デジタル庁の令和5年度予算案
デジタル庁の2023年度(令和5年度)予算案として4,950億円程度を計上したことが18日に明らかになった。前年度当初予算額4,720億円に対して4.9%増となる。
産経新聞が報じた内容によると、新たに「Web3.0(分散型ウェブ)」の環境整備の予算が組まれ、1億円程が割り当てられた。
Web3.0はブロックチェーンをはじめとする分散型ネットワークを活用した、非中央集権型のインターネット。NFT(非代替性トークン)や暗号資産(仮想通貨)、トークンベースの組織運営(DAO)といったユースケースがある。
デジタル庁の23年度全体予算のうち大半(約4,810億円)を占めるのは、「情報システムの整備・運用に関する経費」。令和5年度予算概算要求では対前年度比955.5億円の増額を要請していた。
デジタル庁は、独自システムだけでなく、各府省のガバメントソリューションサービスなども含めた、システムの統合・共通化、情報連携を進める。地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化を加速するための環境整備、共通基盤であるマイナポータルの利便性の改善などにも着手する。
デザインシステム構築の目的は、ボタンや入力フォームなどのデザインパーツを再利用することで開発を効率化し、利用者の課題解決に注力する時間を増やすことです。日本の行政機関が使いやすいサービスを素早く届けられるように、今後もアップデートを続けていきます。
— デジタル庁 (@digital_jpn) November 11, 2022
令和5年度予算案で新たに組み込まれた項目には、デジタル機器やサービスに不慣れな方をサポートする「デジタル推進委員等の全国展開に係る経費」、及びWeb3.0の推進があり、それぞれ約1億円程が割り当てられた。
マイナンバー制度の推進には前年と同水準となる約5億円を計上。19日には行政手続きのオンライン窓口である「マイナポータル」のサイト設計や表現を見直した、実証中のウェブサイトを公開していた。
デジタル庁とは
2021年9月に発足した「デジタル庁」は、日本をデジタル化する司令塔として設立した組織。その組織体制は、大きく分けて「戦略・組織グループ」「デジタル社会共通機能グループ」「国民向けサービスグループ」「省庁業務サービスグループ」の4グループに分けられ、総勢800人(内290人が民間事業者)で構成される。
産経新聞が同庁幹部にヒアリングした情報によると、現在は1人の幹部が多数のプロジェクトを兼務する状況で人員増による体制強化が急務となってきた。
令和5年度予算案では、常勤職員の定員を83人増員し、非常勤職員も民間のデジタル技術の専門家を中心に133人増やし、総勢1,000人体制に拡大する方針を固めたという。
Web3に関する環境整備
デジタル庁は9月末に「Web3によって実現を目指す経済や産業、社会のあるべき姿について、さらに検討を進めること」を目的としたWeb3.0研究会を設立。2022年末までに議論をまとめるべく、全10回程度の会合を行っている。
11月末には総理大臣官邸で第13回新しい資本主義実現会議が開催され、「スタートアップ育成5か年計画」の内容が決定。税制を含むブロックチェーン技術とWeb3.0(分散型ウェブ)に関する環境整備が含まれた。
高度な技術や専門知識を有する海外人材と日本のスタートアップとの協業を促すため、海外人材の呼び込み、民間と連携した国内外の Web3.0人材の交流機会の創出など、海外人材が活躍できる環境整備を行う方針だ。
関連:岸田政権、Web3スタートアップ育成の環境整備に向けたロードマップ示す