Suiの技術に期待
レイヤー1ブロックチェーンSuiの開発を支援するSui財団は22日、米大手資産運用会社Franklin Templetonと戦略的パートナーシップを締結したと発表した。
🚨 BREAKING🚨 We’re excited to partner with @FTDA_US!
— Sui (@SuiNetwork) November 22, 2024
Franklin Templeton Digital Assets has previously invested in the Sui ecosystem, and this new partnership will provide further benefit by seeking value creation opportunities to allow Sui builders to deploy novel technology…
Franklin Templetonのデジタル資産部門(FTDA)は、これまでにもSuiエコシステムに投資してきたが、新たな提携により、Sui開発者へのサポートとSuiプロトコルを活用した新技術の導入が推進されると期待されている。
Suiエコシステム開発責任者のJameel Khalfan氏は、「Suiはもともと、FTDAが解決しようとしている課題、特に今日の分散型金融(DeFi)に存在する課題からインスピレーションを得た」と述べた。
Franklin Templetonが高く評価したSuiエコシステムのプロジェクトには次のようなものがある。
- Deepbook: DeFiの中央指値注文簿(CLOB)
- Karrier One:Karrier One DePin(分散型物理インフラネットワーク)を支える分散型モバイル通信サービス
- Ika: シームレスで安全なクロスチェーンのやり取りを可能にする並列MPCネットワーク
Franklin Templetonの上級副社長でデジタル資産管理ディレクターのTony Pecore氏は、今回の提携について、次のように語った。
この10年間、ブロックチェーン技術は技術者や経済専門家から注目を集めてきたが、技術的な限界に直面することが多々あった。私たちはSuiチームが構築しているものに期待している。
Suiとは
SuiはMetaの元メンバーによって開発された次世代のレイヤー1ブロックチェーンで、2023年4月にメインネットがローンチされた。特にDeFiやゲームでの利用が期待されており、高いスケーラビリティ(拡張性)とセキュリティを提供する点で評価されている。
技術面では、メインネット上で大規模なコンセンサスアップグレード「Mysticeti」を今年8月に導入。Mysticetiは、取引の最終確認を390ミリ秒で行うことで、取引速度と効率を大幅に向上させるもの。直近では1秒あたり1,000件を超える処理を3日連続で達成している。
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9月には、Suiブロックチェーンのコア開発を担うMysten Labs(ミステンラボ)が、業界初のWeb3ゲーム対応ポータブルゲーム機「SuiPlay0x1」の先行予約販売を開始。SuiPlay0x1はソラナのSagaスマホに続くDePin(分散型物理ネットワーク)の製品として期待されている。
また同月末、シンガポールで開催されたSui Builder Houseイベントで、分散型ストレージおよびデータ可用性プロトコル「Walrus」を発表した。
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Suiの躍進と投資機会
Suiは、複数のトランザクションを同時に処理可能な分散型スマートコントラクトプラットフォームとして注目を集めている。
Suiはメインネットのローンチ以来、DeFi部門で急速に成長。特に今年に入ってからの成長が著しい。
Suiの1日あたりのトランザクション数は、2024年10月3日から5日にかけて10倍以上急増し、5日には約5,800万件と初めて『ソラナ(Solana)』ネットワークのトランザクション数(約3,500万件)を上回った。
また、同ネットワーク上の預かり資産(TVL)総額は過去1年間で675%増加。またDeFi取引量は 956%増加した。現在、SuiネットワークのTVLは15億7,300万ドル(約2,420億円)で、DeFiランキングの8位にランクインしている。
米資産運用会社グレースケールは8月、SUIを組み込んだ投資信託「Grayscale SUI Trust」を発表。機関投資家への投資機会の提供を開始した。
また、米大手資産管理会社VanEck(ヴァンエック)は今月、SUIトークンに連動する新たな上場投資証券(ETN)を発表した。このETNはユーロネクスト・アムステルダムとユーロネクスト・パリで取引が開始され、欧州15カ国以上の投資家がSUIトークンを直接保有することなく、その価格変動への投資が可能になるものだ。
VanEckは、Suiを高速で使いやすく、一般的なインターネットユーザーにとって親しみやすいプラットフォームと評価。その高いパフォーマンスとユーザーフレンドリーな設計を、ETNに採用した理由として挙げた。
SUIの価格はこの1年で約6倍上昇し、11月17日には過去最高の3.92ドル(602円)を記録した。
11月21日には、コードに含まれていたバグの影響で、およそ2時間半ネットワークが停止する事態が発生したが、修正版をリリースし、バリデータが協力して迅速に対応し復旧。この影響でSUI価格は一時5%超下落した。
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