ブロックチェーンでリサイクルに取り組む
三井化学株式会社らは13日、9月末に資源循環型社会の実現を目的としたコンソーシアム(共同企業体)「Pla-chain(プラ・チェーン)」を設立したことを発表した。
「Pla-chain」には、三井化学のほか、日本アイ・ビー・エム株式会社と株式会社野村総合研究所が参画。「RePLAYERブロックチェーン プラットフォーム」を活用した、プラスチックリサイクルの諸課題の解決などに取り組む。
「RePLAYER」自体は、三井化学が22年4月にバイオマスとリサイクルのソリューションブランドとして「BePLAYER」と共に立ち上げた、廃プラ等の廃棄物を資源と捉え、再利用していくイニシアティブだ。
「Pla-chain」は、21年8月に3社が設立に合意していたコンソーシアムで、今回正式に設立された形となる。
資源循環の促進に向けて、資源循環プラットフォームを活用した実証実験に向けた情報共有を実施、また、複数企業による研究会開催、コンソーシアムで得た知見等の情報共有、他団体との交流も行う予定。
発表されている、主な目的や活動内容の詳細は以下の通りだ。
- トレーサビリティを基盤とした、プラスチックリサイクル材の利用促進
- 資源循環に関わるステークホルダー間の連携支援
- 資源循環の推進に向けた社会や制度のあるべき姿の検討
- 本コンソーシアムの会員企業による定期的な討議の場の提供(3ヶ月に1回程度のラウンドテーブルを予定)
- 資源循環推進に向けたあるべき姿、個別の課題に関する討議(分科会)
- トレーサビリティを活用した資源循環に資する実証実験に向けた情報共有。ただし、実行主体は会員企業とする。
- 資源循環にまつわる事例などの情報提供
- 本コンソーシアムの活動で得た知見の共有、コンソーシアム内外への情報発信や提言
日本IBMの、IBMコンサルティング事業本部 事業統括担当の柴田 祐一郎常務執行役員は、「Pla-chain」の設立について、以下のようにコメントしている。
日本IBMは、ブロックチェーンをはじめ、ハイブリッドクラウド、AIなど先端テクノロジーを活用し、世界をより良くする「Good Tech」を全世界で推進しています。昨年4月には三井化学様とともに、プラスチック素材のトレーサビリティシステムの実用化を目指し、ブロックチェーン技術を活用した資源循環プラットフォームの構築を開始しました。
当コンソーシアムでは、IBMが多様な業界の企業とデジタル変革に取り組んできた実績や知見、スキルをもとに、資源循環に取り組む会員同士の共創や社会課題の解決をテクノロジーの面でご支援することで、三井化学様、NRI様、会員の皆様とともにサステナブルな社会の実現を目指していきます。
ESGに配慮した取り組みの一環か
今回の「Pla-chain」の設立は、三井化学らによる「ESG」に配慮した取り組みの一環と思われる。
「ESG」は、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を組み合わせて作られた用語。企業の気候変動などを念頭においた長期的なリスクマネジメントや、新たな収益創出の機会を評価するベンチマークとして注目されている概念だ。
この概念に配慮した企業に対して投資を行う「ESG投資」も活発化しており、日本でも、投資に「ESG」の視点を組み入れることなどを原則として掲げる国連責任投資原則(PRI)に、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2015年に署名したことを契機に、ESG投資が広がりを見せている。