Voyagerを落札
再建計画を進めている米仮想通貨投資プラットフォームVoyager Digitalは26日、同社の資産売却オークションについて、大手取引所FTX.USが落札したことを発表した。
落札価格は約14億2200万ドル(約2,000億円)で、内訳は現状Voyagerが保有する仮想通貨の市場価値合計(推定13億1,100万ドル)と、将来の値上がりを加味した増分公正価値(約1億1,100万ドル)だ。
双方の購入契約書は10月19日に裁判所に提出予定。Voyagerの顧客とその資産は破産手続きの終了後、FTX USプラットフォームに移行することになる。
VoyagerはFTX USについて、以下のように述べている。
FTX US の入札は、債務者に連邦破産法第11章の計画完了に向けた明確な道筋を示す。顧客およびその他の債権者に価値を還元できるため、価値の最大化と再建計画の残存期間の最小化につながる。
米連邦破産法11条(チャプターイレブン)とは
日本の民事再生法に似た再建型の倒産法制度。経営を継続しながら負債の削減などを実施し、企業再建を行う。申請後に債権取り立てが停止され、債務者は負債の整理に取り組み、原則120日以内に再建プランを策定する。
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FTXの救済
Voyagerは7月に連邦破産法第11条の適用を申請。Bloomberg Lawによれば、同社の推定資産総額は10億ドルから1000億ドル。負債総額は推定10億ドルから100億ドルと伝えられていた。
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Voyager Digitalは6月末に、破綻に陥った仮想通貨ヘッジファンド「Three Arrows Capital(3AC)」に対して6億5,000万ドル(940億円)相当の債務不履行通知を発行した背景がある。
資産売却について、Voyagerは「3ACの不良債権に関する請求権は破産管財人に残されており、適切なプロセスに基づいて破産菅財人から債権者に分配される」と述べている。
2022年に入り、FTXは窮地に陥った仮想通貨企業の救済措置に乗り出している。同社のサム・バンクマン=フリードCEOは、バランスシートに穴があいた(負債総額が資産総額を超過する状態)企業の救済を多くの企業が躊躇する中、「(危機的状況が広がることを防ぐために)穴を埋める」役割を買って出ていると語っていた。
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FTX.USのブレット・ハリソン社長(President)は6月に本誌のインタビューに対応。一時的な価格変動に左右されずに長期的な目線で仮想通貨市場を見ているとして、「投資する額を変更しない」と語っていた。
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