仮想通貨のリスクを懸念
シンガポールで事業の認可を申請している暗号資産(仮想通貨)関連企業176社の内、103の企業は非承認と判定されるか、申請を取り下げたことが分かった。『Nikkei Asia』が報じた。
対象の企業が申請していたのは、同国中央銀行「Monetary Authority of Singapore(以下、MAS)」が付与する「デジタル決済トークンサービス事業」の認可。MASはブロックチェーン技術を支持しているが、同時に仮想通貨がマネーロンダリングに悪用されるなどのリスクを懸念しているという。
シンガポールでは、仮想通貨取引所などの関連事業者は運営にあたり、「決済サービス法」に準拠し、運営ライセンスを申請する必要がある。最近の動向では10月、2社に仮想通貨関連ライセンスを付与したことを発表。一方で11月、Huobi Globalはシンガポールでサービスを停止する予定を発表した。
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Nikkei Asiaによれば、今回報じられた176社の申請状況の内訳は以下のようになっている。
- ライセンスなし:103社
- 結果待ち:70社
- 認可済み:3社
MASの担当者は、多くの企業が承認を得られていない状況について、以下のように説明した。
仮想通貨は、送金速度も速く、国境を超えて利用できることから、マネロンやテロ資金供与、拡散金融に悪用される恐れがある。
認可が付与される企業はこのようなリスクを軽減するため、適切な顧客管理や定期的なアカウントのレビュー、疑わしい取引の監視・報告をしなければならない。
シンガポールは一時的に認可の免除を認め、一定期間事業を継続できるという措置も講じているが、仮想通貨企業からは「ライセンス付与の基準が透明性に欠けており、大手企業や海外の取引所を優先して事業を許可している印象を受ける」といった声が上がっているという。
上記内訳の認可済み3社には、シンガポール大手銀行DBS傘下の証券会社DBS Vickersや、オーストリア発の仮想通貨取引所Independent Reserveが含まれている。
一方で、規制当局は犯罪行為から金融サービス業界を守ろうとしており、実際はリスクを軽減できる体制を整備できていない企業があるのではないかとの指摘も上がった。