半減期がマイナーに与える影響
暗号資産(仮想通貨)投資企業CoinSharesは、株式上場しているマイニング企業および非公開マイナーの財務諸表を分析したところ、次の半減期後のビットコイン生産コストと収益性を分析したレポートを発表した。
採掘報酬の半減した後は高コストのマイナーは収益減少により苦境に陥る可能性があり、半減期後のマイナーの平均ビットコイン生産コストは1BTC=37,856ドル。損益分岐点は約40,000ドル(約580万円)になると予測した。
販売費と一般管理費の膨張が今後の課題となり、収益性を維持するにはコスト削減が必要だと指摘した。
レポートでは、マイナーによるビットコインの直接的な生産コストと、マイニング設備の運営経費を含んだコストの平均を推計。2023年第3四半期には、それぞれ16,800ドル(234.7万円)と 25,000ドル(362.6万円)だったが、半減期を迎えると、これらのコストが大幅に上昇し、27,900 ドル(404.7万円)と37,800 ドル(548.3万円)になると予測している。
今年4月に予定されているビットコイン半減期後、マイニング報酬は現在の6.25 BTCから3.125 BTCに減少する。
CoinSharesによると、ビットコインのマイニングネットワークは昨年、ハッシュレートが104%急上昇するなど大きな成長を遂げた。一方、このような急速なネットワーク拡大によって、環境と収益の持続可能性に関する懸念が引き起こされていると同社は指摘している。
収益性に関しては、多くの企業がマイニングフリート効率を改善しているにもかかわらず、半減期前と同量のビットコインを採掘するためには、電力消費量を増やす必要があるため、直接的なコスト構造は改善されないという。
また、高いハッシュレートを持つマイニング企業が、ブロック報酬及び取引手数料を獲得する確率が高くなるため、企業間で機器の拡充競争が生じ、より大規模なデータセンターが必要となる。その費用は大規模な資本支出によって賄われるため、ビットコインの総生産コストへ影響することとなる。
優位なマイニング企業
CoinSharesによると、ほとんどのマイニング企業が販売管理費の高騰による課題に直面しており、収益性を維持するためには、コスト削減が必須だという。
同社は、現金とビットコイン準備金を用いて、現金運営支出の支払いに何日間耐え得るかの指標を「滑走路」と定義。効率的なコスト構造と「長い滑走路」を有している米大手マイニング企業Riotが、半減期のさまざまな課題に対処するのに「最良のポジション」にあると評価した。
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また、全体としてビットコイン価格が40,000ドル以上を維持できない場合、採算が取れるマイニング企業はほんの一握りであり、資金繰りに行き詰まり事業撤退を余儀なくされる企業が相次ぐと予想している。
CoinSharesが1BTC=40,000ドル未満で収益を確保できると評価したのは、以下の5社となった:
- Bitfarms
- Iris
- CleanSpark
- TeraWulf
- Cormint
それ以外のマイニング企業は、「滑走路」を使い込むことになり、株式発行や融資による資金調達に頼ると思われるため、最終的には株価の低下を招くことになると、CoinSharesは予想している。
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