裁判の進捗状況
米リップル社のブラッド・ガーリングハウス最高経営責任者は11日、暗号資産(仮想通貨)XRPの有価証券問題をめぐる米証券取引委員会(SEC)との裁判に関して、来年上半期には判決が言い渡されるとの考えを示した。
2年近くに及ぶこの訴訟では、早期解決に向け、9月にSECとリップル社双方から略式判決の申し立てがなされた。米ワシントンDCで開催中のカンフェレンス「フィンテック・ウィーク」の公開インタビューでガーリングハウス氏は、11月半ばには全ての準備書面が裁判官の前に出揃うだろうとコメント。裁判官の仕事のペースを予測するのは難しいが、楽観的な見通しでは3〜4ヶ月、悲観的な見方でも来年の半ば頃には判決が出ると予想した。
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先例となる訴訟
SECとの和解の可能性について尋ねられると、ガーリングハウス氏は「SECがXRPが証券でないということを明言したら、もちろんそうする」と発言。しかし、ほぼ全ての仮想通貨が証券と見做されると主張するゲーリー・ゲンスラーSEC委員長が、この方法で問題の収束を図るとは考え難いと述べた。
この裁判は「先例となる訴訟」として、リップル社だけではなく、仮想通貨業界全体、ひいては仮想通貨をめぐる米国のリーダーシップにとって重要だとガーリングハウス氏は強調。もし、早々にSECと和解していたとしたら、リップル社の立場は良くなっていたかもしれないが、業界全体としては、もっと悪い状況に陥っていただろうと語った。
イーサリアムに関する発言
ガーリングハウス氏は、6回にわたる裁判所の命令にもかかわらず、仮想通貨の分類に言及した2018年の講演に関する内部文書提出をSECが拒んでいることを非難。SECがこの文書を「世界と共有しないことにこだわる理由は何なのか」と問いかけた。
問題となっている講演では当時、企業金融(財務)ディレクターだったウィリアム・ヒンマン氏が、「SECはビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)を有価証券として分類しない」と発言。リップル社は、同講演に関するメールや草稿などのSECの内部文書が、「XRPが有価証券である」というSECの主張を覆す鍵となると見ている。
また、ゲンスラー委員長が、イーサリアムが有価証券に該当するのか否かについての公言を避けていることに言及。規制当局としてルールを明確にしていない姿勢を批判した。
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仮想通貨規制の明確化
ガーリングハウス氏は、仮想通貨規制の明確化を促進するとして、4月末に米連邦議会に提出されたデジタル商品取引法案(DCEA)を支持していることを明らかにした。
この法案は、米商品先物取引委員会(CFTC)が商品デリバティブ市場を規制するための、既存の商品取引法を基盤としており、仮想通貨などデジタルコモディティを扱う取引所に対して、連邦政府のライセンス制度を導入するもの。仮想通貨市場に対するCFTCとSECの管轄権をより明確にすることも定めている。
米国では11月に中間選挙が控えているため、法案の審議がどこまで進むかは不明だが、ガーリングハウス氏は「法律で定められた権限を越えようとしている」SECを牽制するのには、議会の力が有効だと考えている様子だ。