NFTのロイヤリティに関するレポート
米大手暗号資産(仮想通貨)投資企業Galaxy Digitalのリサーチ部門は、NFT(非代替トークン)のロイヤリティについてレポートを発表した。
NFTのロイヤリティとは、売買価格の一部が自動的にクリエイターに還元される仕組みのこと。スマートコントラクトではNFTの移転が購入か譲渡かを識別できないため、多くのマーケットプレイスで設定されている状況である。
レポートによると、イーサリアム(ETH)ベースのNFTプロジェクトはクリエイターロイヤリティとして、合計で約2,700億円(18億ドル)の収益を上げている。上位10個のNFTプロジェクトは、全ロイヤリティの27%に当たる約720億円(約4.9億ドル)を稼いでいた。
1位だったのは、Bored Ape Yacht Club(BAYC)を始めとする人気コレクションを提供するYuga Labsであり、約220億円(約1.5億ドル)のロイヤリティ収入を得ている。アルゴリズムにより生成するアート作品(ジェネラティブアート)を提供するArt Blocksが約120億円(約8,000万ドル)で2位に続いた。
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NFTとは
「Non-Fungible Token」の略称で、代替不可能で固有の価値を持つデジタルトークンのこと。ブロックチェーンゲームの「デジタルアイテム」交換などに用いられるのみならず、高額アート作品の所有権証明や、中古販売では実現の難しかった「二次流通市場」における権利者(クリエイター)への画期的な還元手段としても注目を集める。
▶️仮想通貨用語集
服飾ブランドなどを展開する企業がNFTによって得たロイヤリティについては、著名スポーツブランドのナイキが、約133億円(約9,000万ドル)で他を引き離している。アディダスが約7億円(約480万ドル)、グッチが約2億円(約160万ドル)と続いた。
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ロイヤリティ徴収の是非
レポートは、ロイヤリティを巡る議論に焦点を当てるものだった。
現在、ロイヤリティの必要性について議論が起こっており、ロイヤリティを導入しないプラットフォームも登場しているところだ。例えば、分散型NFTマーケットプレイスSudoswapは、クリエイターのロイヤリティ報酬を「0%」に設定したことで波紋を呼んでいる。
NFTの買い手にとっては、ロイヤリティがゼロになるということは入手コスト低減につながる。しかし、NFTクリエイターにとっては収益減につながるため、クリエイターやプロジェクト側からは反対の声も多い。
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レポートは、今後NFT市場が成熟していく中で、どのような長期的な解決策が検討されるか注目されると述べている。解決策の例としてはまず、売り手よりもこれからNFTエコシステムへ参加する意欲を持つ買い手にロイヤリティ支払い義務を付与することを挙げた。
さらに、NFTコレクションの提供者が独自のマーケットプレイスを運営することで利益率を最大化し、ロイヤリティを低く設定することも考えられるとしている。
他には、ロイヤリティ収入が期待できなくなったクリエイターが、購読モデルのような新たなビジネスモデルを導入する可能性や、一次販売時の価格を上げる可能性などにも言及した。