ブロックチェーンで炭素クレジットを取引
英国の名門大学ケンブリッジ大は、暗号資産(仮想通貨)テゾス(XTZ)のブロックチェーンを活用し、炭素クレジットを取引できる分散型のマーケットプレイス(電子市場)のローンチを計画していることが分かった。
炭素クレジットとは、地球の温暖化対策において、どうしても削減できない温室効果ガスの排出量を、排出量の少ない国などに買い取ってもらう際に取引される排出枠のこと。環境に与える影響の少ないテゾスのブロックチェーンのメリットを活用し、グローバルに温暖化対策をサポートすることが目的だ。
@Cambridge_Uni Centre to launch decentralized carbon credit marketplace on #Tezos
— Tezos (@tezos) November 10, 2021
"What is needed is a decentralized marketplace where purchasers of carbon credits can confidently and directly fund trusted nature-based projects." – @avsm https://t.co/A81RMb06VO
テゾスのブロックチェーンは、コンセンサスアルゴリズムにプルーフ・オブ・ステーク(PoS)を採用。これはビットコイン(BTC)などの仮想通貨が採用するプルーフ・オブ・ワーク(PoW)と違い、取引の検証にコンピューターの膨大な計算を必要としないため電力消費が少なく、環境への負荷も少ないとされている。
関連:初心者でもわかる、ビットコインのマイニング(採掘)とは 3種類の方法を解説
炭素クレジットの取引は「二酸化炭素排出権取引」などとも呼ばれる。京都議定書に基づいて、温室効果ガスの削減を進めていく中で、その排出枠を国同士で取引するための制度として誕生。その後は民間組織にも取引制度が普及した。
一方で、取引では排出枠の発行や管理、取引で書類作成などに時間と手間がかかるという。この課題によって取引の普及が妨げられているため、問題の解決にブロックチェーンを活用し、作業の効率化などが実現できるのではないかと以前から注目されてきた。今回のケンブリッジ大学の計画は、その取り組みの事例となる。
テゾスを選んだ理由
今回のマーケットプレイスの構築を計画しているのは、ケンブリッジ大学のコンピューターサイエンス・テクノロジー学科と保全研究機関を拠点にする「Cambridge Centre for Carbon Credits(以下、4C)」という組織。信頼できる炭素クレジットのマーケットプレイスを設立することを主な目的として、今月に設立された。
現在はまだマーケットプレイスの原型を作成している段階で、これからケンブリッジ大学で、研究者やエンジニアの求人を行うとしている。
4Cは今回の発表で、テゾスのブロックチェーンを選んだ理由を以下のように説明した。
テゾスはエネルギー効率が良いブロックチェーンだ。第三者が全てのトランザクションを検証でき、持続可能な方法で運営されている。
この特徴が、「技術を通して持続可能な未来をサポートする」という我々のビジョンと一致した。