CoinPostで今最も読まれています

仮想通貨USDT、裏付け資産の規約改訂|テザー問題の再燃に警鐘

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨テザーの担保資産組成の変更が明らかに
時価総額9位のステーブルコイン、テザー(USDT)の担保となる資産の組成が変更された。担保資産として新たに「関連会社を含む第三者に提供するローンの債権」が含まれたことがわかり、疑惑の再燃に繋がる可能性が問題視されている。

仮想通貨テザー、米ドル以外の資産で担保されていることが判明

仮想通貨市場で最も人気の高いステーブルコイン、テザー(USDT)の利用規約が以前のものから変わっていたことが確認された。

テザー(USDT)は現在時価総額9位の仮想通貨で、1USDTがおよそ1米ドル(USD)と同等の価値を保つよう、USDの裏付け資産が担保されている仕組みを持つステーブルコインだ。しかし、今回の規約変更で、テザー社の担保資産が100%法定通貨の米ドルのみではなく、ほかの資産、特にテザー社が発行するローンに対する債権なども、担保資産に含まれていることを新たに明記した。

以前のテザー社公式サイトのUSDTの担保資産を説明する文章

出典:tether.to

全てのテザーは1:1の割合で弊社が保管する法定通貨に裏付けられている。

つまり1USDTは常に1USDと同じだ。

現在、追加内容が明記されたもの

出典:tether.to

全てのテザーは100%、常に弊社が保管する法定通貨、現金同等物、そして時々そのほかの資産やテザー社が、関連会社を含む第三者に提供するローンの債権などに裏付けられている。

全てのテザーは1USDTが1USDとなるよう、1:1の割合でドルにペッグされている。

USDTを発行するテザー社の姉妹企業Bitfinexの子会社iFinexのマーケティングディレクターKasper Rasmussen氏は海外仮想通貨メディアCCNに対して、テザー社のUSDT担保資産の組成が変更されていたことを認めた上で、以下のように発言を述べていた。

テザーは現在も100%ステーブルで担保されている。つまり、テザー社の準備金は常にUSDTの流通量と同等かそれを超えているのだ。

今回変わったのは、USDTの担保となる準備金が現金、現金同等物、またはその他の資産やテザー社が発行したローン債権などから組成されることとなった点のみである。

この変更については界隈から批判が相次いでおり、コーネル大学の准教授であるEmin Gün Sirer氏は以下のような指摘を行なっている。

テザー社は他社(もしかしたらBitfinexなど)にローンを提供していることを認めた。

実質的に部分準備銀行制度と同じではないか。

これまで、USDの裏付け資産があるかが、テザー問題の焦点にあったなかで、銀行資産を証明する証明書のようなものの公開も行なっていたが、裏付け資産の正確な証明には至っていなかった。そのような状況の中で、テザー社が発行したローン債権などを含むことも意味する利用規約の改訂に踏み切ったことは、再度テザーの裏付け資産問題が再燃する動きに繋がる可能性がある。

これは、互恵関係にあったとされるBitfinexとの貸借関係を認る動きとの見方もあり、どのように説明されるかに注目が集まる。

なお15日の本稿執筆時点では、テザー社は今回の一連の流れに対して公式見解を発表していない。

テザーに対する疑惑の経緯

良くも悪くも一番有名なステーブルコインであるUSDTを発行するテザー社に関する疑惑は後を絶えない。

2018年1月に米CFTCは、テザーは2017年後半に仮想通貨市場高騰した際、市場操作に悪用されたのではないかとして召喚状を送付していた。

また6月には米テキサス大学からテザーが市場操縦や価格操作に活用されていたと指摘する論文が公開され、波紋を呼んだ。

出典:University of Texas

上記の論文に対して、テザー社は米国の法律事務所Freeh Sporkin & Sullivan LLPに同社の資産を保証するよう依頼し、USDTを担保する資産額に関する文書を公開している

出典:Tether.io

その後もテザーに関する疑惑は絶えなかったが、11月にテザー社はバハマのデルテック銀行と提携して、同行も同じくテザー社の資産を保証する文書を公表した。

また12月にはブルームバーグが裏付け資産と流通量の一致を報道していた。このような流れがあったことから、今回テザー社のサイト説明が変更されていたことは界隈の多くの投資家からは驚くの報道ではなかった模様である。

▶️本日の速報をチェック
CoinPostのLINE@

スマートフォンへの「プッシュ通知」で、相場に影響を及ぼす重要ニュースをいち早く知らせてくれる「LINE@」の登録はこちら。大好評につき、登録者13,000名突破。

CoinPostの関連記事

仮想通貨テザーの裏付け資金疑惑に新たな進展|ブルームバーグが担保金と流通量の一致を報道
大手メディアのブルームバーグが仮想通貨市場の不安要素の一つであるテザーの裏付け資金について独自の調査を行い、過去約1年間で4つの月において担保の米ドルと市場の流通量が一致していると報道した。
テザーの裏付け資金を証明する文書が公開|仮想通貨業界で募る不信感の払拭なるか
米ドルに裏付けられたUSDTを発行するTether社が70年以上の歴史を持つバハマの銀行Deltecに口座を開いたことが明らかになった。今回Deltecは様々な側面からTether社を精査し、疑惑の目が向けられる裏付けテザー社資金保有していることを証明する公式文書を発行した。
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
07/27 土曜日
08:10
マスク氏のX(旧ツイッター)、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除か
イーロン・マスク氏がオーナーのX(旧ツイッター)は、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除した。ドージコイン擁護のためか。
07:35
BitwiseのETH現物ETFの横断幕、NYSEに掲揚
仮想通貨運用企業Bitwiseのイーサリアム現物ETFの横断幕が、ニューヨーク証券取引所に掲げられた。同社は、取引終了のベルを鳴らすことも報告している。
07:05
野村傘下のレーザーデジタル、利回り提供のイーサリアムファンド販売予定か
野村ホールディングスの仮想通貨資産子会社であるLaser Digital(レーザーデジタル)は、イーサリアム現物ETFの代替商品の導入を計画しているようだ。
06:40
米SEC、グレースケールのミニ版ビットコインETFを承認
仮想通貨投資企業グレースケールが提供するGBTCは手数料(1.5%)が最も高く資金流出は続いていたが、新商品を導入し0.15%という業界最安の手数料設定で競争力を高める狙いだ。
06:20
ビットコイン価格が21年後に最大で75億円に到達か、マイケル・セイラー氏の強気予想
ビットコインを最も保有する米上場企業マイクロストラテジーのマイケル・セイラー氏はカンファレンス「ビットコイン2024」で、BTCの今後の強気予想のプレゼンテーションを行った。
07/26 金曜日
17:10
「米大統領選で価格変動 トランプやハリス由来のミームコインの買い方
トランプトークンの概要 ドナルド・トランプ前米大統領とその「Make America Great Again」(アメリカを再び偉大に)というスローガンからインスピレーションを得…
17:10
ヤマハ発動機が初のVTuberコラボNFTを発行、Yamaha E-Ride Baseを訪れて進化可能
ヤマハ発動機が初のNFTデジタルステッカーを発行。横浜のYamaha E-Ride Baseで進化するダイナミックNFTを体験し、限定グッズをゲットできる。
15:13
ビットフライヤーがFTX Japan買収完了、カストディ事業展開へ
株式会社bitFlyer HoldingsはFTX Japanの株式100%を取得し、完全子会社化を発表。8月26日までに社名を変更し、クリプトカストディ事業を展開予定。法制度整備後の暗号資産現物ETF関連サービス提供も視野に入れている。
14:43
Neo Xメインネットが正式稼働 EVM互換でネオのエコシステムを拡張
Neoは高性能EVMベースのサイドチェーン「Neo X」のメインネット正式稼働を発表。クロスチェーンブリッジで流動性と互換性が向上し、エコシステムの可能性が広がる。
14:15
カマラ・ハリス氏のミームコインが過去最高値を記録、大統領候補指名の期待受け
PolitiFiと呼ばれる政治パロディのミームコインが、仮想通貨領域で独自のジャンルを形成しており、カマラ・ハリス副大統領のパロディコイン「 Kamala Horris(KAMA)」が急騰し話題となっている。
12:55
アルトコインETFの未来、ブラックロックが語る現実と可能性
ブラックロックのデジタル資産責任者は、イーサリアム現物ETFが承認されていても他のアルトコインETF誕生には困難があると話した。
12:14
仮想通貨相場反発、ビットコイン・カンファレンスのトランプ登壇に関心集まる
昨日までの大幅下落とは打って変わり暗号資産(仮想通貨)相場は反発した。強気シグナルのハッシュリボンが点灯しているほか、今週末にはビットコインカンファレンスに米国のトランプ前大統領が登壇予定であり、投資家の関心が集まる。
11:00
トランプ前大統領の陣営、4〜6月期で仮想通貨で6億円の寄付金調達
トランプ前大統領は、ビットコインなど仮想通貨で6億円以上の選挙資金を調達。「ビットコイン2024」でもさらに資金を集める予定だ。
10:30
BTCが290万ドルに到達するシナリオ、VanEckが公開
仮想通貨ビットコインが2050年までに290万ドルに到達するシナリオをVanEckのアナリストが公開。このシナリオを実現するための条件を説明している。
10:00
ソラナ初事例、パラオ共和国がデジタルID発行
主権国家が仮想通貨・ブロックチェーンであるソラナ上で、法的アイデンティティを発行する初めての事例となった。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア