CoinPostで今最も読まれています

中国情報通が語る 「デジタル人民元」の真意 中国の仮想通貨取引の事情とは 

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

中国事情通が語る「デジタル人民元」の真意

中国のブロックチェーン国策とデジタル人民元(DCEP)は、仮想通貨業界でも大きな話題として注目された。しかし、情報が閉鎖的である中国の国内事情は、日本から取得し難い状況にあり、国内の温度感は見えにくいと言っていいだろう。

今回、中国の情報通であり仮想通貨ファンドマネージャーDovey Wan氏が、貴重な中国のブロックチェーン戦略とデジタル人民元の真の意図をポッドキャストOffTheChainで語った。

習近平主席のブロックチェーン戦略発言は、中国政府が初めてブロックチェーンに対して親和的発言を行なったものではないが、「今回の発言には特別な意味合いが含まれている」とWan氏は話す。

習主席は、中国の国際的ブロックチェーン主導地位を確保するため、中国全土に技術の推進していく意向を示したものだが、中国はその技術をベースとしてデジタル人民元を活用し、「シャドーバンキング」をなくすことを目的にしていると考えているという。

シャドーバンキングとは、銀行ではなく、証券会社やヘッジファンド、その他の金融会社が行う金融仲介業務を指す言葉で、金融政策でいう「M2資産」のインフレを助長する悪影響に対する方策だという見解だ。

中国政府はここ10年間、中国人民銀行や税務局に開示していない「シャドー資産」を取り除くために様々な対策を講じてきた。新興技術のブロックチェーンを利用したデジタル通貨を発行し、普及させることによって違法取引への対策を強化することこそが、DCEPの真の意図だと指摘した。

人民銀行のクラウドサーバーに存在するものは「仮想通貨ではない」としていながらも、「中国の国民と経済のために、シャドーバンキングを取り除くメリットは十分にある」とコメントした。

また、すでにキャッシュレスに慣れている中国では、デジタル人民元の普及も容易であると考えており、利用率が高い水準になるのも開始後から間もないのではないか、と指摘した。

中国のビットコイン事情

中国の中国人民銀行は2017年9月より、国内の仮想通貨取引業務およびICO活動を全面的に禁止している。

しかし、2019年に入り、バイナンスが人民元のP2P取引を解禁、中国政府もビットコインマイニングを「淘汰産業計画書」から取り除くなど、仮想通貨に対する政府の姿勢が軟化している兆候が見られているとの見方も強まった。

Wan氏によると、そもそも中国ではビットコイン自体を一度も禁止していないという。

ここでいう「禁止をしていない」の意味は、公式に取引所される人民元建ての板取引が解禁されていることではなく、P2P取引やOTC取引など、一般的に政府の目に触れないような仕組みはそのまま放置されていたことを指す。

バイナンスが人民元P2Pを公開した際、AlipayとWeChatPayはその関与を否定し「仮想通貨の購入」を断じて許さないとの声明を出しはいるものの、ユーザーからのスクリーンショットでは依然として上記の両決済サービスを通じて仮想通貨への購入が行えている事例なども同様だ。

中国の仮想通貨取引事情について、保守的に試算しても、ビットコインのハッシュレートの70%が中国マイナーによるものであり、外貨取得手段にもなり得るビットコインには、中国の国益に繋がっている可能性が高い。公的に取引を禁止した理由は、定かではないが、取引自体が厳しく縛られていない実情を鑑みると、政府の流れにも期待が持てるかもしれない。

参考:OffTheChain

CoinPostの注目記事

中国人民銀行「デジタル人民元の発行に”情報支配”の意図はない」
中国人民銀行の穆長春所長は12日、「デジタル人民元」構想は、中国国民の個人情報を支配する意図で発行するものではないと弁明した。その背景には、同国の独自事情がある。
中国国営新聞社『ビットコインはブロックチェーン最初の成功事例』 仮想通貨関連報道に変化か
中華人民共和国の国営通信社である新華社が、『ビットコインはブロックチェーン技術で最初に成功したアプリケーションだ』と報じた。仮想通貨に関する報道内容に変化が見られている。
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
07/27 土曜日
08:10
マスク氏のX(旧ツイッター)、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除か
イーロン・マスク氏がオーナーのX(旧ツイッター)は、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除した。ドージコイン擁護のためか。
07:35
BitwiseのETH現物ETFの横断幕、NYSEに掲揚
仮想通貨運用企業Bitwiseのイーサリアム現物ETFの横断幕が、ニューヨーク証券取引所に掲げられた。同社は、取引終了のベルを鳴らすことも報告している。
07:05
野村傘下のレーザーデジタル、利回り提供のイーサリアムファンド販売予定か
野村ホールディングスの仮想通貨資産子会社であるLaser Digital(レーザーデジタル)は、イーサリアム現物ETFの代替商品の導入を計画しているようだ。
06:40
米SEC、グレースケールのミニ版ビットコインETFを承認
仮想通貨投資企業グレースケールが提供するGBTCは手数料(1.5%)が最も高く資金流出は続いていたが、新商品を導入し0.15%という業界最安の手数料設定で競争力を高める狙いだ。
06:20
ビットコイン価格が21年後に最大で75億円に到達か、マイケル・セイラー氏の強気予想
ビットコインを最も保有する米上場企業マイクロストラテジーのマイケル・セイラー氏はカンファレンス「ビットコイン2024」で、BTCの今後の強気予想のプレゼンテーションを行った。
07/26 金曜日
17:10
「米大統領選で価格変動 トランプやハリス由来のミームコインの買い方
トランプトークンの概要 ドナルド・トランプ前米大統領とその「Make America Great Again」(アメリカを再び偉大に)というスローガンからインスピレーションを得…
17:10
ヤマハ発動機が初のVTuberコラボNFTを発行、Yamaha E-Ride Baseを訪れて進化可能
ヤマハ発動機が初のNFTデジタルステッカーを発行。横浜のYamaha E-Ride Baseで進化するダイナミックNFTを体験し、限定グッズをゲットできる。
15:13
ビットフライヤーがFTX Japan買収完了、カストディ事業展開へ
株式会社bitFlyer HoldingsはFTX Japanの株式100%を取得し、完全子会社化を発表。8月26日までに社名を変更し、クリプトカストディ事業を展開予定。法制度整備後の暗号資産現物ETF関連サービス提供も視野に入れている。
14:43
Neo Xメインネットが正式稼働 EVM互換でネオのエコシステムを拡張
Neoは高性能EVMベースのサイドチェーン「Neo X」のメインネット正式稼働を発表。クロスチェーンブリッジで流動性と互換性が向上し、エコシステムの可能性が広がる。
14:15
カマラ・ハリス氏のミームコインが過去最高値を記録、大統領候補指名の期待受け
PolitiFiと呼ばれる政治パロディのミームコインが、仮想通貨領域で独自のジャンルを形成しており、カマラ・ハリス副大統領のパロディコイン「 Kamala Horris(KAMA)」が急騰し話題となっている。
12:55
アルトコインETFの未来、ブラックロックが語る現実と可能性
ブラックロックのデジタル資産責任者は、イーサリアム現物ETFが承認されていても他のアルトコインETF誕生には困難があると話した。
12:14
仮想通貨相場反発、ビットコイン・カンファレンスのトランプ登壇に関心集まる
昨日までの大幅下落とは打って変わり暗号資産(仮想通貨)相場は反発した。強気シグナルのハッシュリボンが点灯しているほか、今週末にはビットコインカンファレンスに米国のトランプ前大統領が登壇予定であり、投資家の関心が集まる。
11:00
トランプ前大統領の陣営、4〜6月期で仮想通貨で6億円の寄付金調達
トランプ前大統領は、ビットコインなど仮想通貨で6億円以上の選挙資金を調達。「ビットコイン2024」でもさらに資金を集める予定だ。
10:30
BTCが290万ドルに到達するシナリオ、VanEckが公開
仮想通貨ビットコインが2050年までに290万ドルに到達するシナリオをVanEckのアナリストが公開。このシナリオを実現するための条件を説明している。
10:00
ソラナ初事例、パラオ共和国がデジタルID発行
主権国家が仮想通貨・ブロックチェーンであるソラナ上で、法的アイデンティティを発行する初めての事例となった。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア