
Aaveの新プラットフォーム
DeFi(分散型金融)の流動性プロトコル「Aave」のプロジェクトは28日、暗号資産(仮想通貨)イーサリアムのブロックチェーン上にレンディング市場「Horizon」をローンチしたことを発表した。
Horizonは、資格を満たした機関投資家らが、トークン化したRWA(現実資産)を担保にステーブルコインを借りることができるプラットフォーム。提供の主な目的は、DeFiにおけるRWAの実用性を高めることである。
RWAとは
「Real World Asset」の略。ブロックチェーン上でトークン化されるRWAには不動産、アート作品、トレーディングカード等の実物資産、株や債券等の有価証券などが含まれる。
Aaveのプロジェクトは今年3月、RWA関連の機関向けDeFiプロダクトの開発に特化した「Project Horizon」という取り組みを発表。この時に、RWAトークン化の需要の高まりに対応するためにHorizonを開発することが提案されていた。
その後、28日にHorizonのローンチを発表。今後も担保に使える資産を増やすなどして、開発は継続する。
ローンチ時点で担保に使えるのは、短期国債ファンドをトークン化したSuperstateの「USTB」など4資産であると説明。また、マネー・マーケット・ファンドをトークン化したサークル社の「USYC」を近く追加するとしている。
マネー・マーケット・ファンドとは
投資家から資金を集めて運用する投資信託の一種。国債などで安全性の高い運用を行うことが特徴である。
一方、現在借りられるのはAave上の「GHO」、リップル社の「RLUSD」、サークル社の「USDC」の3つの米ドルステーブルコインだとした。
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このようにリップル社やサークル社やSuperstateに加え、VanEckやSecuritizeらの著名企業もネットワークに参加しており、仮想通貨領域のトレンドの1つであるRWAの新プラットフォームであることからもHorizonは注目を集めている。
Horizonの仕組み
過剰担保型のレンディングプラットフォームであるHorizonは、Aave Protocolのヴァージョン3上に構築され、許可型のRWAトークンに対する規制要件を満たせるように設計。借り手と貸し手の取引がスマートコントラクトによって自動的に実行される、ノンカストディアル型のインフラである。
市場を構成するのは2種類のユーザー。まずは、RWAトークン発行者が定める資格を満たした機関投資家らが、トークン化したRWAを担保にステーブルコインを借りることができる。もう1種類は、そのステーブルコインを貸すユーザー。貸し手には誰でもなることができ、流動性を提供することで利回りを得ることが可能だ。

出典:Aave
なお、AaveはDeFi領域における主要プロジェクトの1つ。「DefiLlama」のデータによれば、運用のためにロックされた仮想通貨の総価値「TVL(Total Value Locked)」は350億ドル(約5兆円)超で、イーサリアム上で2位である。
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