Azuki共同創設者のスキャンダル
アニメアート系NFT「Azuki」のZagabond共同創設者は10日、現在は開発が途絶えているNFT(非代替性トークン)プロジェクトに複数関与してきた経歴を明かした。
その後、「ラグプル(出口詐欺)」が連想される行為が暴かれると不信感が広がり、Azukiコレクションのフロアプライス(底値)は前日比48%下落している(11日15時時点)。
Azukiは、ロサンゼルスを拠点とする4人の匿名メンバー(Zagabond、2pm.flow、location tba、HoshiBoy)が設立したChiruLabsが、メタバース構築を目指して立ち上げたブランド。10,000点のAzuki限定NFTの購入者は、「The Garden」のメンバーシップを取得できる。
AzukiNFTは22年1月12日に約44万円(3,400ドル)で発売されると、わずか数分で完売。NFTデータサイトCryptoSlamによると、5月11日までにAzukiの総取引額は900億円(7億2,600万ドル)を超えており、歴代8位の人気NFTコレクションとなっている。
Zagabond自身が10日未明に公開したブログによると、同氏はAzuki以前にCryptoPunksのクローン(コピー)プロジェクトなど3つのNFTコレクション(CryptoPhunks、Tendies、CryptoZunks)に関与してきた。
いずれもロードマップで示されていたプロジェクト開発が途中で放棄されており、一部のコミュニティからは「ラグプル(出口詐欺)」ではないかと認識されている。
ラグプルとは
英語で「Rug Pull」と表記される出口詐欺のこと。開発者が初期投資家を誘い込んでNFTを売りつけた後、プロジェクトを放棄したり、NFT販売で得た資金を持ち逃げする行為。DeFi(分散型金融)プロジェクトの開発者などの運営側が、密かに仮想通貨のプールから流動性を引き抜いて持ち逃げするなどの事例がある。
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Twitterスペースで釈明会見
ブログの公開直後、Azukiコレクションのフロアプライスは約19 ETH(600万円)から10.5 ETH(320万円)まで下落した。
Zagabondはその後、10日10時頃(日本時間)にTwitterスペースで釈明会見を開催。過去のプロジェクトはラグプルではなく、「最終的にプロダクトが市場で受け入れられなかったため」に停止したものと説明した。CryptoZunksは「イーサリアムのガス(取引)コストがユーザー体験を殺してしまい限界があった」とし、Tendiesはコレクションの約15%を発行した時点で「切り上げた」と述べている。
Twitterスペースでの議論は主にコミュニティメンバーが問題を指摘し、Zagabondが自分の行動を正当化するという形で終始した。同氏は、開発者として芽の出ない製品に時間を浪費するのではなく、早期に切り上げてピボットする方が懸命だったと述べ、Azukiの成功は失敗事例から学んだ賜物であると強調した。
Zagabondから損失を被った人々に対する謝罪がなかったことも批判を集めている。
Azukiの成功から補償費用を捻出すべき、という意見も挙がった。最終的にZagabondは、放棄していたプロジェクトのコミュニティと向き合い、解決策を導き出すことを約束した。しかし、Tendiesのようにソーシャルメディア自体が閉鎖されているケースもあり、実行性の低さが目立つ。
Remember this? https://t.co/jAGU4ixLHY pic.twitter.com/YARHSLeu0O
— ZachXBT (@zachxbt) May 10, 2022
問題は徐々に拡大している。コミュニティは、ブロックチェーン上の記録を用いたオンチェーン分析を通して、開発者の過去の行為を詳細に暴いている。
例えば、CryptoPhunksの作成者はNFTの「ウォッシュトレード」によって、300 ETH(約9,000万円)の利益を挙げたことが指摘された。ウォッシュトレードはNFTを自己売買によって価格を吊り上げたり取引量を水増しするために使用する相場操縦行為、株式公開市場では違法とされている。
結果として、Azukiコレクションのフロアプライスは11日0時頃に一時7 ETH(約200万円)まで下落。執筆時点に大手NFTマーケットプレイスOpenSeaで10.4ETHで取引されている。