今週(2/25(土)〜3/3(金))の仮想通貨相場
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
2/25(土)〜3/3(金)の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は320万円を挟み込み揉み合いが木曜日まで続いたが、3日東京時間に一段安を演じ310万円を2月16日ぶりに割り込んだ。
3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅を巡り懸念が燻る中、今週は米国債利回りが上昇した一方、米住宅価格指数の伸び鈍化や消費者信頼感の低下、さらには中国のPMI大幅改善に相場が支えられたBTCだったが、ドル建てで節目2.4万ドルにワンタッチすると失速。
週央に米共有管理協会(ISM)が発表した製造業の動向レポートでは、PMIがわずかに改善し、インフレの先行指標ともされる支払価格指数が上昇傾向の基準となる50を上回り上値を重くした。
一方、暗号資産(仮想通貨)事業に注力する米国のシルバーゲート銀行(SI)が、規制対応を背景に米証券取引委員会(SEC)への年次報告書提出の延期を発表し、同社の株価が時間外取引で急落する中、BTC相場は2月中旬の上昇の半値押し水準で反発した。
木曜日には、ボスティック・アトランタ地区連銀総裁が、3月の25ベーシスポイント(bp)利上げを支持し、夏までに利上げを停止できると発言し、BTCは持ち直したが、ギャラクシー・デジタル、パクソス、コインベース、クリプト・ドット・コム、ジェミナイといった主要な仮想通貨関連事業者がシルバーゲートとの取引を停止するとの発表が続く中、金曜東京時間に相場はロングの投げを伴い急落した。
シルバーゲート銀行は仮想通貨関連企業の預金を受け入れていたことで知られており、一連の提携解消で経営存続が懸念され始めた。シルバーゲートのような金融機関は、仮想通貨の交換業者が顧客の法定通貨受け入れ・引き出し業務を行うのに不可欠な役割を果たしている他、FTXショック以降懸念される既存金融機関と交換業者の隔たりを大きくする可能性も懸念され、業界にとってもネガティブな流れだ。
BTC相場にとって不安材料は市場の外にも顕在する。木曜日のボスティック総裁の発言で米株市場は反転したが、実際に3月の利上げ幅を巡る市場の懸念が後退し続けるかはこの先の経済指標次第だ。
今週は住宅価格指数の伸び鈍化が確認された一方、ISMの製造業支払価格指数は4ヶ月ぶりに上昇傾向に転じた。同指標は1月時点で12月から上昇しており、他のインフレ指標の伸び鈍化を予兆していたようにも見え、この先の消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)の結果が危ぶまれる。
また、本日はISMサービス業動向レポートも公開され、従前から指摘されているサービス業のインフレが2月も強めに出れば、リスク資産には向かい風となろう。
BTC相場は既に9月高値を割り込み、2月中旬の相場上昇から全値押し水準となる21,366ドルや11月高値の21,478ドルを試す展開が視野に入る(第2図)。同水準では一旦相場がサポートされると見ているが、来週は米雇用統計が発表される週でもあり、警戒ムードから厳しい市況が続くか。
関連:bitbank_markets公式サイト
前回のレポート:ビットコイン高値圏維持失敗だと全値押しシナリオにも注意