リップル裁判は最終局面か
米証券取引委員会(SEC)と米リップル社は2日、暗号資産(仮想通貨)XRPの有価証券問題を巡る裁判で、略式判決の動議書に対する回答をそれぞれ提出した。
リップル社のStuart Alderoty首席弁護士は3日に「今回の回答は、リップル社に有利な判決を下すよう裁判所に求める最後の書類だ」と説明。約2年継続している本裁判は、最終局面に入ったとみられる。
This is our final submission where we ask the court to grant judgment in our favor. After two long years, Ripple is proud of the defense we’ve mounted on behalf of the entire crypto industry. We have always played it straight with the Court. Can’t say the same for our adversary.
— Stuart Alderoty (@s_alderoty) December 2, 2022
SECとリップル社は今年9月、ニューヨークの連邦地方裁判所に略式判決の申し立てを行った。正規の事実審理(裁判)を省略して、提出文書に記された論拠に基づき、裁判所が判決を下す略式判決を要請した。
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リップル社は今回、SECはXRPの販売が投資契約であることを証明できなかったと主張。SECが未登録有価証券の販売であると指摘したXRPの販売が、ハウィーテストの基準を満たしているという証拠を示せていないと述べた。
例えば、XRPの購入者が「共同事業」に投資したことも証明できていないと指摘。単純に資産を購入しただけということを覆す十分な主張は行えていないとした。
ハウィーテストとは
米国で、特定の取引が「投資契約」という証券取引の定義の1つに該当するかどうかを判定するテスト。W. J. Howey社に対するSECの訴訟事件に由来する。このテスト自体に法的拘束力はないが、SECはこのテストを根拠に複数のICO(トークン販売)に対して訴訟を起こした経緯がある。
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Alderoty氏は、今回の裁判について、以下のようにコメントしている。
2年もの長い間、仮想通貨業界全体を代表して弁護を行ってきたことを、リップル社は誇りに思う。
我々は裁判に対し誠実に対応してきたが、相手もそうだったとは言えない。
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SECの主張
一方でSECは、反対の立場を維持。以下の3つの重要な事実について、リップル社は反論できていないと主張した。
- 投資家はXRPと引き換えに、リップル社に対し20億ドル(現レートで約2,700億円)以上を提供した
- 提供されたXRPを、リップル社は「共同事業」に使用した
- XRPの投資家は、「他者の努力による収益」を期待していた
上記の内容など、SECとリップル社は互いの主張を列挙して、裁判所に提出。それぞれが自分たちに有利な判決を下すように要請している。
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