仮想通貨市場の最新動向
米フェイスブックは28日、メタバース(仮想空間)事業に注力する計画に合わせ、社名を「Meta」に変更すると発表した。 NFT(非代替性トークン)の事業領域参入も示唆している。
Announcing @Meta — the Facebook company’s new name. Meta is helping to build the metaverse, a place where we’ll play and connect in 3D. Welcome to the next chapter of social connection. pic.twitter.com/ywSJPLsCoD
— Meta (@Meta) October 28, 2021
Google、Apple、Amazonと並ぶ「GAFA」に数えられるなど、世界屈指の知名度を誇る上場企業名のリブランディングは異例であり、メタバース領域に関するマーク・ザッカーバーグCEOの本気度を伺わせる。
関連:フェイスブックが「Meta」に改名、メタバース事業でNFT領域に参入か
これに伴い、暗号資産(仮想通貨)市場では”メタバース”関連銘柄が物色された。ブロックチェーン基盤のNFTプロジェクトは旧フェイスブック社とは直接関係はないが、市場規模拡大が顕著なことから思惑が先行したものとみられる。
中でも、メタバース銘柄として代表的なディセントラランド(MANA)とザ・サンドボックス(SAND)の騰落率は、前日比+20%を超える。
「Decentraland」は、最も歴史のあるブロックチェーン基盤のメタバースゲームだ。バーチャルの世界でLAND(土地)と呼ばれるNFTを購入し、周囲の環境をカスタマイズすることができる。
今年7月には、コカ・コーラ社がDecentralandで使用可能な限定NFTをNFTマーケットプレイスのOpenSeaでオークションした。
「The Sandbox」は、メタバースと呼ばれる仮想空間の中で、3D×ドット絵のボクセルアートによるモンスターや建物などのデジタル資産を作って遊ぶ「ユーザー主導のゲームメイキングプラットフォーム」。世界的人気を博す「マインクラフト(Minecraft)」と同系統のブロックチェーンゲーム版としても認知されている。
20年3月には、The Sandbox開発会社のTSB Gaming Ltdにスクウェア・エニックスが出資したほか、国内大手取引所コインチェックのNFTマーケットプレイスで、コインチェックが購入したサンドボックスのランドが複数回販売された。
関連:次世代の仮想空間サービス「メタバース」とは|ブロックチェーンとの関係も解説
ビットコインの関連情報
29日の暗号資産(仮想通貨)市場。 ビットコイン価格は、前日比+4.1%の700万円(61,600ドル)と乱高下しつつも反発した。
赤丸は前回の調整局面。下値での買いは旺盛であるが、今回も不安定な情勢にあるため一つの目安となるか。続落した場合、ロスカットされたポジション量とOI(未決済建玉)、FR(ファンディングレート)などデリバティブ(金融派生商品)市場の指標などを鑑みた上、足元の過熱感で押し目水準を推し量ることになる。
ビットコイン先物ETF(上場投資信託)を認可した米SEC(証券取引委員会)が、レバレッジ型ETFの申請取りやめを指示したとの情報もネガティブサプライズとなった可能性もあるとされるが、現物ETFやレバレッジ型ETFについてSECは、「現時点では規制や面投資家保護の仕組みが不十分」との見方を示す。このまま本命視される現物ETFまで承認される見込みは高くないと見られており、織り込まれていくことになりそうだ。
関連:米SEC、レバレッジ型ビットコインETFを承認しない方針か=報道
BTC市場は、短期的にはロングのロスカットで投げ売りが出ていたが、押し目買いで反発した。過去最高値付近で思惑が交錯しているため、ボラタイルな相場になっており油断は禁物だろう。
アルトコイン市場の個別銘柄
ビットコイン(BTC)が乱高下する中、アルト市場に物色の矛先が向いている。特に先日の下落局面でも逆行高となった柴犬コイン(SHIB)は投機的な買いが集まった。
関連:ビットコイン続落で仮想通貨全面安、逆行高の柴犬コイン(SHIB)時価総額TOP10入り
ETH
暗号資産市場でビットコイン(BTC)に次ぐ、時価総額2位のイーサリアム(ETH)が、過去最高値の4,384ドルを更新した。日本円建てで約50万円を記録した。
最大手仮想通貨取引所バイナンスなどから、祝福が寄せられている。
$ETH just made a new all-time high on #Binance!
— Binance (@binance) October 29, 2021
イーサリアム(ETH)は、ETH基盤のトークンが多くを占めるDeFi(分散型金融)やNFT(非代替性トークン)の市場規模拡大に伴い、特にここ1年間で目覚ましい発展を遂げてきた。
しかしその反面、ネットワークのトランザクションが詰まったり、手数料(ガス代)高騰などスケーラビティ問題に悩まされてきたイーサリアム(ETH)。今まさに次世代チェーン2.0への移行期にあたる。
その間にも、ソラナ(SOL)、カルダノ(ADA)、ポルカドット(DOT)、バイナンススマートチェーンなど、いわゆるイーサリアム・キラーとされるブロックチェーンの台頭や、Polygon(Matic Network)、Optimistic RollupなどETH上の「レイヤー2ソリューション」躍進も目立ち始めた。
しかしそれでも、dApps開発を伴うイーサリアムのエコシステム(経済圏)は、分散化の観点から他の追従を許さない。業界のフロント・ランナーであり続け、各国に分散された2,000人を超えるとされる開発者数は、他の有望プロジェクトと比較しても群を抜いている。
関連:なぜイーサリアムへの資金流入が続くのか、高騰続く背景は
今年8月には、EIP-1559実装のロンドン・ハードフォークが行われ、基本手数料を燃やす(バーン)メカニズムへの変更により、デフレ的性質をもたらした。
ultrasoundのデータによれば、市場供給量から燃やされたイーサリアムの焼却速度を示す「バーン・レート」は分速5.48ETHに達した。累計10万ETHに達した8月下旬の時点で分速3.41ETHであったが、現在は勢いが衰えるどころか1.6倍まで加速している。
さらに、「ETH2.0」のデポジットコントラクトには、すでに800万ETH以上がステーキングのためにロックアップされ、ネットワークを維持するバリデータ・ノード数は25万を超えた。
QASH
QUOINEの独自トークンであるQASH(Liquid Token)が前日比+50%と高騰した。
暗号資産(仮想通貨)取引所Liquid by Quoineを運営するQUOINE株式会社が26日付けで、金融庁から「第一種金融商品取引業」のライセンスを得たことが好感された。駆け込み登録となったbitFlyer共々、承認見込みが懸念されており、両社にとっても悲願とも言える。
20年5月に施行された「改正金融商品取引法」に基づき、証拠金(レバレッジ)取引などを提供するデリバティブ取引は、「金融商品取引法」の規制対象となった。第一種金融商品取引業は、証券業や外国為替証拠金取引業(FX)を行うために必要なライセンスで、他の金融商品取引業よりも数段厳しい基準が設けられている。
関連:QUOINE株式会社、「第一種金融商品取引業」登録完了
QASH価格は、開発進捗の遅れなどからピーク時と比較して長らく低迷したままであったが、QASHの大型アップデート及びメインネット・ローンチに向けて進展となったと言える。
2014年に設立されたLiquid Globalは、80万人の顧客を抱える最大手仮想通貨取引所。2019年には、企業評価額10億ドル(約1,100億円)に達して”ユニコーン企業”と目されたが、21年8月にシンガポールの取引所で仮想通貨のハッキング事件が発生。顧客資産被害はないとしながらも、入出金の管理用ウォレットから約100億円が不正流出した。
この際、最大手デリバティブ(金融派生商品)取引所FTXが融資して救済しており、類稀なる経営手腕で存在感を高めるサム・バンクマン・フリードCEOが、ライセンス取得プロセスやバランスシート改善など経営に介入し始めたことも材料視された。
1) @FTX_Official is proud to announce that we've extended capital to @Liquid_Global.
— SBF (@SBF_FTX) August 25, 2021
All customer assets are safe and backed fully backed.https://t.co/79gFinQh4N
関連:仮想通貨ウォレットの復元方法を解説=KeyChainX
過去に掲載したマーケットレポート一覧はこちら