CoinPostで今最も読まれています

Ripple社CTO Stephan Thomas氏へのインタビュー

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

Ripple社CTO Stephan Thomas氏へのインタビュー内容まとめ
2017年11月20日、東京でRipple社が開催したInterledger WorkshopにてILPやRipple社の今後等について質問させて頂きました。

2017年11月20日、Ripple社が東京でInterledger Workshopを開催しました。

CoinPost運営者も参加し、銀行やビットコイン等の異なる台帳を繋ぎ、簡単に送金するようにするための規格「ILP(インターレジャープロトコル)」について多くのことを勉強させて頂きました。

今回、Interledger WorkshopにてRipple社CTO Stephan Thomas氏にインタビューの機会を頂いたので、内容を紹介致します。

内容公開の許可をして頂いたRipple社と、Ripple社CTO Stephan Thomas氏に御礼申し上げます。

ILPについて詳しくはこちら↓

ILP(インターレジャープロトコル)とは/ILPでXRPは使用されるのか?
銀行やビットコイン等の異なる台帳を繋ぎ、簡単に送金するようにするための規格「ILP」 リップル社のxCurr...

質疑応答まとめ

RippleとXRPは同じものだと勘違いしている人が多いようですが、Rippleの活動との違いも多く存在します。XRPという言葉を使う人は真にその意味を理解していない印象ですが、その点に関してどのようにお考えですか?

私たちも二つの言葉を使い分ける努力をしています。なぜならRippleは会社であり、XRPは我々が制御しないオープンテクノロジー、オープンレッジャーであるため、この二つの単語を使い分けることはとても大切だと考えます。

今後ILPに対応予定の仮想通貨はありますか?

現時点で特定の追加予定の通貨はありません。

今後追加する通貨はコミュニティが何を望んでいるか、又デベロッパーがなにを開発中かに左右されます。

例えばあるデベロッパーにお気に入りの仮想通貨があれば、彼らがそのプラグインを独自で作り、貢献することも可能です。

そうすることによりその通貨は他の通貨に繋がり、ILPだけではなく、その仮想通貨自体にプラスとなるのです。

これからは開発者らが独自で仮想通貨を選択し、開発するべきなのか考える必要があると思います。

世界で初、タイの銀行がILP技術を採用しました。今後ILP技術を導入予定の銀行はありますか?

現時点で100の銀行や顧客がILP技術にコミットしています。

その中でILPを利用し決済システムを導入した企業例は、ヨーロッパのSantander社です(CoinPost記事:RippleとAmerican Express、Santanderが提携)。

Santander社は専用アプリを開発し、イギリスからスペインなどの様々な国に送金が可能になりました。

もう一つの例はスウェーデンのCEB銀行です。CEBの場合は企業間の支払いの際にILP技術を利用します。

ここでは2つの例しかあげませんが、さらに詳しくは我々のマーケティング部を参照してください。

将来PayPalと提携する計画はありますか?

今後のパートナーシップについて話すことはできませんが、通常モバイルウォレットやオンラインウォレットはある地域に特定して(根付いている)いるためそれらの企業と提携することはとても魅力的です。

なぜならそれらの国の企業と提携すれば他国相互の決済が可能になるからです。

それほど他国へのリーチ力がないため、VISA、MasterCardやPayPalなどの大手プロバイダーは小さいプロバイダーと提携することにメリットを感じないかもしれません。

よってPayPalがILPを導入する可能性は僅かだと思いますが、結果はPayPalがなにを望むかによります。

彼らがILP技術導入にメリットを感じれば、我々はもちろんYesと言うでしょう。

現実的にみると先ずは小さいプロバイダーが導入をし、それらと競争するために大手プロバイダーが後に導入し始めると思います。

Ripple社の全般的な2018年の目標とILPの目標はなんでしょうか?

全体的な目標を話すと、2017年は生産を始めた年でした。2018年の目標はスケールアップです。

より多くの国、パートナーを増やしていきます。まだ公表していないプロジェクトもたくさんあります

ネットワークを広げることにより、より多くの国へのリーチ力を強めていきたいです。

これは新しい技術を導入するという意味でもあります。また金融機関と提携し、ILP導入も広めたいです。

これが2018年または19年に行われるかはわかりませんが、これらは現時点のフォーカスです。

ILPの2018年の目標はILP利用方法やアプリケーションをできるだけ多く作り上げることです。

もちろんパートナーシップの継続・増加も目標にあります。

今後支社を立てる予定の国はありますか?

現在Rippleはインド、中東、東南アジア、日本に強い興味を持っています

特に日本はとても興味深い国だと思います。日本の動きは早く、Rippleにとってとても魅力的な点が多く存在します。

これらは重要視している国で、ヨーロッパ、南米アメリカも視野に入れています。

ドイツはどうでしょう?(※Stephan Thomas氏はドイツ出身)

実は最初の銀行顧客はドイツの銀行でした。

今でもドイツに複数の顧客はいますが、ドイツの市場は難しいかもしれません。

なぜならEUは既に効率的な決済方法が存在する上、ほとんどのサービスは他国に対応しているためです。

現時点で正式にドイツ支社を作るという発表はありませんが、ドイツでの活動は続けています。

今後Ripple主催のミートアップは増えるでしょうか?

もちろんです。ミートアップやワークショップは成功し、たくさんのデベロッパーが興味を持ちました。

まだなにが最適な方法で、どのパートナーと組めばより多くのデベロッパーを巻き込むことができるのか模索中です。

ですからどのようにデベロッパーに伝えるか、どのチャネルを使えばより多くのデベロッパーに会えるか、どのようにすれば最適な人材に会えるのかという点も2018年の目標になるでしょう。

Rippleに改善点があるとしたらなんでしょうか?

今まで開発してきた技術のほとんどは長期のスパンでみて役に立つものです。

時が経つにつれて我々にとっての利点やリターンが増えていきますが、それまではまだ多くの年月がかかります。

ですので、完全(Ripple技術全てが繋がること)を目指すための近道を見つけることが改善点でしょうか。

例を出すと、Mojaloopを使ったILPプロジェクト自体とても興味深いですが、銀行等と提携すればさらに面白くなります。

これらのプロジェクトを繋げることも我々がフォーカスする点の一つになります。

Stephan Thomas氏の語る自身の経歴や考え方、ビルゲイツ財団が支援する技術Mojaloopについて

質疑応答の最中のStephan Thomas氏との対話の中で、自身の経歴や、リップル社とビルゲイツ財団が提携を発表して紹介された「Mojaloop」についてお聞かせ頂いたので、まとめて紹介致します。

元々私はドイツ出身ですが、17歳のときイギリスに引っ越し、ウェブデザイナー会社で働きました。

そこでは世界中のフリーランサーと仕事をするのですが、給与支払いのプロセスがとても大変だったことを覚えています。

グーグルで何時間もWestern Union社の決済サービスより安いサービスを探したりしました。

一例を出すと、ある決済サービスを使ってパキスタンにいるウェブデザイナーの支払いをしていたのですが、ある日パキスタンが対象外になってしまい、仕方なく新しいウェブデザイナーを雇うことになりました。

パキスタンのデザイナーはとても優秀で特別な問題もなかったのに、これ以上は一緒に仕事をできないと伝えたときの彼の気持ちを考えるととても残念になります。

それ以降私は誰かが決済システムを改善すべきだと思っていました。

そしてビットコインが登場したとき、これが答えだ、と私は思いました

私は2010年にビットコインに深く関りましたが、2012年にビットコインは決済向きではないことやそれを変えることや進化させることの困難さを知り、失望しました。

それから私のILP技術の旅が始まったと思います。私はILPが世界の決済システムを変えることのできる技術だと強く信じています

また、近日タンザニアに訪問した際に現地の決済プロバイダーにMojaloopを導入できる可能性を伝えました。

Mojaloopとはビル&メリンダ・ゲイツ財団(世界最大慈善基金団体)支援のオープンソース技術です。

財団はMojaloopを使い決済サービスを競争化させコストの低下によって貧困層がより使い易い環境を創り上げる狙いです。

タンザニアはとても面白いマーケットで、すでに複数のモバイル決済プロバイダー間で相互運用が可能になっています。

しかしそれは特別なラテラルインテグレーション(側面統合:競争にはならないが類似する製品を生産する複数の企業統合)によって行われるため、新しいプロバイダーの参入が難しく遅延しています。

このようにタンザニアには改善の余地があり、ILPを使うことによって新しいプロバイダーの競争率を上げる事ができるでしょう。

タンザニア国内で導入が成功すれば、次は世界各国に対応した決済を導入することも可能でしょう。最終的な目的はILPを使い決済費用を下げることです。

【SWELL1日目】リップルがビルゲイツ財団と提携!Mojaloopについて解説
リップル(Ripple)大型カンファレンスSWELLの1日目では、ビル&メリンダ・ゲイツ財団との提携が発表されました。貧困層のための決済プラットフォームの構築を目的としていて、そのための「Mojaloop」というオープンソースソフトウェアも発表されました。
リップル(Ripple)ニュースまとめ : 価格変動に関する最新情報を随時更新
仮想通貨リップル(Ripple)のニュースをまとめた特集記事です。価格変動に関わる最新ニュースや取り扱い取引所、ウォレットについての最新情報を更新していきます。
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
07/27 土曜日
08:10
マスク氏のX(旧ツイッター)、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除か
イーロン・マスク氏がオーナーのX(旧ツイッター)は、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除した。ドージコイン擁護のためか。
07:35
BitwiseのETH現物ETFの横断幕、NYSEに掲揚
仮想通貨運用企業Bitwiseのイーサリアム現物ETFの横断幕が、ニューヨーク証券取引所に掲げられた。同社は、取引終了のベルを鳴らすことも報告している。
07:05
野村傘下のレーザーデジタル、利回り提供のイーサリアムファンド販売予定か
野村ホールディングスの仮想通貨資産子会社であるLaser Digital(レーザーデジタル)は、イーサリアム現物ETFの代替商品の導入を計画しているようだ。
06:40
米SEC、グレースケールのミニ版ビットコインETFを承認
仮想通貨投資企業グレースケールが提供するGBTCは手数料(1.5%)が最も高く資金流出は続いていたが、新商品を導入し0.15%という業界最安の手数料設定で競争力を高める狙いだ。
06:20
ビットコイン価格が21年後に最大で75億円に到達か、マイケル・セイラー氏の強気予想
ビットコインを最も保有する米上場企業マイクロストラテジーのマイケル・セイラー氏はカンファレンス「ビットコイン2024」で、BTCの今後の強気予想のプレゼンテーションを行った。
07/26 金曜日
17:10
「米大統領選で価格変動 トランプやハリス由来のミームコインの買い方
トランプトークンの概要 ドナルド・トランプ前米大統領とその「Make America Great Again」(アメリカを再び偉大に)というスローガンからインスピレーションを得…
17:10
ヤマハ発動機が初のVTuberコラボNFTを発行、Yamaha E-Ride Baseを訪れて進化可能
ヤマハ発動機が初のNFTデジタルステッカーを発行。横浜のYamaha E-Ride Baseで進化するダイナミックNFTを体験し、限定グッズをゲットできる。
15:13
ビットフライヤーがFTX Japan買収完了、カストディ事業展開へ
株式会社bitFlyer HoldingsはFTX Japanの株式100%を取得し、完全子会社化を発表。8月26日までに社名を変更し、クリプトカストディ事業を展開予定。法制度整備後の暗号資産現物ETF関連サービス提供も視野に入れている。
14:43
Neo Xメインネットが正式稼働 EVM互換でネオのエコシステムを拡張
Neoは高性能EVMベースのサイドチェーン「Neo X」のメインネット正式稼働を発表。クロスチェーンブリッジで流動性と互換性が向上し、エコシステムの可能性が広がる。
14:15
カマラ・ハリス氏のミームコインが過去最高値を記録、大統領候補指名の期待受け
PolitiFiと呼ばれる政治パロディのミームコインが、仮想通貨領域で独自のジャンルを形成しており、カマラ・ハリス副大統領のパロディコイン「 Kamala Horris(KAMA)」が急騰し話題となっている。
12:55
アルトコインETFの未来、ブラックロックが語る現実と可能性
ブラックロックのデジタル資産責任者は、イーサリアム現物ETFが承認されていても他のアルトコインETF誕生には困難があると話した。
12:14
仮想通貨相場反発、ビットコイン・カンファレンスのトランプ登壇に関心集まる
昨日までの大幅下落とは打って変わり暗号資産(仮想通貨)相場は反発した。強気シグナルのハッシュリボンが点灯しているほか、今週末にはビットコインカンファレンスに米国のトランプ前大統領が登壇予定であり、投資家の関心が集まる。
11:00
トランプ前大統領の陣営、4〜6月期で仮想通貨で6億円の寄付金調達
トランプ前大統領は、ビットコインなど仮想通貨で6億円以上の選挙資金を調達。「ビットコイン2024」でもさらに資金を集める予定だ。
10:30
BTCが290万ドルに到達するシナリオ、VanEckが公開
仮想通貨ビットコインが2050年までに290万ドルに到達するシナリオをVanEckのアナリストが公開。このシナリオを実現するための条件を説明している。
10:00
ソラナ初事例、パラオ共和国がデジタルID発行
主権国家が仮想通貨・ブロックチェーンであるソラナ上で、法的アイデンティティを発行する初めての事例となった。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア