ビットコインの社会的な役割
欧州中央銀行(ECB)のFabio Panetta執行委員は30日、欧州議会の経済通貨委員会で、ビットコインに代表される民間の暗号資産(仮想通貨)は「純粋なギャンブル」で「社会的役割を持たない」と主張。政策立案者はこれらの資産に対し、より厳しいアプローチを取るべきだと述べた。
Panetta氏の主張によると、「ビットコイン型資産」の背後には経済的活動はなく、決済にも投資にも使われておらず、配当も生じないにも関わらず、膨大なエネルギーを浪費しているという。
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しかし、すでに活発な取引が行われている仮想通貨市場への介入は容易ではないと同氏は言う。中央管理型取引所への介入は可能だが、問題は仮想通貨活動の大半が「分散化された非公式のマーケット」で行われていることだと指摘。規制には国際的な協調が必要となると述べた。
自己管理型ウォレットへの送金
Panetta氏のこの発言は、自己管理型の仮想通貨ウォレットへの送金を規制するEUの法案にも呼応する。
28日に、欧州議会の経済通貨委員会が早ければ31日にも、仮想通貨を利用したマネロン防止のための改正案に投票する予定だと報道された。この法案には、自己管理型のデジタルウォレットへの少額の送金も、監視対象となる内容が盛り込まれているという。
コインベースをはじめ、仮想通貨業界関係者はこの改正案により、取引所に対する監視体制が厳しく強化されることになると懸念を表明。最悪の場合、自己管理型ウォレットへの送金を全面的に禁止する可能性さえあると危機感を募らせている。
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デジタルユーロの少額送金
ECBのPanetta氏は、ECB発行のデジタル通貨(CBDC)関連の調査を主導する立場にあり、民間仮想通貨に対する懸念とは対照的に「デジタルユーロ」の導入には積極的な姿勢を見せている。
30日の経済通貨委員会では「社会のニーズに応えるデジタルユーロ」と題したスピーチで、電子商取引や実店舗、また個人間の決済利用が、優先されるべきユースケースだと主張した。
一方、デジタルユーロに関する一般からの意見募集(2020年10月~2021年1月)では、CBDCへの信頼を得るためには、プライバシー保護が重要であることが明らかになっている。
決済利用においてマネロン及びテロ資金供与防止対策は必要だが、少額決済に関しては「簡略化されたチェック」を利用し規制の緩和をする用意があると、同氏は述べた。
PoW禁止条項は承認されず
仮想通貨の規制枠組みを制定する法案「MiCA」は、欧州議会(EP)、欧州委員会(EC)と欧州評議会の三者協議の段階へと進んでいる。
エネルギー問題の観点から、ビットコインなどPoW(プルーフオブワーク)に基づく仮想通貨銘柄を禁止する条項が何度か浮上したが、最終的には非承認となった経緯がある。
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MiCA
MiCAとは、2020年9月に欧州委員会(EC)が提案した、欧州連合(EU)加盟国全域を対象とする包括的な仮想通貨規制案。欧州の仮想通貨市場の制度化促進を目指すもので、成立後には、現在EU各国で解釈の異なる既存の仮想通貨規制に取って代わることになる
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