タンザニアがCBDCの検討を開始
タンザニア中央銀行のフローレンス・ルオガ総裁は25日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)についての計画を進めていくと発表した。首都ドドマで開催された金融カンファレンスでの発言をブルームバーグが報道した。
ルオガ総裁は、CBDCプロジェクトを開始した理由について、各国の中央銀行がデジタル通貨の導入を検討していることから、この動きに取り残されないようにすると説明。タンザニア中銀は、独自のCBDCを持つための準備を既に始めていると述べ、今後もデジタル通貨の研究をさらに拡大し、担当チームの能力を強化することも考えていると続けた。
タンザニアは東アフリカに位置しているが、今回の動きは特に、同じアフリカ大陸のナイジェリアが10月に、CBDC「eナイラ」を正式導入したことに触発されたと推定されている。
銀行口座を持つ人口が少ないナイジェリアは、金融包摂の拡大を狙いの一つとして法定通貨「ナイラ」のデジタル版を発行。デジタル形式の現金として、国民の電子商取引などへの参加を容易にできると期待されており、将来は国際決済などへ用いることも想定されている。
タンザニア中銀のルオガ総裁は、同銀行が、外貨準備の多様化を計画していることにも触れた。そのために、地元の精錬所からゴールド(金)を購入する予定もあるとした。
CBDCとは
各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。仮想通貨との大きな違いは、CBDCは法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。
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ビットコインなどには慎重姿勢
CBDCについてのプロジェクトを進める一方で、タンザニア中銀は、まだビットコイン(BTC)など民間の暗号資産(仮想通貨)には慎重な姿勢を示している。ルオガ総裁は、現在仮想通貨が法律で禁止されていることを指摘し、投資には慎重になるよう国民に促した。
タンザニアでは、2019年より仮想通貨の禁止令が施行されている。ただ21年6月には、同国のサミア・スルフ・ハッサン大統領が「タンザニア中銀はブロックチェーンや仮想通貨について準備を整えておく必要がある」と発言し、中銀も「この指令に取り組んでいる」とコメントしていた。
CBDCだけではなく、ビットコインなどについても、そのあり方を検討しているのかどうかは不明だ。
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ガーナもCBDCに積極姿勢
アフリカ諸国の中では、ガーナもCBDCについて先進的な姿勢を示している。ガーナ中央銀行のアーネスト・アディソン総裁は5月、記者会見で、同国が法定通貨セディのデジタル版を研究していると明かしていた。
その際には、CBDCの設計などを含む初期段階はほぼ完了しており、今後のプロセスとしてモバイルアプリなどで実際の使用をテストしていく予定だとしていた。
一方で、ビットコインなどについてはボラティリティ(価格変動性)が大きすぎるため、通貨としての機能を効果的に果たすことができないとの見解を述べた経緯がある。