はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

バイナンスCEO、FTX破綻の再発防止は「業界全体の責任」 G20主催カンファレンスで力説

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスのチャンポン・ジャオ(CZ)CEOは14日、G20が毎年主催するビジネスカンファレンスB20に登壇。FTXの破綻騒動や再発防止策、仮想通貨の有用性や今後の課題などについて力説した。

バイナンスがFTTを今後FTXトークン(FTT)を段階的に全て売却する方針を示して数日以内でFTXが破産を表明、さらにその内部関係者が引き起こした可能性の高いハッキングが発生するなど波乱万丈の一週間となった先週の出来事について、CZ氏は以下のようにコメントした。

先週、我々の業界は大きく揺るがされた。

しかし、このような出来事のみがこの業界の全てではないことを知ってもらいたい。

この業界は浮き沈みが激しく、悪いプレイヤーも少なくないが、それでも我々は成長し続ける。

業界最大手を競い合っていたFTXが破産を表明した現在、業界の構図としてはバイナンス優勢の状態になった点について、CZ氏は「大手取引所はさらに大きくなりやすい」と指摘。ある種のネットワーク効果が発生していると言及した。

我々のような大手取引所はセキュリティにより投資できる資金力がある。

セキュリティが高まればユーザー数もおのずと増加し、流動性が高くなり、価格もより良くなりやすい。

関連:仮想通貨市場に激震、アラメダショックとFTX騒動の動向まとめ

業界の一極化を懸念する意見に対しては、「分散型が理想」と認めつつ、現状のweb3業界には(規制などの面で)手を抜くプレイヤーが多いと指摘。結果的にはそういった企業やプロジェクトは投資家の信頼を損なうことにつながるため、「業界関係者にはしっかり正しいシステムの運用」を呼びかけた。

ネットワーク効果とは

サービスや商品の利用者の増加に応じて、そのサービスや商品自体の価値も高まる傾向を指す。通信ネットワークに関して「ネットワーク通信の価値は、接続されているシステムのユーザ数の二乗に比例する」と提唱したメトカーフの法則に基づいている。

▶️仮想通貨用語集

その上でCZ氏は直近の業界動向を受け、業界他社とも連携してグローバルな業界団体の設立を検討していると発言。「ともにビジネスにおける共通規格の制定を取り組みたい」と語った。

同氏は14日夜に開催したAMAセッションでも、世界各国の規制当局などと連携して、業界のベストプラクティス(最善敢行)の策定に努める組織に関する構想を明かしている。

関連:CZ氏がAMA開催「バイナンスは安全に運営されている」

バイナンスは「取引所だけではない」

また、バイナンスについては中央集権型の取引所(CEX)としてのイメージが強い反面、大局的には「人々が仮想通貨アクセスを支援するツールのエコシステム」だと形容。仮想通貨の売買以外にもVC(ベンチャーキャピタル)投資部門のバイランスラボや「ブロックチェーン業界で最もアクセスされている情報サイト」のCoinMarketCap(2020年に買収)、そして教育・慈善活動にも力を入れていると述べた。

今週14日も直近の業界動向を念頭に、流動性危機に陥っている有望プロジェクトを支援する為の「リカバリー(事業再生)ファンド」を設立する意向を表明したばかりだった。

関連: バイナンス、業界支援で事業再生ファンド設立へ

仮想通貨のメリット

なお、CZ氏が登壇したB20はG20が例年主催しているビジネス系カンファレンス。今年はインドネシアで開催されており、15日から16日にかけては仮想通貨を主題としたカンファレンス「V20」も開催している。

G20とは

「Group of Twenty」の略称。

要国首脳会議(G7)に加盟する7ヶ国(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本、イタリア、カナダ)に加え、EU(欧州連合)、ロシア、中国、インド、サウジアラビア、トルコ、アルゼンチンといった新興国を含めた計20ヶ国で構成されている。

▶️仮想通貨用語集

仮想通貨に関する知識が少ない観衆を念頭に、CZ氏は仮想通貨の有望性を以下のように説明した。

仮想通貨を価値の移動を可能にする新たな技術だ。

新たなビジネスモデルや資金調達手段、投資手段や決済などのあり方を大きく変える。

仮想通貨はお金に関わるため、金融業界への影響も大きい。この技術を理解することは重要である。

また、リスクも存在するため規制の必要だと述べつつ、法整備は「正しく安定したやり方で行うべき」だと語った。

特に、VC業界が発展中のインドネシアの情勢を例に挙げ、仮想通貨を活用したICOやIEOなどは資金調達の常識を大きく変えたと分析。従来のVCなら、数年を要する数千万ドル(数十億円)規模の資金調達もブロックチェーンを活用すれば世界中から投資を募り、数日で完了できると言い立てた。

その上で、仮想通貨やブロックチェーンは最も直接的な「海外直接投資」だと述べ、政府も新興産業を受け入れていくべきだと主張した。

関連:Web3関連企業の資金調達額、前四半期比で減少も過去最高更新

普及のネックとは

仮想通貨の有望性を語る一方で、CZ氏は短期的に見れば仮想通貨は「まだ使いにくい」とユーザビリティを課題として指摘。大半は仮想通貨の利用方法を知らないであろう観衆をさしながら、以下のようにコメントした。

ウォレットをダウンロードして、プライベートキーのバックアップをして、複数の場所に保管して、なおかつ、それを子孫に残す手段を知る方々はここにほとんどいないだろう。

これらのステップは非常に困難だ。

また、世界の資産の99%はいまだに法定通貨を利用している。双方(法定通貨と仮想通貨)を融合させ、一般の人々でも新たな技術を徐々に使いやすい環境を整えることが必要だ。

その反面、「一旦使い方さえ慣れてしまえば、仮想通貨はより使いやすいお金の形態」だと指摘。仮想通貨を利用すれば、従来のお金では課題となる国際送金などが容易になるメリットなどを挙げ、今後10年〜20年単位で考えれば仮想通貨が現在の若年層を中心に一般普及するだろうと展望した。

長期的には、ユーザビリティ問題さえ解決すれば、仮想通貨を利用するユーザーは増えるだろうと予想している格好だ。

仮想通貨規制や税制の在り方

また、FTX騒動のような業界全体に対する信用不信をもたらす出来事の再発防止策については、「業界全体が消費者と投資家を保護する役割がある」と考察。規制当局が100%責任を持つべきではないとの考えの下、業界企業やVCファンド、そして投資家自身や政策立案者、教育機関などが多角的に連携していくべきだと提案した。

業界全体が消費者と投資家を保護する役割がある。誰も悪人の犯罪を完全に防ぐことはできない。

嘘をつくのが上手な人間が居て法律を破ろうとする場合、法律は法律を防ぐ人間を止めることは不可能だ;あくまでそれを抑制することしかできない。

VC投資家が投資したビジネスが上手く機能しなければ、多くのユーザーに害を及ぼすため、彼らも責任を持っている。 また、消費者や教育機関も学校で金融リスクの評価方法を学ぶ場を設けるべきだ。

また、規制当局からは仮想通貨規制における明確性と洗練性が必要となっている。課題もあるが、我々は規制当局と連携してこの業界を発展していかなければならない。

規制当局も担うべき役割を持つが、彼らのみが責任を負わされるべきではない。

さらに、仮想通貨税制に関しては、税率を上げることが税収入を増やす最短の手段ではないと指摘。世界的に見渡せば税率の低い国は多数あることから、高い税率が必ずしも税収入の増加には至らないとして、以下のようにコメントした。

ユーザーへの取引に対する課税は推奨しない。税収を増やす最適解は(仮想通貨企業に対する)ライセンスをより寛大に付与することだと思う。

ライセンスがあれば、データ開示を要求し、政府が状況を管理しやすい。ライセンスを付与しなければ、事業者が海外に流出していくだけになる。

(総合的な利用を抑制する)ユーザー取引への課税ではなく、企業などの法人所得を課税すべきだと思う。

関連:自民党Web3PTが仮想通貨税制で緊急提言『税率20%の申告分離課税対象』など目指す

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
17:25
米ビットコインETF、1週間で大規模な資金流出が2回
11月20日、米ビットコイン現物ETFは9億300万ドル(約1,395億円)の純流出を記録し、史上2番目の規模となった。1週間前の記録を更新。ブラックロック、グレースケール、フィデリティの主要3ファンドで流出の大部分を占め、全ETFで純流入ゼロという異例の事態に。
16:38
予測市場が急成長 カルシ(Kalshi)が1500億円調達と報道も
予測市場カルシが2ヶ月で評価額2倍超の110億ドルで10億ドル調達。取引量は10月に過去最高の44億ドルを記録。競合ポリマーケットも120億〜150億ドルでの追加調達を協議中で、予測市場への投資が加速。
16:33
暗号資産(仮想通貨)の申告分離課税が実現したら?押さえておきたい税務のポイント|Aerial Partners寄稿
仮想通貨の申告分離課税が現実味を帯びてきた今、投資家が知っておくべき税制変更のポイントを解説。税率の一定化、損益通算、特定口座の導入可能性など、制度導入後の注意点と準備すべきことをわかりやすく紹介します。
16:10
CAICAテクノロジーズ、JPYC決済ソリューションの提供を開始
CAICAテクノロジーズが日本円ステーブルコインJPYCの決済ソリューション提供を開始。企業向けにコンサルティングサービスと決済モジュールを提供し、ステーブルコイン決済の導入を支援する。
16:03
ナッジ、ステーブルコイン決済・還元対応クレカ「HashPortカード」発行開始
HashPortとナッジが日本初となる後払い型クリプトクレジットカード「HashPortカード」を発行開始。ステーブルコインJPYCで決済・還元が可能で、利用額の0.3%をJPYCで還元。年会費無料、カード発行手数料2,500円。
15:44
金融庁が語る暗号資産規制改革の全貌──銀行参入、インサイダー規制、DEX対応の狙い|独占取材
金融庁独占取材。暗号資産規制の金商法移行について、銀行グループ子会社の参入、インサイダー取引規制導入、分散型取引所(DEX)対応の狙いを詳しく聞く。投資家保護と健全なイノベーション両立への取り組みを解説。
13:55
Bitcoin Core、史上初の公開セキュリティ監査をクリア 「重大な脆弱性なし」
ビットコインの基盤ソフトウェアBitcoin Coreが16年の歴史で初となる第三者セキュリティ監査を完了した。Quarkslabによる4ヶ月間の徹底調査で致命的な脆弱性は発見されず、300兆円規模のネットワークの安全性が裏付けられた。
13:30
金融安定理事会、ステーブルコイン監視強化を表明 G20サミット前に警告
金融安定理事会(FSB)のベイリー議長がG20首脳会議を前にステーブルコイン規制強化を表明。市場規模3000億ドル突破を受け、ECBも警戒。2026年作業計画で国際協力推進。
13:05
仮想通貨団体ら、税制改正などをトランプ大統領に要望
ソラナ政策研究所など65以上の仮想通貨団体がトランプ大統領に書簡を提出。税制の改善、規制の明確化、イノベーションや開発者保護の取り組みを求めた。
13:00
Secured Finance CEOが語るJPYC固定金利レンディングの挑戦|独占インタビュー
Secured Finance菊池氏が語るJPYC固定金利レンディングの全貌。日本円を世界の金利ベンチマークにする構想、RWA担保展開、x402対応など最新戦略を独占取材。
11:25
米SEC、今年度の仮想通貨含む執行件数が3割減 アトキンス委員長就任後は記録的低水準に=報告
米SECの2025年度執行件数が30%減の56件、金銭的和解額も45%減の8億ドルと記録的低水準に。トランプ政権下でアトキンス委員長が就任し、仮想通貨規制を大幅緩和。前政権の「執行による規制」から明確なルール作りへ方針転換。
11:02
アバランチ財務企業「AVAX One」、最大63億円規模の自社株買いを承認
仮想通貨アバランチの財務企業AVAX Oneは、取締役会が最大で約63億円規模の自社株買いを承認したと発表。また、購入規模を増やしたり、購入期間を延長したりしていく可能性があるとも説明している。
10:30
バイナンスジャパン、PayPayで暗号資産購入が可能に
Binance JapanとPayPayが連携サービスを開始。PayPayマネーから1,000円で暗号資産を購入可能に。入金手数料無料、24時間365日利用可能、PayPayポイントも使える新サービス。
10:20
ビットコイン続落、トレジャリー企業の売り懸念とFOMC利下げ不透明感で市場心理最悪に|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは続落基調が止まらず、一時は7か月ぶりとなる8万5000ドル台まで下落。背景には、世界最大のビットコイントレジャリー企業であるストラテジー社が、MSCIやナスダック100といった主要株価指数から除外される可能性がある。
10:05
コインベース、イーサリアム担保ローンを開始 最大約1.57億円まで借入可能
大手仮想通貨取引所コインベースがイーサリアム担保ローンサービスを開始。最大100万ドルのUSDC借入が可能に。Morphoプロトコル活用でBase上で運用。ニューヨーク州を除く米国ユーザーが利用可能。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧