リップル社によるCBDCレポート
暗号資産(仮想通貨)XRPを提供するリップル社は中央銀行デジタル通貨(CBDC)についてのレポートを発表した。普及させる上でのバリアや、金融システムにもたらし得る利点を概説している。
CBDCが広く採用される上での障壁については、以下のように説明した。
主な制限要因は、CBDCに関する統一された世界的な規制枠組みがないという事実だ。このことは、リップル社のようなソリューションプロバイダーも、各国と個別に協力して、それぞれの国のCBDC規制に準拠しなければならないことを意味する。
その他の要因としては、エンドユーザーによる普及の欠如、消費者教育がほとんど行われていないこと、プライバシーとセキュリティ保護に対する懸念、CBDC間の相互運用性の欠如、取引へのオフラインアクセスの問題などをが挙げた。
リップル社は、CBDCの利点については、金融包摂、国境を越えた決済の効率化、金融政策のコントロール強化などを挙げている。また、環境負荷を少なくするためにPoS(プルーフオブステーク)のチェーンを選択可能だとも述べた。
また、シティーグループの調査を引用し、今後10年間のうちに、主要経済国にさまざまな通貨で約711兆円(5兆ドル)相当のCBDCが流通すると推定されているとも指摘している。
リップル社は5月に、CBDCとステーブルコイン開発のための新プラットフォームを立ち上げている。エンドユーザー向けデジタルウォレットも用意した。
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なお、日本の財務省もCBDC「デジタル円」についての議論を進めているところだ。
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CBDCとは
各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。「Central Bank Digital Currency」の略である。仮想通貨との大きな違いは、CBDCは法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。
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CBDCの課題に関する動き
国際的なCBDC基準としては、主要7ヵ国(G7)が2021年にCBDCに関する共通原則を発表した。「CBDCは銀行など、既存金融に損害を及ぼしていけない」などの基準を定め、プライバシーや透明性、データ保護などに関する厳格な基準を提案している。
ただ、これは詳細な規制枠組みや技術的な仕組みを規定するものではない。
プライバシーに対する懸念に関しては、米国議会でも議論が行われている。トム・エマー下院議員が、CBDCには「連邦政府に国民の取引を監視し、制限する能力を与える可能性がある」と懸念を表明し、デジタルドルが国民監視に使用されることを阻止する法案を提出した。
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相互運用性については、民間企業も参加して様々な実験が行われている。例えば、銀行間メッセージングサービスのSWIFT(スイフト)は9月、オーストラリア準備銀行、ドイツ連邦銀行、香港金融管理局など30の金融機関でCBDCの相互リンクソリューションのテストを開始した。
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