは基本プレイ無料で、楽しみ方は大きく「キャラクター育成」「コミュニティ」「グループプレイ」「冒険」の4種類に分けられます。決まったストーリーが設定されていないため、プレイヤーが自分だけの冒険ストーリーを作れる自由度の高さも魅力です。

1-2. メイプルストーリー運営企業『株式会社ネクソン』の概要

次に、この大ヒットゲームを開発した運営企業「株式会社ネクソン」についてご紹介します。

ネクソンは、1994年に韓国で創業したオンラインゲーム制作企業です。2002年には日本国内で「株式会社ネクソン」を設立し、2011年に東証一部に上場を果たします。現在では、韓国に「NEXON Korea Corporation」、米国に「NEXON America Inc.」、台湾に「NEXON TAIWAN LIMITED」等、世界中に多数の子会社を抱える大企業に成長しました。

メイプルストーリーの他、中国で人気の『アラド戦記』や日本で人気の『カウンターサイド』などオンラインゲームを中心にリリースし、190以上の国・地域へ配信しています。

特に2021年以降は、仮想通貨領域での活動を活発化させていることでも知られるように。例えば2021年4月には110億円相当のビットコインを購入したことを発表、国内上場企業がバランスシートにビットコインを組み入れた初の事例として注目を集めました。

東証1部上場企業ネクソン、110億円相当のビットコインを購入 国内初の事例
東証1部上場企業NEXONが、110億円相当の仮想通貨ビットコインを購入したことを発表した。国内上場企業がBTCを財務資産に組み入れるのは初めて。

2. NFTゲーム版メイプルストーリー『メイプルストーリーN』のリリースが決定

そんな株式会社ネクソンが、2022年6月に実施された韓国最大規模の開発者向けカンファレンス「Nexon Developers Conference 2022」の公演において、メイプルストーリーのNFTゲーム化を発表しました。続いてはメイプルストーリーのNFTゲーム化について、公式発表をもとに概要・構想の詳細をご紹介しましょう。

2-1. メイプルストーリーNFT化の背景

これまでネクソンは膨大な数のゲームを開発してきましたが、NFTゲームをリリースするのは今回が初の試みです。そんな前例がない状態にもかかわらず、ネクソンは同社にとって主力タイトルかつIP(知的財産権)の一つである「メイプルストーリー」を選択しました。

その理由として同社は、「NFTゲーム参入の取り組みが流行に乗った施策ではなく、ネクソンの本気であることを示すため」の決定であると説明しています。すでに膨大なユーザー数を抱える人気タイトルを選ぶことで、競合他社の作品数が増える中でも初動の勢いを確保し、エコシステム(独自経済圏)の将来性に対する信頼を獲得しやすくするという目的もあるでしょう。

すでに数多くのNFTゲームがリリースされていますが、経済圏を安定的に機能させるために必要なユーザー数を獲得できなかったために失敗に終わるプロジェクトも少なくありません。

この点、既に十分な知名度があるメイプルストーリーであれば、NFTゲーム化の際にも安定したユーザー数を確保できる可能性が高いでしょう。

2-2. ネクソンが描く「メイプルストーリーユニバース」の構想

出典:ネクソン

ネクソンはメイプルストーリーのNFTゲーム化にあたり、ブロックチェーンの性質に合わせた最適な設計を改めて模索するとのことです。ネクソンが特に注目するブロックチェーンの性質は「透明性」「開かれた生態系」「価値の保存」の3つであり、こういった性質によるメリットを最大化できるような設計を目指します。

「メイプルストーリー・ユニバース」と呼ばれるこの構想では、ブロックチェーン技術の特性を最大限活かした大規模な経済圏をもつ仮想世界を構築。例えば分散型・非中央集権的な運営管理や、Play to Earn含めた多様な収益化の選択肢、NFTによるデジタルデータの所有など、多角的かつ総合的な機能を実装予定です。

仮想世界において、NFTはゲームプレイ・イベント参加・マーケットプレイスでの取引で獲得でき、売買によって収益化も可能。NFT取引の際に発生する小額の手数料は、メイプルストーリーユニバースの発展へ貢献した開発者へ報酬として分配されます。

非中央集権性・公平性を担保するため、生みの親であるネクソンもエコシステムを開発する一会社として生態系に参加。一般の開発者と同様、ゲームへの貢献度に応じて取引手数料から公平な分配を受け取ります。

こういった透明性・公平性を重視した構造により、将来的な経済圏の拡大を促進する狙いです。

ネクソン「メイプルストーリー」、NFTゲーム化を発表
全世界110カ国で1億8,000万人のユーザーベースを誇る人気PCゲーム「メイプルストーリー」について、新たにNFTゲームがリリースされることが分かった。

3. 『メイプルストーリーユニバース』を構築する4つのプロジェクト

出典:ネクソン

続いては、メイプルストーリーユニバースの骨子となる4つのプラットフォームについて、公表されている情報を整理しましょう。リリース前の段階から、NFTゲームの枠や自社サービスの範囲を超えたエコシステム拡大を想定した設計となっている点に注目です。

3-1. メイプルストーリーN

出典:ネクソン

一つ目のプラットフォームは「メイプルストーリーN」。現在も配信中のメイプルストーリーの世界観を、ブロックチェーン技術によってNFTゲームとしてリニューアルします。

メイプルストーリーNにはPlay to Earnの要素もあり、プレイヤーはクエストの達成等によってトークンやアイテムを獲得可能。NFT化したアイテムの所有権は、完全にユーザーへ帰属します。

中央集権制を排除するため、ネクソンはアイテムショップの運営や課金アイテム販売、NFTフリーセールを行うことはありません。ユーザーは、ユーザー主体で運営されるマーケットプレイスを通じてP2Pで取引を行います。

3-2. メイプルストーリーN モバイル

出典:ネクソン

二つ目のプラットフォームは、メイプルストーリーNをスマートフォンで遊べる「メイプルストーリーN モバイル」。メイプルストーリーNのモバイル版として位置づけられる本プラットフォームは、PC版メイプルストーリーNとNFTや世界観を共有します。

従来のメイプルストーリーでは、条件付きでPC版・モバイル版の連携は可能なものの、あくまで新ミッションの開放やアイテム獲得がメイン。ゲームの世界観を共有するわけではなく、あくまで別個のゲームという扱いでした。

メイプルストーリーNでは、ブロックチェーン技術を駆使してその連携性を強化します。仮想世界を共有し、PC版のキャラクターを使ってモバイル版でもプレイが可能になる予定です。

3-3. MOD N

出典:ネクソン

三つ目のプラットフォームは、ユーザーが自由にゲーム開発ができるサンドボックス制作プラットフォーム「MOD N」です。MOD Nでは、自身が保有するNFTやネクソンが約20年かけて開発した3千万個以上のアセットを使い、自分だけのブロックチェーンゲームを開発できます。

MOD Nで制作されたゲームはクリエイターの所有物となり、公開されたゲームは一般ユーザーもプレイ可能。MOD Nで制作したゲームの人気度を元にゲームへの貢献度が測定され、貢献度に応じた報酬を獲得できる等、ゲーム制作を通じた収益化の仕組みも実装される予定です。

ゲームプレイを通じて稼ぐだけでなく、開発者としてエコシステムに貢献することによっても報酬を得られる設計により、経済圏の活性化・継続的な拡大が期待できるでしょう。

3-4. メイプルストーリーN SDK

出典:ネクソン

四つ目のプラットフォームは、メイプルストーリーユニバースで獲得したNFTを活用して様々なアプリを制作できる「メイプルストーリーN SDK」。

「SDK」とは「ソフトウェア開発キット」の略称で、本プラットフォームではメイプルストーリーユニバースの経済圏をさらに充実させるアプリ制作が可能です。前述したMOD Nよりも自由度が高く、想像力次第でゲームの範疇を超えた斬新なアイデアを形にできます。

例として公式は、「NFTの保有ユーザー向けのグッズ制作ファンディングアプリ」や「ゲームのキャラクターが健康管理をサポートするヘルスケアアプリ」などを挙げています。

メイプルストーリーN SDKを使ったアプリ開発により、メイプルストーリーユニバースはいずれNFTゲームという壁を越え、全方位的な活用性を持つプラットフォームへと進化していくでしょう。

4. 『メイプルストーリーユニバース』のエコシステムの展望

最後に、メイプルストーリーユニバースについて、ネクソンが掲げる目標や展望についてご紹介します。

公式発表を参照すると、「NFTが自由に移動できる仮想世界を具現化すること」やエコシステム内における「NFT価値の永続的な提供」の実現が大きな目標と言えるでしょう。

NFTが持つ価値の永続的な提供とは、万が一メイプルストーリーのブロックチェーンデータが消滅した場合や、例え開発元のネクソンが無くなったとしても、NFTがその価値を維持し続ける事を意味します。

そのための試みとしてネクソンは、まず同社が提供する複数サービスにおいてNFT・世界観を共有できる仮想空間の構築から始めます。メイプルストーリーユニバースは、今後ネクソンがローンチするメイプルストーリー以外のNFTゲームを順次追加してゆくことを前提に設計されるとのこと。

また、前述のメイプルストーリーN SDKは、ゲームの範疇にとどまらずメイプルストーリーNFTの新たな使い道を提供し続けることで、NFT価値の永続性担保に貢献します。

いずれは、外部の様々なNFTプロジェクトとの互換性を持つプラットフォームへと進化させてゆく計画です。世界中のプロジェクトへメイプルストーリーNFTが進出し、外部プロジェクトがメイプルストーリーユニバースに進出し、相互的に融合しながら拡大・発展してゆく。そんなエコシステムの構築こそが、ネクソンが持つビジョンと言えるでしょう。

5. メイプルストーリーのNFT化が市場に与えるインパクト

ネクソンはメイプルストーリーユニバースの構想として、「NFTゲームにとどまらず全方位的な活用性を持ち、外部プロジェクトとも融合しながら世界規模で拡大していく仮想世界を構築する」という壮大なビジョンを掲げています。

比較的早い段階で、自社の主力タイトルのNFTゲーム化を決めたネクソンの動向には、市場関係者も大いに関心を寄せています。ネクソンがNFTプロジェクトを成功に導けば、市場への参入を決める上場企業も増加するものと考えられます。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
04/27 土曜日
17:20
機関投資家のDeFiリスク管理を強化、Fireblocksの新セキュリティ機能
FireblocksがDeFi製品にdApp ProtectionとTransaction Simulationを追加。リアルタイム脅威検知と安全なトランザクション実現で、機関投資家のオンチェーン活動をサポート。
13:00
BAYCで知られるYuga Labs、事業再編でチームメンバー削減 
Yuga Labsは、事業再編の一環としてチームメンバーの一部を削減した。「より小規模で機敏でクリプト・ネイティブなチーム」にする意向だ。
10:30
米国で仮想通貨発行の推奨事項5ヶ条、a16z明かす
大手ベンチャーキャピタルa16zは、米国で仮想通貨トークンを発行する際の推奨事項を挙げた。特に証券性など米SECをめぐる対処を中心としている。
09:30
ビットコインRunesデビュー1週間、200億円以上の手数料生み出す
手数料については、ミーム仮想通貨取引への高い需要が原因で、4月初めの5ドルから平均40ドルまで高騰している。ビットコインのマイニング報酬が半減し、収益が大幅に減少する見通しとなっていた採掘業者にとっては朗報だ。
08:00
半減期後のBTCのリターン、Nansen主席アナリストが分析
半減期後の仮想通貨ビットコインのリターンを、ブロックチェーン分析企業Nansenの主席リサーチアナリストが分析。半減期後250日までが最もリターンが高いという。
07:30
円安で1ドル158円台に、米ハイテク株高 来週FOMC金利発表|金融短観
本日の米国株指数は反発。エヌビディアやアルファベットなど大手IT株がけん引役となった。前日発表の米1-3月期GDPは予想を下回って悪材料となっていたが、昨夜発表の米3月PCEデフレーターはほぼ予想通りだった。
05:55
パンテラ、FTXの仮想通貨ソラナを追加取得
FTX破産財団はこれまですでにロックアップされた仮想通貨SOLの約3分の2を手放した。その多くは4年後に完全にアンロックされる見込みだ。
04/26 金曜日
14:22
「ミームコインは危険なカジノのよう」米アンドリーセン・ホロウィッツCTOが警鐘鳴らす
米大手VCアンドリーセン・ホロウィッツの エディ・ラザリン最高技術責任者は、ミームコインを「危険なカジノ」に例え、仮想通貨エコシステムから「本物の起業家」を遠ざける可能性があると主張した。
14:00
米FBI、マネロン防止ルール非遵守の仮想通貨サービスに注意喚起
米連邦捜査局は、マネーロンダリング防止基準を遵守していない仮想通貨送金サービスを利用しないよう、アメリカ国民に対して呼びかけた。
12:55
BTC半減期後に最初に採掘されたSatoshi、3億円超で落札
仮想通貨ビットコインの半減期後に最初に採掘されたSatoshiがオークションで3億円超で落札。Ordinalsの誕生によって、今はレア度の高いSatoshiに需要が生まれている。
12:32
ビットコインの反騰失速、ブラックロックのETF(IBIT)への資金流入が初めて途絶える
暗号資産(仮想通貨)市場では、自律反発のビットコインが日足50SMAを抜けられず再反落。ブラックロックのビットコインETF「IBIT」への資金流入は、ローンチ後71日間で初めて途絶えた。
10:15
著名な「Buy Bitcoin」のサイン、1.6億円で落札
「Buy Bitcoin」と書かれた著名な法律用箋が、オークションで1.6億円で落札された。仮想通貨ビットコインで入札され、正確な落札価格は16BTCである。
09:40
フランクリン・テンプルトンの600億円規模「BENJI」トークン、P2P送信可能に
米大手資産運用企業フランクリン・テンプルトンは、米国政府マネーのトークン化ファンドFOBXXで資産のピアツーピア送信を可能にしたと発表した。
08:30
強気相場継続の兆しか? パンテラが新たな仮想通貨ファンドで1500億円以上調達計画
2024年の仮想通貨相場感が2023年から好転しておりVCの調達案件も着実に増えている状況だ。昨日、野村グループのLaser Digitalが主導するラウンドで、zkSync Era基盤のWeb3ゲーム開発会社Tevaeraは500万ドルを調達した。
07:35
ETHの証券性巡りConsensysがSECを提訴
仮想通貨イーサリアムは証券ではないとの判断などを裁判所に要請するため、 Consensysが米SECを提訴。同社は事前にウェルズ通知を受け取っていた。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア