仮想通貨の税負担軽減
スロバキアで28日、暗号資産(仮想通貨)の売却益に対する税負担を軽減するための改正案が国会を通過した。
スロバキアはポーランドやウクライナの隣国で、中央ヨーロッパに位置する。同国のメディアDenník Nによれば、改正案は仮想通貨の保有期間が1年以上の場合、売却益に対して一律7%の税率が適用されると定めている。これは、通常の所得税率(19%〜25%)よりも大幅に低い水準だ。
さらに、2,400ユーロ(約38万円)相当までの仮想通貨による決済利用は非課税となるとの規定も設けられる。加えて、仮想通貨で得た所得は14%の健康保険税の対象外となる。
法案の目的は、「仮想通貨の売却に関連する税の負担を軽減し、日常生活での使用を容易にすること」とされている。個人投資家にとっても企業にとっても、仮想通貨の使用を容易にし、国内のイノベーションを推進する可能性がある。
短期・長期キャピタルゲイン税
スロバキアの法案は、投資家や仮想通貨マイニング企業などを惹きつける可能性がある。その結果、国内外からの投資を増やし、EU(欧州連合)における仮想通貨のハブ(中心地)なり得ると考えられる。
一方、ポルトガルでは2019年から仮想通貨は付加価値税(VAT)や所得税の対象から除外されてきた。しかし、2023年度の予算案では、「1年以下の期間保有された暗号資産の取引から得たキャピタルゲイン」は28%の課税対象となると規定された。なお、1年以上保有された仮想通貨は引き続き非課税とされている。
保有期間に応じた税率の適用は、米国やドイツでも採用されている。米国では、仮想通貨を売却するまでの保有期間が1年以下の場合は10%〜37%の税率が適用され、1年以上所有していた仮想通貨の売却益に対する税率は0%〜20%となる(データ:IRS)。
日本の現行法では、個人の暗号資産取引に関する所得はすべて総合課税の対象となり、5~45%(住民税を含むと最大55%)の税率が課される。しかし、自由民主党のデジタル社会推進本部web3PTは昨年、「分離課税20%への見直し」を含む税制改正に向けた提言を行ったが、決定には至らなかった。
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