LayerZero(レイヤーゼロ)は、異なるブロックチェーン同士を安全かつ低コストでつなぐ相互運用性プロトコルです。従来のブリッジが抱えるセキュリティやコスト課題を解決し、Web3インフラの基盤としての評価を高めています。
2025年にはブリッジ「Stargate(スターゲート)」の買収や、ZROトークンのバイバック(買い戻し)も注目を集めています。本記事では、レイヤーゼロの仕組みからZROトークンの特徴、将来性まで詳しく解説します。
レイヤーゼロ(LayerZero)とは?
LayerZero(レイヤーゼロ)は、異なるブロックチェーン同士を安全かつ低コストでつなぐ相互運用性プロトコルです。現在、約165のチェーンに対応し、合計1.5億件を超えるクロスチェーン処理を支えています。
運営元の「LayerZero Labs」はカナダに拠点を置き、2022年3月には複数の大手VCから約165億円を調達。2025年4月にはa16zから約80億円の追加投資を受けるなど、有望なプロジェクトとして注目を集め続けています。
dAppsの開発者はレイヤーゼロを使用することで、複数の異なるチェーンを統合した「オムニチェーンアプリ」を構築できます。ユーザーがチェーンの違いを意識せずにDeFiを使えるようにする、Web3の基盤インフラとしての役割を担っています。
レイヤーゼロの技術を活用したブリッジ「Stargate」の使い方・手順については「ブリッジとは?」をご覧ください。
従来のブリッジの課題とレイヤーゼロの解決策
ブロックチェーン技術は単一のネットワーク内、もしくは同様の規格を持つネットワーク間においては極めてスムーズなコミュニケーションを実現します。しかし、基本的にブロックチェーンによるネットワークは自己完結型の設計なため、規格の異なるネットワーク間の相互運用には適していません。
そこで従来、dAppsへの複数チェーン統合や、異なる規格のチェーンをまたいだトークン転送を行うために用いられてきたのが「クロスチェーンブリッジ」を利用する方法です。クロスチェーンブリッジは特定のネットワーク間をつなぐサービスで、コミュニケーションを容易にするためのコンセンサスと検証を提供します。
例えば特定のトークンを規格の異なるネットワークへ転送したい場合、まずブリッジはトランザクションのリクエストが有効であることを検証し、送信元・送信先のネットワークにおけるトークン残高のバランスがとれるよう調整を行います。
しかし、ブリッジには大きく2つの課題がありました。
- ミドルチェーン方式:中間者がトランザクションを一元管理するため、ハッキングに対して脆弱。実際に多くのブリッジ攻撃事件が発生し、膨大な資産が流出しています。
- ライトノード方式:セキュリティは高いものの、利用に多額の手数料が発生するのが難点です。
レイヤーゼロは、この両方の課題を解決するために誕生しました。中間者による一元管理をしない「トラストレス」な仕組みを採用し、ガス代のみでトランザクションを実行できるため費用対効果も高いです。つまり、ミドルチェーン方式の低コストと、ライトノード方式のセキュリティを兼ね備えたソリューションといえます。
レイヤーゼロの仕組みと技術
ここでは、レイヤーゼロのメッセージング技術と、その上に構築されるトークン規格について解説します。
Oracle・Relayer・Endpointの役割
レイヤーゼロは「Oracle(オラクル)」「Relayer(リレイヤー)」という2つの独立したオフチェーンシステムと、「Endpoint(エンドポイント)」というオンチェーンシステムを中心に機能します。
- Oracle:送信元チェーンからのリクエストを受け取り、ブロックヘッダー(ブロック情報のサマリー)を送信先チェーンへ伝達します。
- Relayer:送信元・送信先チェーン間でメッセージの送受信を行い、リクエストされたトランザクションが有効であることを証明します。
- Endpoint:双方のチェーン上に存在する拠点で、Oracle・Relayerへの情報送信や、受信したメッセージの検証を行います。
レイヤーゼロがクロスチェーンのメッセージングを実行する具体的な流れは以下のとおりです。
- ユーザーが転送に関するリクエストを送信元チェーンのEndpointへ伝達
- 送信元チェーンのEndpointがリクエスト情報を2つに分割し、Oracle・Relayerに分けて送信
- Oracleがリクエストのブロック情報を送信先チェーン上のEndpointへ転送
- 情報を受け取った送信先チェーンのEndpointが、Relayerに送信先チェーンのブロック情報を提供
- Relayerは提供されたブロック情報からリクエストが正しいことを検証し、送信先のEndpointへ証明を返す
- Oracleが送信先Endpointへ送信元チェーンのブロック情報を伝達
- 送信先Endpointにおいて、集約された全ての情報の一致が確認できればトランザクションが有効である事が確定する
Oracle・Relayerという2つのオフチェーンに責任を分散させることで、トランザクションの有効性を強く保証し、同時にサイバー攻撃に対するセキュリティを強化しています。
なお、レイヤーゼロはあくまで複数チェーン間のコミュニケーションを処理するメッセージングプロトコルであり、実際のトークン残高調整などは双方のEndpointに実装されるアプリケーションが行います。
OFT(Omnichain Fungible Token)標準
LayerZero Labsは、レイヤーゼロのメッセージングインフラ上に構築されるトークン規格「OFT標準」を提供しています。OFT標準は、レイヤーゼロを実際にdApps等へ実装するために用いられます。
OFT規格で特定のトークンを発行することで、レイヤーゼロがサポートするあらゆるチェーンを効率的にエコシステムへ統合可能です。OFT標準では、送信元のネットワークでトークンをバーン(燃焼)し、送信先のネットワークで同量をミント(発行)する「Burn/Mint方式」を採用しています。
同様の方式を採用したブリッジは存在しますが、ブリッジの場合はチェーンのペアごとに異なるインターフェース・コードで別個のミドルチェーンを構築する必要があり、汎用性に欠けていました。OFT標準であれば、単一のインターフェース・コードを用いて多種多様なチェーン間でBurn/Mint方式によるクロスチェーントランザクションを実現します。アセットラッピングやミドルチェーン、流動性プールなどを必要とせず、あらゆるファンジブルトークンを複数チェーン間で安全に転送可能です。
OFT規格でトークンを発行することで、相互運用性の向上、セキュリティの向上、費用対効果の向上、流動性の統一、構成可能性の向上といったレイヤーゼロの優位性をエコシステムへ実装できます。
流動性の統一とは、Burn/Mint方式によって複数チェーン間のトークン転送の際に流動性を完全に送信先へ移動させることを意味します。ラップドトークンのように流動性を複数チェーンで共有することがないため、流動性の断片化といった問題が起こりません。また構成可能性とは、システムにおける様々な要素の相互連携のしやすさを意味し、OFT標準で発行されたトークンは外部のdAppsやAMM・取引所とも迅速な統合が可能です。
ONFT(Omnichain Non-Fungible Token)標準
レイヤーゼロは、仮想通貨などのFT(代替性トークン)だけでなく、NFT(非代替性トークン)向けの標準規格「ONFT標準」も提供しています。
ONFT標準でNFTを発行すると、OFTと同様にラッピングやミドルチェーンといった従来の方法を使用せず、シームレス・安全なNFT転送を実現できます。既に1,000を超えるNFTがONFT標準で発行されており、確実にその認知を広げています。
ONFT標準が普及し、異なるチェーン間でのNFT利用がスムーズに行えるようになれば、市場の将来に大きな影響を与えることは間違いありません。例えば、異なるチェーンを使用するWeb3ゲーム間の相互運用性が向上することで、あらゆるチェーン上で同様のNFTコレクションを保有できるようになります。
活用事例として挙げられるのが、NFTコレクション「Pudgy Penguins」です。同プロジェクトは2023年1月にONFT規格を採用し、発行チェーンであるEthereumから「Arbitrum」「Polygon」「BNB Chain」といった別ネットワークへも横断できるポータルを開設。22,222個にも及ぶ既存のNFTコレクションがEthereum以外のチェーンへシームレスに転送可能となりました。このようにONFTによってNFTがローンチ時のチェーン内に制限されなくなることは、ブランドやIPの断片化を防ぐ意味でも大きな価値があります。
ZROトークンとは?
ZROは、レイヤーゼロエコシステムの中核を担うガバナンス兼ユーティリティトークンです。単なる「投票券」ではなく、ネットワークのセキュリティ維持や新機能の追加など、プロトコル全体を動かす役割を持っています。
ZROの価格情報・チャート
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 通貨コード | ZRO |
| 公開日 | 2024年6月 |
| 流通供給量 | 約2.4億枚 |
| 最大供給量 | 10億枚 |
| 価格 | 1.7ドル(約270円) |
| 時価総額・順位 | 約5.6億ドル(84位) |
| 過去最高値 | 2024年12月:約7.14ドル(約1071円) |
ZROの買い方
ZROは現時点で国内取引所には上場していませんが、Uniswapなどの分散型取引所(DEX)で購入可能です。まずメタマスクを用意し、国内取引所でイーサリアム(ETH)を購入してメタマスクに送金。その後、Uniswapに接続してETHをZROにスワップします。
関連:DEX(分散型取引所)とは?Uniswap(ユニスワップ)の使い方を解説
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バイバックの仕組み
バイバック(Buyback)とは、プロジェクトが市場から自社トークンを買い戻す仕組みで、株式の「自社株買い」に近い概念です。流通量を減らすことで価格の下支えや希少性向上につながります。
2025年に入り、レイヤーゼロには合計1億5,000万ドル(約230億円)超がZROの買い戻しや追加投資に充てられており、注目を集めています。
主な実績
- 2025年4月:大手VCのa16zがZROに5,500万ドル(約80億円)を追加投資。3年間のロックアップ付き。
- 2025年9月:早期投資家から5,000万ZRO(総供給の5%)を約9,500万ドル規模で買い戻し。
- 2025年11月:オープン市場で1,000万ドル規模の追加バイバックを実施。
Stargate収益によるバイバックモデル
2025年8月、LayerZero Foundationは約1億1,000万ドル(約165億円)を投じて、クロスチェーンブリッジ「Stargate(スターゲート)」を買収しました。スターゲートは、レイヤーゼロの技術を活用してUSDCやETHなどの資産をチェーン間で移動させるブリッジです。
買収後は、スターゲートのガバナンストークン「STG」がZROへ変換され、スターゲートの収益の50%がZROの買い戻しに使われる仕組みが導入されました。つまり、スターゲートの利用が増えるほどZROにもプラスの循環が生まれる構造となっています。なお、スターゲートの使い方は「ブリッジとは?」をご覧ください。
将来性・リスク
レイヤーゼロの将来性
Web3業界の市場規模拡大に伴い、ブロックチェーンの種類も多様化が進んでいます。膨大なチェーンが乱立する中でさらなる市場の発展を促すには、複数の異なるネットワーク間に互換性を持たせ、スムーズな相互運用を実現できることが極めて重要です。
その文脈において、従来のブリッジが抱える課題を解決し、あらゆるチェーンを単一のインターフェース・コードで接続できるレイヤーゼロの登場は市場の発展にとって大きな価値があります。

出典:Layerzeroscan
実際、レイヤーゼロを通じて行われたメッセージの件数は合計1.5億件を超えており、着実にその影響力を拡大しています。dAppsに限らず、仮想通貨取引所やスワップ、流動性マイニング、レンディングなど、業界の様々なサービスの利便性向上にも貢献することが予想されます。
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投資・利用時のリスク
一方で、ZROやレイヤーゼロエコシステムには以下のようなリスクも存在します。
- 価格変動の大きさ:暗号資産は値動きが激しく、ニュースや市場状況で大きく上下します。
- アンロックによる売り圧力:大規模なトークンアンロックイベントは、下落要因になり得ます。
- 技術面の不確実性:スマートコントラクトのバグや仕様変更のリスクはゼロではありません。
- エコシステム依存:レイヤーゼロやスターゲートの利用量、競合プロジェクトの動きがZROの価値に直結します。
また、バイバックが継続的に行われているとはいえ、価格上昇を保証するものではありません。投資を検討する際は、リスクを踏まえた上で少額から始めることをおすすめします。
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