CoinPostで今最も読まれています

世界最大の旅行会社「エクスペディア」 ビットコイン決済廃止で仮想通貨業界に残した教訓とは

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

「エクスペディア」が残した教訓とは
エクスペディアは2014年に、ビットコイン決済を導入し、仮想通貨のユースケースを大々的に世に示すも、2018年の夏にビットコイン決済の受け入れを終了している。これら一連の事象は、我々にどのような教訓を与えるのだろうか?

「エクスペディア」が残した教訓とは

ブロックチェーン、仮想通貨専門のライターであり、メディアアドバイザーのLuke Fitzpatrick氏が、Forbesに「Expedia: A Cautionary Tale For Cryptocurrency In Travel 」と題した記事を寄稿し、世界最大手オンライン旅行会社のエクスペディアの事例が伝える仮想通貨業界への教訓を考察している。

エクスペディアは2014年から、ホテルなどへの決済手段としてビットコイン決済を導入しており、初めて仮想通貨のユースケースを大々的に世に示したものだった。ただ、2018年の夏にビットコインの受け入れを終了している。

これら一連の事象は、我々にどのような教訓を与えるのだろうか?

「エクスペディア」ビットコイン決済導入の理由

2014年6月に同社グローバル・バイスプレジデントのMichael Gulmann氏は、ビットコイン決済導入を伝えるプレスリリース内で以下のように語っている。

エクスペディアは最新の決済システムを導入することで、我々の顧客や取引先企業に旅行計画や予約作業での問題を解決しようと試みている。

この考えの背景には、同社が決済手段としてビットコインの採用を求める顧客を抱えていたことが挙げられる。

ビットコイン決済廃止の理由

Fitzpatrick氏は、ビットコイン決済が廃止された理由について三つの理由を挙げた。

(1) 安定性に欠ける仮想通貨

(2) 進まない商用導入

(3) 法定通貨への換金

(1) 安定性に欠ける仮想通貨

よく知られるように、仮想通貨のボラティリティは高い。エクスペディアもビットコイン決済導入を「実験」として位置付け、同社はコインベースを利用し、支払われたビットコインを米ドルに換金して同社の銀行口座に預金していた。

また2018年にコインベースは、企業へのカストディアルサービスの提供を中止している。これが原因の一つとなり、エクスペディアのビットコイン決済処理に難が出たことで、同決済システムの廃止に至っている。

TravelOnlineのCEOであるGlenn Checkley氏も「去年のエクスペディアの事例からもわかるように、単純にビットコインは価格面での不安定性が、旅行での取引に(ビットコインを)利用するには不向きだ。」と発言している。

(2) 進まない商用導入

現在のビットコインは投機対象として利用されており、商品やサービスの決済手段としてまだまだ広く普及していない。

「Chainalysis」が実施した調査によると、企業向け仮想通貨決済サービスを提供する上位17社において、地合いの悪化とともにその業績は悪化しており、ビットコインの決済利用額も急激に減少しているとのことだ。

イーサリアムを創設したVitalik Buterin氏も「BTCやETHのETFにばかり注目が集まり、仮想通貨の利用を容易にするなどの点はほとんど注目されていない。」と語っている。

このように投機対象として扱われているビットコインのような仮想通貨を、ホテルやフライト予約のために利用するということは考えづらいとする見解だ。

(3) 法定通貨への換金

エクスペディアはビットコイン採用を実験として位置付け、ビットコインを法定通貨に換金していた。つまり、これの意味するところは、本質的には同社はビットコインよりも米ドルでの決済を好んでいたということだ。

エクスペディアのケースでは、決済手段としての魅力からビットコインを導入したわけではなく、より幅広いサービスを提供し、同業他社との競争力を高めることを目的としている。

結論

「Frontier Mining」の最高事業成長責任者Kyle Herron氏は、エクスペディアがビットコイン決済を取りやめたことについて、このように言及している。

エクスペディアは仮想通貨を決済手段としてではなく、投機の対象であると判断する選択をした。

ブロックチェーン技術や仮想通貨は大きなポテンシャルを秘めてはいるものの、多くの人々は、仮想通貨を投機の対象として捉えているのが実情だ。

このマインドセットの部分に大きな変化が見られない限りは、企業が仮想通貨の取り扱いを廃止する流れを食い止めることは厳しいといえるだろう。

▶️本日の速報をチェック

CoinPostの関連記事

スイス金融大手、「軍事レベル」の仮想通貨カストディ提供へ|ビットコインやXRP(リップル)などの保管に対応
Swissquote社は高セキュリティの仮想通貨企業と提携してカストディを提供。 核ミサイルにも耐えられる軍事レベルのカストディで、スイス国立銀行と同水準だという。
世界最大規模の投資アプリeToro、米国でビットコインなどの仮想通貨取引を提供開始|証券投資家へのリーチ拡大へ
世界最大級のソーシャルトレード投資プラットフォームeToroは米時間7日、米国32州においてビットコインやイーサリアム、XRPなど、主要13仮想通貨銘柄の取引提供を開始することを発表した。
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
04/24 水曜日
17:00
「BTCは上昇トレンドに入る可能性」SCB銀
仮想通貨ビットコインは再び上昇トレンドに入る可能性があるとスタンダードチャータード銀行が分析。今回もビットコインとイーサリアムの価格予想をしている。
16:23
Block社(Square)、ビットコイン採掘産業の分散化に向けて高性能チップを開発完了
デジタル決済企業ブロック(旧Square)が、3ナノメートル技術を採用した最新のビットコインマイニングチップ開発を完了。このプロジェクトはオープンソース化され、ビットコインマイニング業界の分散化を推進することを目指している。
15:09
WebX2024、最大73%割引の「開幕セール」終了まで残り1週間
株式会社CoinPostが主催する日本最大のWeb3カンファレンス「WebX2024」にて、チケット販売を開始しております。2024年4月30日まで、最大73%割引のお得な開幕セールを実施中です。
14:35
米ブロックチェーン協会ら、仮想通貨業界の声をまとめSECを提訴
米ブロックチェーン協会とテキサス州暗号資産自由同盟は、米証券取引委員会が新たに制定したディーラー規則の阻止を求めて、SECを提訴した。
13:00
香港の現物ビットコインETF 4月30日にも発売かー報道
香港でボセラとハッシュキーキャピタルが提供するビットコインETFが取引を開始すると報じられた。2社の現物ビットコインETFは、価格安定性が高く、投資家に直接的な市場価格連動のメリットを提供する。
12:09
半値戻しのビットコイン、投資家心理改善で買い先行
暗号資産(仮想通貨)市場ではビットコインが66000ドル台まで反発し、50MA手前で一服した。イランとイスラエルを巡る中東リスク後退で米国株式市場でも買い戻しが先行しており、投資家心理が改善した。
12:00
ブラックロックのビットコイン現物ETF「IBIT」、70日連続流入を記録
ブラックロックのビットコイン現物ETF「IBIT」が70日連続で資金流入を記録した。運用資産は約2.8兆円に達している。
11:00
リップル社、SECによる20億ドルの罰金提案を過大と反論
リップル社は、XRPをめぐるSECとの裁判で新たな書類を提出。リップル社に対して約3,100億円の罰金支払いを求めるSECの主張に反論した。
09:40
「BTC価格上昇は半減期から50〜100日後」QCP Capital
仮想通貨ビットコインの今後の価格が急上昇するのは半減期から50〜100日後であるとQCP Capitalが分析。また、Bitfinexも半減期後の相場レポートを公開した。
08:45
ソラナJupiter、DEXモバイルアプリ5月公開予定
既存のUltimateウォレットは5月22日から利用できなくなるため、その前に仮想通貨の一時的移転(PhantomやMagic Edenウォレット)を推奨した。
08:10
米国のイーサリアムETF上場申請、5月承認は見込み薄か
申請中の仮想通貨イーサリアム現物ETFの多くは5月に最終判断を迎える予定だが、多くのアナリストは承認の確率が低いと予測。背景には、イーサリアム財団への任意捜査で米SECがETHを有価証券に分類しようとしている点や、ビットコイン現物ETFが承認されてからまだそれほど時間が経っていない状況などがある。
07:10
ビットコインの機能を拡充する新提案が公開
仮想通貨ビットコインのブロックチェーン上でスマートコントラクトなどを実現する開発提案がBIP-420として公開。以前から関心を集めている提案の内容が改めて説明された。
06:35
バイナンスアプリの削除、フィリピン当局がアップルとグーグルに命令
フィリピンはバイナンスの顧客基盤における重要な構成国だが、同SECは2023年11月以降、バイナンスを投資に利用しないよう国民に積極的に警告していた。
05:50
エルサルバドルの国営ビットコインウォレット、ハッカーがコードを流出
今回の漏洩は、4月上旬に報告された510万人のサルバドル人の個人情報リークを含む、一連のChivoウォレット関連のハッキングに続くものだ。
04/23 火曜日
19:00
メゾンマルジェラ MetaTABI NFT発売
メゾンマルジェラがMetaTABI NFTを一般販売開始。デジタル専用設計のタビシューズはThe Fabricantとのコラボで、限定版タビブーツとレザーウォレットが付属。今後のWeb3ブランドイベントにも参加可能。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/04/24 11:30 ~ 13:30
その他 オンライン
2024/04/25 ~ 2024/04/26
東京 国立新美術館
2024/04/27 10:30 ~ 20:00
東京 東京都渋谷区
重要指標
一覧
新着指標
一覧