仮想通貨を分析
暗号資産(仮想通貨)などのデジタル資産のデータを分析する米企業Inca Digitalは23日、米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)と契約を締結したことを発表した。
契約の目的は、デジタル資産が国家の安全保障にどのような影響を与えるかを理解するためのプロジェクトで協業すること。DARPAが資金を提供し、同社の政府契約部門「Inca Digital Federal」が、分散型台帳の金融アプリに関する行動を分析するための先端技術をリサーチする。
今回の契約について、Inca Digitalの最高経営責任者は以下のように説明した。
デジタル資産は大きな可能性を秘めているが、マネーロンダリングや市場操作などで悪用され、安全保障のリスクになる可能性がある。
デジタル資産の普及が拡大していることを考えると、デジタル資産を理解したり、世界の市場で管轄権を行使したりするために、国防総省や他の連邦機関には、より質の高いツールが必要だ。
これから同社は、仮想通貨金融のデータやリスクを分析したり、視覚化したりできるツールを開発。このツールは米政府だけでなく企業も活用できるという。主な分析対象として挙げられている内容は以下の通り。
- デジタル資産企業と他企業はどう関係しているか
- 仮想通貨と従来の金融システムはどのように影響し合うか
- ブロックチェーン技術はマネロン、テロ資金供与、制裁回避とどう関連しているか
- ブロックチェーンシステムでどのようにお金が流れているか
- 仮想通貨が世界のどこで法定通貨、商品、サービスと替えられるか
- 仮想通貨が米政府の担当地域でどのように使用されているか
米国の取り組み
米国ではバイデン大統領による大統領令を受け、デジタル資産のルール作成が加速している。今月にはホワイトハウスが、仮想通貨やNFT(非代替性トークン)、中央銀行デジタル通貨(CBDC)などに関する包括的な開発枠組みを発表。米国の各省庁が調査を行って政策方針に反映しており、この枠組みは、民間部門の研究開発やイノベーション促進と同時に、リスク軽減のための施策も求めている。
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また今週には、仮想通貨やステーブルコインについて、超党派の議員が規制法案を策定中であることが報じられた。特に注目されている条項は、現金や米国債券など流動性の高い資産に裏付けされていないステーブルコインに対して2年の禁止令を発令すること。明言はされていないが、テラ騒動を意識した動きと捉えられている。
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