はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

「日本でのプレゼンス拡大を目指す」Jelurida共同創設者にインタビュー

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

Jeluridaへインタビュー

先日7周年を迎えたブロックチェーンプロジェクトNxt(ネクスト)や、スケーラビリティ向上に特化したマルチチェーンプラットフォームArdor(アーダー)の開発を行うJelurida(ジェルリダ)の共同創設者、Lior Yaffe氏にテキストインタビューを実施した。アーダーで採用されているPoS(Proof-of-Satke)や、日本市場での今後の展開など、ブロックチェーン開発の裏側にあるYaffe氏の思いについて、詳細な回答を頂いた。

ジェルリダとは、スイスを拠点としたブロックチェーン開発企業であり、ネクスト、アーダー、およびアーダーのチャイルドチェーン(シャードチェーン)の一つ、Ignis(イグニス)の開発を行っている。

ジェルリダのメインプロジェクトであるアーダーは、「ペアレント(親)チェーン ー チャイルド(子)チェーン」構造が特徴的なプラットフォームだ。パブリックチェーンとして機能するペアレントチェーンでセキュリティ維持およびトランザクション処理を行う一方、チャイルドチェーンにビジネス向けの機能を組み込み、チャイルドチェーン同士の相互運用性(インターオペラビリティ)を保証することで、スケーラビリティを初めとしたブロックチェーンの課題解決に取り組んでいる。

PoSアルゴリズムについて

まずジェルリダについてお伺いします。どのような会社か、簡単にご紹介いただけますか?

ジェルリダは、仮想通貨ネクストのコア開発者によって2017年に設立されました。2013年、ネクストはコンセンサスアルゴリズムとしてPPoS(Pure Proof of Stake)をパブリックチェーンで採用した初のブロックチェーンとなりました。なのでジェルリダの創設者たちは、PoS開発における草分け的存在と言えるでしょう。

PoSに注目しているプロジェクトが少ない理由は何だと思いますか。ブロックチェーンプロジェクトにとって、PoS特有の難点はありますか。その場合、ジェルリダがPoSで成功している理由は何だと思いますか。

2013年までは、ほとんどの仮想通貨プロジェクトがビットコインのコードを基盤にしていました。しかし、単純な価値の移転以外のことを行うアプリケーションにとっては、ビットコインでは限界があるということに開発者たちが気づきました。ネクストは、最初からJavaで書かれたプロジェクトの一つです。

当時、多くの人にとってPoW(Proof-of-Work)に伴うエネルギー消費は重要ではありませんでした。そのため、ほとんどの人がブロックチェーンのプログラム可能性に関するイノベーションに関心を持っていた一方で、コンセンサスアルゴリズムのイノベーションについては気にかけていませんでした。

ネクストの開発者は、当時から先見の明がありました。ブロックチェーンアプリケーションが普及し利用が増えた場合、PoWは大きな問題に直面することを予期していました。これこそが、他のプロジェクトがコンセンサスアルゴリズムのイノベーションを行っていなかった2013年に、PoS実装が優先事項であった理由です。

現在、他のプロジェクトは一からPoSを開発しなければいけませんが、アーダー(ネクストの複数チェーン版)は、安定していて信頼できるPoSの恩恵を享受できているため、この決定はとても賢いものだったと思います。

PoSはこの業界、および私たちの生活にどのような影響を与えますか。

PoSは、環境に優しい上に真に分散型である、唯一のコンセンサスアルゴリズムです。ビットコインでのPoWは理解できますが、そのほかのブロックチェーンはPoS、またはPoSの変化系を採用し、エネルギーの浪費を抑えるべきです。

アーダーのPPoSアルゴリズムは、シンプルかつスケーラブルで、年月を経ても利用されています。ジェルリダは、このアルゴリズムを頼って、同じコンセンサスを採用したチャイルドチェーン(バーチャルブロックチェーン)をいくつかローンチしました。これを「Consensus as a Service(サービスとしてのコンセンサス)」と呼んでいます。

このテクノロジーにより、ハイブリッドチェーンのデプロイが可能になり、プライベートなデータベース、または許可型ブロックチェーンが、アーダーのチャイルドチェーンを活用し、トランザクションの信頼性を証明することができます。

我々の最新プロトタイプが、スペインのテックジャイアント、Esri Spainと協業開発したサプライチェーンの温度を管理するGeoblockchain(ジオブロックチェーン)です。世界中のCOVID-19ワクチンの流通を追跡し、コンテナーが必要最低気温以下であることを確認するためのソリューションなどにとって、これは最適なアプリケーションです。

コミュニティの拡大

ジェルリダはアフリカと韓国に拠点を持っていますが、ビジネス戦略の観点から、特に重要だと感じている国はありますか。その理由はなぜでしょうか。

はい、あります。しかしそれらの理由は異なっています。

韓国については、韓国人はテクノロジーおよびイノベーションを楽しんでおり、韓国の仮想通貨トレーダーコミュニティは、最も活動的なコミュニティの一つだと思っています。そのため、韓国でローカルな拠点を築き、活動的なコミュニティに我々のプラットフォームについて情報を発信すること、そして何よりそのプラットフォーム上でプロジェクトの開発を行ってもらうことは、ジェルリダにとって必要不可欠でした。

現在、我々の韓国での活動の焦点は少し変更されました。現地のテクノロジー企業とパートナーシップを結び、新たなユースケースを発表しようと考えているため、韓国の企業と話を進めています。その見通しが有望になってきました。

アフリカ(ナイジェリアのラゴスにオフィスがあります)については、人口が理由です。アフリカの人口は2050年までに25億人に達し、そのうちの多くが40才以下になると予測されています。一方、ヨーロッパ、中国、日本および北アメリカの人口は、アフリカよりもかなり少なくなるでしょう。

私たちは、経済バランスを変えるであろうこの先の人口爆発に備えておかなければなりません。アフリカの教育機関が拡充し、そこで多くの若者のソフトウェア開発者が教育を受けている今、その準備を行うには完璧なタイミングです。我々は、助成金や教育イベントを介して、このような学生の間でジェルリダのテクノロジーのプロモーションを行っています。

日本市場をどのように見ていますか。日本市場で何を目指していますか。

日本はジェルリダにとって極めて重要な国です。2016年に、ネクストの初期開発者の何人かは、ジェルリダのコミュニティを去り、アーダー開発に関わるのではなく、新たなNEMと呼ばれるコミュニティを作成しました。

NEMは、ネクストとアーダーにインスパイアされたと言えるでしょう。NEMコミュニティは日本で非常に活発になりましたが、アーダーの存在はほぼ知られていません。この状況を変えることを目標にしています。

日本の皆さんがネクストの後継プロジェクトを享受するには、今が理想的な時だと思っています。日本の仮想通貨投資家にアーダーを認知してもらい、ヨーロッパや他の地域と同様に、日本の企業と連携して現実的なユースケースに取り組みたいです。

日本の読者へメッセージをお願いします。

日本の投資家は、多くの知識があり、異なる仮想通貨の裏側にあるテクノロジーについてよく学習していると思っています。だからこそ、日本の投資家の皆さんが、今後数年で革命的なブロックチェーン技術を率いていくポテンシャルのあるジェルリダのソフトウェアについて調べられるように、労力を投じてドキュメントを日本語に翻訳しています。

また、日本のテクノロジー企業と提携を結び、日本が世界のリーダーである自動車、電子機器、ロボット、鉄道、およびビデオゲーム市場などを含む様々な市場で、私たちのソフトウェアを統合してもらいたいと思っています。

ジェルリダの最新開発に、「Bridge Champ」と呼ばれるオンチェーン版のカードゲーム、コントラクトブリッジがあります。この開発により、このゲームのグローバルなプレー方法が革命的に変わっていくでしょう。日本でコントラクトブリッジはまだ一般的ではないですが、近いうちに日本のユーザーも増えてくれればいいと思っています。

関連:Jeluridaがオンチェーン版トランプゲームを開発、基盤にあるIgnisとは

関連:ローンチ7周年を迎えたPoSブロックチェーンNxt、後継プロジェクトArdorとは

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/24 水曜日
17:57
2025年の調整局面 過去サイクルの「仮想通貨の冬」との違いは?
2025年後半、仮想通貨市場は調整局面を迎えている。しかし過去2度の「冬」とは決定的に異なることがある。トランプ政権の支援、ETF普及、規制整備が同時進行。従来の4年サイクルが崩れる可能性も。2026年の市場展望を専門家の見解とともに解説する。
16:51
ガーナで仮想通貨取引が合法化、2024年取引高は4700億円規模
アフリカのガーナ議会が仮想資産サービスプロバイダー法案を可決し、約300万人が利用する仮想通貨取引を正式に合法化。中央銀行がライセンス発行・監督を担当し、2024年の取引高は4,700億円規模。個人の取引を保護しつつ、事業者には厳格な規制を適用する新たな枠組みを解説。
14:17
ビットコインとイーサリアムに資金集中 仮想通貨市場は年末調整局面へ=Wintermute分析
大手マーケットメーカーWintermuteの分析によると、仮想通貨市場ではビットコインとイーサリアムへの資金集中が加速。機関投資家は夏以降一貫して買い圧力を維持し、個人投資家もアルトコインから主要通貨へローテーションを開始している。
13:25
取引所クリプトドットコム、スポーツ予測市場でトレーダー募集 利益相反の懸念も
仮想通貨取引所クリプトドットコムがスポーツ予測市場のトレーダーを募集している。流動性提供を担当する職務内容だが、利益相反に当たるとの議論も浮上している。
10:20
ブラックロック、ビットコインETFを「今年の3つの投資テーマ」に選出
最大手資産運用会社ブラックロックが、仮想通貨ビットコイン現物ETF「IBIT」を2025年の上位3つの投資テーマに選出した。米国債などと並ぶ投資先として位置づけている。
09:46
コインベースがベース経由でSOL入出金に対応
コインベース取引所が23日、ベースネットワーク経由でのSOL入出金機能を開始。チェーンリンクとの協力により、外部ブリッジを使わずソラナとベース間の直接送金が可能に。ただし日本を含む一部地域では利用制限あり。
09:45
IMF「エルサルバドルのBTCプロジェクトに関する議論は継続中」
IMFは、エルサルバドルに関する職員の報告を公開。報告は40カ月間の中期融資制度のレビューに関する内容で、同国の仮想通貨ビットコインのプロジェクトにも言及している。
08:30
米Amplify ETFs、ステーブルコインとトークン化特化の新ETFを上場
米Amplify ETFsがステーブルコイン技術とトークン化技術に投資する2つの新ETFを発表した。ステーブルコイン市場は2030年に3兆7000億ドル、トークン化資産は3兆6000億ドルへの成長が見込まれている。
07:20
ロシア中銀、適格投資家以外の仮想通貨購入の認可を政府に提案
ロシア中銀は、仮想通貨規制のコンセプトを考案して政府に対して法改正の提案を行ったと発表。提案の内容や今後の計画を説明している。
06:55
ソラナ特化型ウペクシ社、シェルフ登録で柔軟な資金調達体制を構築
米上場のソラナ特化型企業ウペクシが米SECにシェルフ登録届出書を提出し、未使用のエクイティラインを解約する計画を発表した。資本調達の効率性向上とコスト削減を目指す動きとなる。
06:20
ビットコイン、金・銀と乖離し上昇に遅れ 大口売り圧力が要因に
仮想通貨ビットコインは金や銀と異なり最高値から30%下落したまま推移。8月以降ナスダックとの相関が乖離し、大口プレイヤーからの売り圧力が上昇を阻んでいると分析された。
05:35
米アリゾナ州、仮想通貨免税法案を提出
米国アリゾナ州で仮想通貨を州税から免除する法案が提出された。連邦レベルでは200ドル未満のステーブルコイン取引を非課税とする超党派法案の草案が発表された。
12/23 火曜日
18:30
CircleのStableFXとは?外国為替をステーブルコインで効率化する戦略を読み解く
1日1,400兆円超のFX市場に、Circle社がステーブルコインで挑む。StableFXの仕組み・強み・日本円ステーブルコインJPYC採択の背景まで、戦略を読み解きます。
18:16
ビットコイン、インフレ調整後の購買力ベースでは10万ドル突破せず=Galaxy分析
ギャラクシー・デジタルの研究者がインフレ調整後、ビットコインは「真の10万ドル」に未達と指摘。しかし日本の投資家は円安効果により米国投資家を大きく上回る実質リターンを獲得。円キャリートレードの典型例を分析。
18:00
edgeX(エッジエックス)とは?エアドロップ情報・使い方を解説
edgeX(エッジエックス)は累計取引高5,900億ドル超の永久先物DEX。独自トークンの発行やエアドロップも予定されています。本記事では特徴や使い方、流動性提供の方法、手数料・リスクまでわかりやすく解説します。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧