犯罪収益をビットコインに交換
海外にあるソニー生命保険の子会社から約170億円の資金が不正送金された事件で、同社元社員の石井伶被告は7日、東京地裁の初公判で起訴内容を認めた。複数の国内メディアが報じた。
石井被告は不正送金した全額を、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)に替えていた。米司法省は昨年12月、米連邦捜査局(FBI)の調査にもとづき、全3,879BTC超(現レートで160億円相当)を押収したことを発表。盗まれた資産はソニー生命保険側に返還する手続きが進められている。
起訴内容によると、石井被告は昨年5月に上司の指示と偽って、英領バミューダ諸島の子会社「SA Reinsurance」の米国口座から、自身の米銀行の口座に約170億円を不正に送金。そして、翌日に全額をビットコインに交換し、犯罪収益を口座に隠したとされている。
その後、同社の口座残高が減少していることが発覚し、日米で協力して捜査が行われる中で、警視庁が21年11月に石井被告を逮捕。その初公判が昨日行われた。
石井被告は警視庁に逮捕された後の調べに対し、「大金が欲しかった」や「ビットコインであれば凍結されないと思っていた」などと供述したという。
仮想通貨の犯罪利用
仮想通貨は匿名性の高さなどの特徴から、犯罪に利用される可能性が高いとの見方がある。しかし一方で、当局によってブロックチェーン上の取引が追跡され、押収される事例も増えてきた。石井被告については、警視庁とFBIが自宅を捜査し、押収した証拠物を分析して、多額のビットコインを保有していることが判明したという。
ブロックチェーンとは
ネットワーク上の複数のコンピューター機器を接続し、分散的に情報を記録・管理するデータベース(台帳)、またはその技術を指す。ネットワーク参加者がデータを共有し、相互に監視することで、透明性と信頼性が担保されている。
▶️仮想通貨用語集
先月には、米シークレットサービスが、2015年以降の過去7年間で約130億円(1億ドル)以上の仮想通貨を押収してきたことが分かった。シークレットサービス捜査本部のアシスタント・ディレクターは、「我々はブロックチェーン本来の目的から逸れた追跡手法は使っていない」と説明している。
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日本では今月に法務省が、マネーロンダリング(資金洗浄)などに使われた仮想通貨を確実に没収するため、組織犯罪処罰法を改正する方針を示していることが報じられた。現在の法律では仮想通貨の位置付けが不明確なため、法改正することで仮想通貨も確実に没収対象にできるようにすることが目的である。