はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

STEPN経済圏を活性化させる、独自の分散型取引所『DOOAR』とは ソラナ基盤のDEX最大級に成長

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

Move to Earn(動いて稼ぐ)で注目を集める分散型ゲームアプリSTEPN(ステップン)は、22年8月17日に独自の分散型取引所(DEX)として、DOOARを正式にローンチしました。

ユーザーはSTEPNエコシステム内で、GMTやGSTなどのゲーム内暗号資産をステーブルコインに換金したり、ゲームへの投資のために再投入できるようになっています。

DOOARは22年6月10日にβ版をリリースしており、7月初旬にはデイリーユーザー数が約77,000人に達しました。その後、執筆時点に至るまでソラナ(SOL)を基盤とするDEXの中でトップシェアのポジションを維持しています。

そこで本記事では、正式リリースを迎えたDOOARの機能やSTEPNエコシステムとの関係性、今後の計画についてご紹介します。

目次
  1. STEPNのDOOARとは
  2. DOOARの基本機能
  3. 取引手数料による新たな収益源
  4. ユーザー規模でソラナNo.1のDEX
  5. 今後の展望

1. STEPNの独自DEX『DOOAR』とは

Web3.0型のフィットネスアプリ「STEPN」では、ウォーキングやランニングを通じて、ゲーム内通貨のGSTやガバナンストークンGMT(GMT報酬は22年8月12日時点に準備中)を獲得できます。21年12月にローンチされたSTEPNはまだβ版でありながら多くのユーザーを集めており、運営情報によればピーク時のデイリーアクティブユーザー数は約100万人に達しています。

企業とのコラボレーションでは、国内大手スポーツブランドの「アシックス」をはじめ、スペインの強豪サッカークラブである「アトレティコ・マドリード」との提携を発表しました。

関連:STEPN、アトレティコ・マドリードなどと提携

STEPNは当初、ソラナ(SOL)エコシステムの主要なDEX(分散型取引所)Orcaと連携する形で、アプリ内蔵型のスワップ機能を設けました。当時、STEPNのアプリで行われるすべてのスワップは、Orcaの流動性プールを経由して行われました。

22年6月10日にSTEPNチームは、GSTとGMTトークンの流動性を高め、手数料収益を有効活用する目的で、独自のDEX「DOOAR」を立ち上げました。スワップ機能をOrcaから自社DEXに移行したことで、取引手数料(1%)をエコシステムに再投資できるようになっています。この資金は、最終的にSTEPNのユーザーにも還元されるよう、各種イベントや新機能開発に充てられます。

暗号資産を歩いて稼ぐ、フィットネス系NFTゲーム「STEPN」とは
「Move to Earn」分散型ゲームアプリSTEPN(ステップン)は、ゲーム内経済が直面している課題解決に向けて4つのアクションプランを発表した。ソラナ、BNBチェーンに次いで第3のチェーン展開を控える中で、安定化のためのルール作りに取り組みたい。

2. DOOARの基本機能

DOOARは、STEPNのゲームプレイ報酬として受け取る暗号資産GMTとGSTに最適化されたDEXです。

マルチチェーン展開を想定しており、2022年8月17日時点にソラナ・ブロックチェーンのほかにイーサリアム(ETH)、BNBチェーン(BNB)で稼働しています。ここではDOOARの使い方と、基本機能である「Swap(交換)」と「Pools(流動性提供)」についてご紹介します。

2-1. DOOARの使い方

出典:DOOAR

DEXはユーザー自身がウォレットの秘密鍵を管理する(ノンカストディアル)ので、中央管理型取引所のように特定のアドレスに資産を送付する必要がありません。ユーザーは各チェーンの主要なウェブウォレットを接続するだけでDOOARを利用できます。

DOOARを利用するには、PhantomやMetamaskなどの対応ウォレットをブラウザ拡張機能としてダウンロードしておき、「Connect Wallet(ウォレット接続)」をクリックしてします。DOOARに接続可能なウォレットは以下の通りです。

  • ソラナ
    Phantom / Glow / Solflare
  • BNBチェーン
    Metamask / WalletConnect / Coinbase Wallet
  • イーサリアム
    Metamask / WalletConnect / Coinbase Wallet

MetaMaskとは?実際に使用しながら使い方を解説 CONNECTV・動画解説

関連:GMTの買い方|STEPNやGasHeroで使われる仮想通貨の将来性、GSTとの違いを解説

2-2. スワップ機能

DOOARでは、GMTとGSTを相互に交換したり、ステーブルコイン「USDコイン(USDC)」に換金したり、各チェーンのネイティブトークン(ETH、BNB、SOL)と交換したりできます。

出典:DOOAR

DOOARはオーダーブック(指値注文する取引板)を持たず、代わりに暗号資産同士のペアで構成される流動性プールを使用する「AMM(自動マーケットメイカー)」という仕組みを採用しています。

AMMは、刻々と変化するプールの在庫量に基づいて価格が自動決定されるメカニズムを内蔵しています。数式に沿って自動でレートを提供するので、ユーザーはいつでも簡単に資産を交換できます。

STEPNの「GMT(Green Metaverse Token)」とは|主な特徴と注目ポイントを解説
Move to Earn(M2E)を採用するフィットネス系NFTゲームのSTEPN(ステップン)。ガバナンストークンGMT(Green Metaverse Token)の特徴と強みについて、初心者にもわかりやすく解説します。

2-3. 流動性提供

8月17日時点に、ソラナ版のDOOARユーザーは流動性提供が可能になっています。「流動性提供(Liquidity Provider)」とは、DEXのAMM(自動マーケットメイカー)に暗号資産をロックすることで、取引手数料の一部を稼ぐ行為です。

出典:DOOAR

DOOAR(ソラナ版)には、「SOL/USDC」、「GSD/USDC」、「GMT/USDC」の3種類の流動性プールがあります。「Total Value Locked」は各プールにロックされている総資産価値です。

執筆時点、3つの中では「GSD/USDC」が約6億円(460万ドル)で最もTVLが大きい。プールに貯まった金額が大きければ大きいほど、より高額の交換にもスリッページ(注文時の価格と約定価格の差)を抑えて応じるようになります。

出典:DOOAR

流動性提供者になるには、上部メニューの「Pool」タブを選択し、目的のプールの「Deposit」をクリックして、数量を指定します。提供した流動性はいつでも引き出せます。

2つの資産をウォレットに準備し、プールに資金を入れて流動性提供者になれば、あとは何もする必要もありません。プールが自動で取引に応じ、発生した取引手数料が流動性提供者でシェアされます。

例えば「GMT/USDC」プールで1万ドル分のスワップが発生すると、取引手数料の流動性提供者の配分(0.3%)は30ドルです。この30ドルの収益は、各流動性提供者の出資率に応じて配布されます。

3. 取引手数料はSTEPNの収益源に

DOOARの取引手数料は1%に設定されています。大手DEXであるUniswapやSushiswapの0.3%と比べて高いものの、この資金はエコシステムを強化するために活用されるため、ユーザーにとって利点があります。

STEPNでは、四半期ごとにNFTマーケットプレイスの取引手数料やロイヤルティで得た利益を使用して、流通市場からGMTやデジタル・スニーカーNFTを買い戻し(バイバック)、焼却(バーン)しています。

「バイバック」は、株式市場でいう自社株買いのようなもの。バーンは暗号資産の供給量を減らす取り組みで、流通数が減少することで単位あたりの希少性が高まるため、エコシステム全体に利益を還元する仕組みとして採用されています。

DOOARの導入により収益水準が高まると、新規ユーザーの流入に頼らずに、既存ユーザーによるトークンやNFTの取引量によって、安定的にゲーム内経済圏を回せるようになり、資産価値の安定化につながると期待されます。

DOOARの手数料は以下の用途別に分けられ、エコシステムで活用されます。

  • エコシステム・ファンド:0.6%
    1) GMTやNFTスニーカーの買い戻し・バーン
    2) エコシステム構築イベントのサポート
    3) コミュニティギブアウェイや抽選イベントによる還元
  • 流動性提供者への報酬:0.3%
  • 商品開発:0.1%
運動系NFTゲーム「STEPN」の2Q利益が5倍に拡大、GMTバーン第2弾実施へ
「Move to Earn(動いて稼ぐ)」を取り入れた分散型アプリSTEPNは、2022年第2四半期(4-6月)に約168億円の利益を上げたことを報告。前四半期(22年1月〜3月)の約33億円に対して収益規模は約5倍に拡大した。

4. ユーザー規模でソラナNo.1のDEX

出典:solscan

DOOARは22年6月の開設以来、多くのユーザーに利用され続けています。22年8月以降、24時間の取引量は平均して約1800万円(1400万ドル)前後、プロトコルに預けられた総価値(TVL)は約12億円(900万ドル)水準を維持しています。今後、流動性提供機能がユーザーに解放されると、さらに拡大する可能性があります。

出典:FlipSideCrypto

DOOARはローンチ以来、1日平均3,000の新規ユーザーが継続して参入しています。データサイトNansenによると、2022年8月12日現在、DOOARのユニークウォレット数は過去7日間で50万を超え、累計では7,315,033件に上ります。

7月だけでも、1日の平均アクティブスワップ数(DEXを通じてスワップを実行するウォレット数) は50,000を超えており、ソラナエコシステム全体の1日のDEXアクティビティの約50%を占めました。

出典:Dune @twocrows

「STEPN」のDEX、ソラナ上で利用者数1位に
「Move to Earn」NFTゲームSTEPNが展開する独自DEXのデイリーユーザー数が約77,000人に達した。ソラナを基盤とするDEXとしては、最大(第1位)の日間利用者数となる。

5. 今後の展望

最後に、DOOARの今後の展望についてご紹介します。

DOOARの最終的な目標は、すべてのスワップニーズに対応するワンストップ・プラットフォームになることです。現在、DOOARはソラナ(SOL)、イーサリアム(ETH)、BNBチェーン(BNB)で個別に稼働している「マルチチェーンDEX」です。

今後は「クロスチェーン」機能用のオープンソースプロトコルを各種実装する目論みです。

一般的に「クロスチェーンDEX」は、現在のDEXを結びつける「アグリゲーター」機能で、ブロックチェーン間に跨った資産の交換が実現します。

クロスチェーンDEXは、異なるチェーン上にプールされたGMTやGSTの流動性を十分に活用するために重要です。クロスチェーン機能により、3つのチェーンに分断された流動性が統合され、STEPN経済圏の活性化につながると期待されます。

M2EゲームSTEPN、ゲーム内経済の改善プランを公開
「Move to Earn」分散型ゲームアプリSTEPN(ステップン)は、ゲーム内経済が直面している課題解決に向けて4つのアクションプランを発表した。ソラナ、BNBチェーンに次いで第3のチェーン展開を控える中で、安定化のためのルール作りに取り組みたい。
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
07/20 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、投資会社創設者によるETH1万ドル到達予測やXRPの最高値更新など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナなど主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
ビットコイン1800万円目前で揉み合い、米規制緩和進展が下値支え|bitbankアナリスト寄稿
ビットコイン(BTC)対円相場が1800万円を窺う展開。史上最高値更新後の高値揉み合いが続く中、米下院でのジーニアス法案可決など規制緩和の進展が相場を支援。トランプ政権の仮想通貨政策レポート公表を22日に控え、戦略的ビットコイン備蓄の具体策にも注目。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|トランプ大統領による米初の仮想通貨包括規制法署名に高い関心
今週は、ビットコインの価格予想、古参ビットコイン大口保有者の動向、トランプ大統領による米初の仮想通貨包括規制法への署名に関する記事が最も関心を集めた。
07/19 土曜日
13:50
トランプ一族関連のWLFI、4.5億円分のイーサリアムを追加購入 総額370億円超に
ワールド・リバティ・フィナンシャルが861ETHを新規購入し、総保有量は70,143ETHに到達。仮想通貨法案可決が追い風に。
13:20
ジャック・ドーシーのブロック社、S&P500指数に追加へ
ジャック・ドーシー率いるブロック社がS&P 500指数に追加される。株価は時間外取引で10%以上上昇した。同社は米国製の新ビットコインマイニングチップを年内発売予定だ。
11:30
ピーター・ティール支援の仮想通貨取引所ブリッシュがIPO申請=CNBC
元NYSE社長トム・ファーレイ率いるブリッシュが証券取引委員会にIPOを申請。コインデスク買収実績を持つ同社の上場計画と業界動向を報告。
11:02
著名アナリストが分析、「ビットコインからイーサリアムへ資金移動、アルトシーズンの兆し」
ウィリー・ウー氏らがアルトシーズン開始を予測。仮想通貨ビットコインからイーサリアムへの資金ローテーションが本格化し、アルトコイン市場の上昇環境が形成。
10:05
JBA、暗号資産アンケート 分離課税20%導入の場合84%が投資増額意向
日本ブロックチェーン協会が暗号資産税制アンケート結果を公表した。保有者の84%が分離課税20%で投資増額すると回答した。また、10人に1人以上が暗号資産を保有などの結果も出た。
08:50
仮想通貨全面高の一週間、米下院クリプトウィーク振り返りと今後の見通し|仮想NISHI
今週の仮想通貨市場は、米下院で開催された「仮想通貨週間」において、ビットコインが史上最高値となる12万ドルを超える展開となった。アルトコイン市場においても大幅な上昇が見られた。
08:30
リップル発行のRLUSD、ブルーチップから最高評価獲得
独立の格付け機関ブルーチップがリップルのRLUSDステーブルコインにA評価を付与。BNYメロンでの準備金管理と堅牢なコンプライアンス体制などが評価された。
07:30
「米SECはトークン化の規制例外措置を検討中」アトキンス委員長
米SECのアトキンス委員長が、SECは証券のトークン化における規制の例外措置を検討していると明かした。RWAのトークン化は仮想通貨・ブロックチェーン領域で大きなトレンドになっている。
07:00
「保有していれば国家債務削減できたか」ブルガリア政府が2018年に手放した21万ビットコインの現在価値
ブルガリア政府が2018年に売却した21万3500BTCの仮想通貨ビットコインの現在価値は250億ドル超。同国債務の約8割に相当する巨額損失として話題に。
06:20
米上場ビットデジタル、イーサリアム保有量12万ETHに拡大
米ナスダック上場のビットデジタル社が18日、6730万ドルの資金調達で19683ETHの仮想通貨イーサリアムを追加購入。総保有量は120,306ETHで、時価4.24億ドルに拡大。
05:40
トランプ大統領がステーブルコイン法案に署名、米初の仮想通貨包括規制法が成立
トランプ大統領が19日、ステーブルコイン規制枠組みを定めるGENIUS法案に署名し米初の仮想通貨包括規制法が成立。2500億ドル規模のステーブルコイン市場に明確な規制導入。
07/18 金曜日
17:36
JBA、仮想通貨の税制改正「5項目」提言 申告分離課税20%など
日本ブロックチェーン協会が7月18日、暗号資産の税制改正要望書を政府に提出。最大55%の総合課税から20%分離課税への移行、損失繰越控除、暗号資産同士の交換非課税など5項目を要望。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧