- G20でブロックチェーンが金融システムに及ぼす影響を議論
- ブロックチェーン技術の進化が新金融システムに及ぼす影響について、国際的な議論が進む。共存共栄を目指す中で「新たな脆弱性をもたらす」との懸念もあり、日本が議長国を務める6月開催のG20で議論を主導する。
G20でブロックチェーンが金融システムに及ぼす影響を議論
日本経済新聞の報道によれば、ブロックチェーン(分散型台帳)技術の進化が、新金融システムに及ぼす影響について、国際的な議論が進んでいる。
個人や企業が、政府や銀行のような中央集権を介在せずに取引を行うことが現実味を帯びており、日本が議長国を務める6月の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で議論を主導する方針だ。
金融システムにおけるデメリット
金融安定理事会(FSB)の新議長のクオールズ氏は、「技術革新は効率的だとする一方、新たな脆弱性をもたらす」と警鐘を鳴らす。
影響を及ぼす金融分野には、「通貨、送金手段、決済」が挙げられるが、その一つとして、インターネット経由で事業計画の融資を出資者に仲介するソーシャルレンディングサービスなどが想定される。
銀行では与信審査を厳格に行っており、詐欺などの不正取引を未然に防いでいるが、取引に介在する事業者への仲介手数料がなくなる反面、規制対象がなくなることで、消費者保護や信用秩序を維持する手だてがなく、金融システムに及ぼすリスクの大きさも図りかねない側面が懸念されている。
ブロックチェーン導入事例
そのような背景がある中、銀行自体が銀行もブロックチェーン技術の利用を始めており、国内外で導入の動きも散見される。
5月上旬には、カナダ銀行(BoC)とシンガポール通貨金融庁(MAS)が、ブロックチェーン技術を利用した中央銀行デジタル通貨を使用した国際的決済を世界で初めて成功させた。ブロックチェーンを利用した国際送金の効率性を向上するとともに、越境決済のリスク軽減への大きな可能性を示すものとなる。
国内でも、三菱東京UFJ銀行、みずほフィナンシャルグループ、三井住友銀行といった日本を代表するメガバンクを始め、邦銀61行が加盟する「内外為替一元化コンソーシアム」にて、分散台帳技術(DLT)を活用し、外国為替に加えて内国為替も一元的に扱う”次世代金融基盤”を共同構築している。
また今年3月、岩手銀行など地銀4行、ブロックチェーン活用の新金融サービスを提供開始することを発表。ブロックチェーンを応用することで、異なる金融機関のプラットフォームを統合、安全かつ低コストなシステム構築を行い、事務経費などの大幅なコスト削減が見込まれているとした。
そのほか、米Ripple社のStefan Thomas氏の後継者である、新CTO David Schwartz氏は、以下のような見解を示している。
多くの銀行関係者と話をしたが、その中で学んだことは、新たなテクノロジーによる秩序の混乱をどれほど恐れているかについて、彼ら自身が正確に理解しきれていなかったということだ。
銀行は、コルレス銀行(国際送金の中継銀行)や、利益の上がる業務を奪うノンバンク系の決済企業に圧され始めている。テクノロジーへの投資が必要不可欠であり、変革が必要であるとの自覚はG20持っている。