
ビットコイン戦略開始へ
米ナスダックに上場するヘルスケアサービス企業のカインドリーMD(KindlyMD)は12日、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)のトレジャリー企業であるナカモトホールディングスと、最終的な合併契約で合意したと発表した。
合併の目的は、ビットコインの財務戦略を開始すること。合併とともに7.1億ドル(約1,050億円)の資金調達も完了する予定で、新会社でビットコインの購入を開始する。カインドリーMDの株価は、本記事執筆時点の時間外取引では下落しているものの、12日の立会時間では251%上昇した。
合併後の新会社は、単純にビットコインを蓄積していくことに加え、資金調達をしながら、1株当たりのビットコイン保有量を指す「ビットコインイールド」を増やしていくことを目指すとカインドリーMDは説明している。
そして、コンプライアンスを遵守した透明性の高い構造で、公開市場にビットコインのエクスポージャーを提供するとした。
7.1億ドルの資金の内、5.1億ドルを集めた私募増資(PIPE)には、VanEckらの企業やメタプラネットのサイモン・ゲロヴィッチ代表取締役社長らの個人など、6大陸から200超の投資家が出資している。
合併は、カインドリーMDとナカモトホールディングスの取締役会は全員一致で承認済み。これからカインドリーMDの株主の承認を得たり、慣習的な合併取引完了条件を満たしたりした後に手続きが完了する予定である。
なお、それまでは、現在のティッカーシンボルでカインドリーMDの株は取引がされるが、合併完了後は企業名とティッカーシンボルを変更する予定。カインドリーMDは合併後もヘルスケア事業を継続するとした。
ナカモトホールディングスについて
ナカモトホールディングスは、世界のビットコイントレジャリー企業のネットワークを構築しようとしている企業。「ビットコインマガジン」や「BTC Inc」のCEOを務めるデヴィッド・ベイリー氏が創設した。
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今回のカインドリーMDとの合併は、ビットコインの普及を加速させる企業のエコシステムを構築するというナカモトホールディングスのビジョンにとって、最初の一歩になるという。
合併後の企業でもCEOを務めるベイリー氏は今回の発表で、以下のように述べた。
上場企業でも非上場企業でも、全てのバランスシートがビットコインを保有する未来が来ると我々は信じている。ナカモトホールディングスは、その未来へと加速するための初めての上場複合企業体になることを目指す。
ナカモトホールディングスのビジョンは、ビットコインを世界の資本市場の中心に据えること。つまり、株や債券などにビットコインをパッケージ化し、全ての投資家がその金融商品を保有できるようにしたいと考えている。
ゴールドマン・サックスらのように、歴史に名を刻んだ金融機関は全て、社名に創設者の名を冠している。
ナカモトとは
ビットコインの生みの親として知られる人物、あるいは複数名の人物の呼び名である「サトシ・ナカモト」の姓。サトシ・ナカモトは本当に実在するのかなど謎が多い。
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