
ETHを中核資産に、取得スピード加速
東京証券取引所に上場するクオンタムソリューションズ(2338)の株価が10月3日、前日比11.3%高の739円で取引を終えた。DAT(デジタル資産トレジャリー)および暗号資産関連銘柄の中でトップパフォーマンスとなり、積極的なイーサリアム(ETH)取得戦略を背景に20カ月ぶりの高値を更新した。
同社の財務開示によると、ETH保有量は322.91 ETH(開示時点で約2億2,100万円)に達し、ビットコイン(BTC)保有量の11.57 BTC(同約2億600万円)を上回った。CoinGecko(コインゲッコー)社のETH保有企業追跡データ(全13社)によれば、日本の上場企業でETH保有企業として記録されているのは同社のみ。
ETHは9月下旬に一時4,000ドルを割り込んだ後、わずか数日で4,500ドル台へと回復している。同社の平均取得単価は1 ETHあたり4,180.69ドル。10月6日時点のETH価格4,540.72ドルと比較すると、同社の財務資産(ETH)はすでに約8.6%の含み益を抱えている計算となる。
200億円調達で買い増し加速へ
今後の取得計画についても注目が高まる。同社は200億円規模の資金調達を実施しており、10月14日から調達資金の受け取りが始まる。ジョウCEOはX(旧ツイッター)への投稿で、米国の著名投資家ARK InvestとSIG、香港のIAMが正式に投資家として参入した後、「加速度的に」ETH取得を進めると表明している。
同社を含むDAT(デジタル資産トレジャリー)の増加は、ETH市場全体にとっても好材料として受け止められている。シティグループは10月2日付のレポートで、ETHの目標価格を引き上げる一方、BTCの価格予想を引き下げた。アナリストらは、この楽観ムードがクオンタムソリューションズの株価に反映されていると指摘する。同社株は過去1か月で46.9%上昇し、10月3日には739円と20カ月ぶりの高値を記録、過去最高値1,150円の水準をうかがう動きとなった。
クオンタムソリューションズは9月26日、ETHを中核準備資産に加えると発表した。フランシス・ジョウ最高経営責任者(CEO)は、ETHの実用性がステーキングなどの収益機会を提供し、ビットコイン(BTC)単独戦略と比較して「株主への価値提供が可能になる」と説明している。
同社は、ETHをステーキングなどの「イールド戦略」に活用し、保有資産から利回りを生み出す取り組みを強化する考えを示している。
なお、同社のETH取得ペースは極めて速い。9月30日にジョウCEOがX上で初回購入を発表して以来、わずか数日で300 ETH超を蓄積。9月末にETHが一時4,000ドルを下回った局面を戦略的に捉え、押し目買いを実施した。
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ステーキングとは
保有する暗号資産を「ステーク(預ける)」することで、ネットワークの維持に貢献し、その対価として報酬を受け取れる仕組み。