はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

NFTの知的財産権は誰のものか=Galaxy Digitalリサーチ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

NFTと知的財産権

米大手仮想通貨投資企業Galaxy Digitalのリサーチ部門は、「多くのNFTプロジェクトが他の誰も所有できない、唯一無二のデジタルコレクティブルを販売する」と掲げるが、それは適切ではないと指摘した。

NFTの所有権を得るには、NFTの知的財産権(IP)を譲渡する必要があるとして、IP権を購入者に適切に譲渡するフレームワークが欠如していると、既存のNFT市場を批判した。

18日に発行された「NFTライセンスに関する調査レポート」によると、市場で人気を博しているNFTコレクションの多くは、知的財産権を保持するアートの“ライセンス”をユーザーに供与しているに過ぎない。発行側プロジェクトが知的財産を第三者に売却したり買収された場合などに、ライセンスの内容が一方的に書き換えられる恐れがある。

Galaxy Digitalは、こうした業態はビッグテックに依存する従来のインターネットと変わらず、産業の発展を妨げるとしてユーザーがデータを所有するWeb3型の枠組みの必要性を強調している。

NFTがオンラインで、メタバースを超えて、商業目的で広く利用されるようになるには、知的財産権の譲渡と移転のための、より耐久性のある枠組みが採用されなければならない。

非中央集権的なメタバースには知的財産権が必要だ。もしこれらの問題に今対処しなければ、想定される分散型メタバースは、Meta(Facebook)のようなWeb2の巨人によって構築されているものと実質的に変わらなくなるだろう。

関連:ryptoPunks所有者権利が強まる可能性 新IPライセンス規約で

NFT保有者の錯覚

レポートによれば、NFT(非代替性トークン)の購入者の多くがNFTを購入するとそのNFTが指し示すコンテンツを所有できると信じている(または信じ込まされている)。しかし、トップクラスのNFTコレクションを発行する大半のプロジェクトは実際にはNFTというトークン保有者に、所有権を与えていないと主張する。

Galaxy Digitalは、このような矛盾がユーザーが知的財産権やデジタル著作権に関する複雑な法的論拠に無知であるために生じていると指摘。また、大手のYuga Labsを含む多くのNFT発行体が、コンテンツ(アートワーク、メディアなど)の知的財産権についてユーザーに誤解を与えていると述べた。

レポートによれば、NFTを買う時にユーザーが実際に取得するものは以下の2つである。

  • ERC-721標準(イーサリアムの場合)に準拠したデジタル・トークン。トークンIDとコントラクトアドレスなど、ブロックチェーンに保存された特定のメタデータを含む。メタデータは画像ではなく、AWSやIPFSのようなオフチェーンに保存された画像の場所を指定する情報。

    出典:Galaxy Digital

  • ライセンス:画像を作成したNFTプロジェクトがNFTの所有者に発行するもの。NFTが指す画像を表示する権利を所有者に付与する。

続けて、Galaxy Digitalは時価総額トップのNFTコレクションを分析して、ライセンス形態を以下4つに分類した。

  • 商業的権利:購入者がアートワークを自由に収益化でき、上限はない。代表例はBAYC、Azuki。
  • 限定的商業権:購入者がアートワークを収益化できるが制約や上限がある。代表例はDoodles、CryptoKitties。
  • 個人使用のみ:アートワークを収益化できない。展示権利も制限される。代表例はNBA TopShots、TIMEPieces。
  • クリエイティブ・コモンズ(CC0):いかなる権利も保有しない。

いずれにせよ、結局は知的所有権(IP)が著作権者(発行プロジェクト)に紐づくため、その内容は一方的に書き換えられる可能性があるという。実際に、Yuga Labsは8月15日にCryptoPunksとMeebitsコレクションに関する新しいライセンス契約を発表した。

関連:CryptoPunks、NFT保有者に商権ライセンスを付与へ

また、著作権者が権利を放棄して使用に関する制限が一切ない「クリエイティブ・コモンズ(CC0)」もあるが、これはNFT所有者の所有権も放棄される。つまり、NFTを保有していない人が勝手なことをしても、止めることができない欠点がある。

Web3スタートアップProofは時価総額8位のNFTプロジェクト「Moonbirds」を当初、「IPはユーザーのもの」と規定していたが、ライセンスをクリエイティブ・コモンズ(CC0)に変更して不満を買った。

関連:Yuga Labs、NFTコレクション「Meebits」にロイヤリティ手数料を設置

NFTに欠如している所有権

このように、NFTの性質は特定の画像を指すトークンとそれに紐づくライセンスで構成される。NFT所有者にその画像に関する直接の所有権はない。所有権を得るには、画像の所有者(著作権者)とNFT保有者の間で、画像に関するNFT保有者の権利を規定する別の“法的契約書”が必要になる。

現実世界では、ほとんどの著作権譲渡は「IP譲渡契約」によって実施され、これはLarva LabsがCryptoPunksやMeeBitsのIPをYuga Labsに売却した際に締結されたものだ。同じものはNFTマーケットプレイス上で表現されていない。

例えば、「World of Women」NFTコレクションは唯一、トップ25のNFTコレクションの中でIPの全権利をNFT所有者に譲渡することを試みている。しかし、IP譲渡契約が二次流通のマーケットプレイスで下流販売まで引き継がれるかどうかは明確にされていない。

多くの場合、BAYCのようなレアなNFTコレクションを保有しているつもりでも、そのレアリティの実質的な所有者は「NFTを購入者ではなくNFTの発行者(NFTプロジェクト)」だ。ライセンスの種類にかかわらず、著作権がない限り所有権は無いとGalaxyは主張した。

コレクションの希少性を真に所有するためには、ライセンス権を持つデジタルトークンを所有するだけでは不十分だ。ライセンスはいつでも変更できるもの。著作権がなければ、自分のNFTに関連するアートを他人が表示するのを防ぐことさえできない。著作権者がライセンス条項で明示的に別段の定めをしない限り、著作権者だけがその権限を持っている。

関連:BAYC、NFTコレクション「CryptoPunks」の知的財産権を取得

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/12 金曜日
16:19
ソラナ公式が「XRP登場」を発表 wXRPが同日ローンチ
ソラナ公式が12日、XRP統合を発表。ヘックス・トラストもwXRPのソラナローンチを同日発表し、1億ドル超のTVLを確保。レイヤーゼロ技術を活用したクロスチェーン機能で、ソラナDeFiでのXRP利用が実現へ。
15:10
Animoca Brands Japan、ビットコイン分散型金融「Solv Protocol」とMOU締結
アニモカジャパンはSolv ProtocolとMOUを締結し、企業のビットコイン保有・運用を支援するDAT領域で協力を拡大。BTCFi活用による財務戦略の高度化を目指す。
14:57
米CFTC、ポリマーケットなど4社にデータ規制で柔軟対応
米CFTCが予測市場運営4社にノーアクションレターを発行し、特定の記録保管要件を免除。業界全体の取引高は2025年1-10月で279億ドル(約4兆2000億円)に達し、急成長が続いている。
13:55
コインベース、予測市場とトークン化株式ローンチ予定=ブルームバーグ
米最大手仮想通貨取引所コインベースが12月17日に予測市場とトークン化株式を発表予定。ジェミニのCFTCライセンス取得やDTCCのトークン化承認など、業界の競争激化と規制進展が加速している。
13:20
テラフォームラボのド・クォン創業者に懲役15年の判決 ステーブルコインUST崩壊背景に
テラフォームラボのド・クォン創業者に米国地裁で懲役15年の判決。2022年のアルゴリズム型ステーブルコインUST崩壊により数兆円の被害をもたらしていた。
13:10
YouTube、クリエイター報酬でペイパルのステーブルコイン支払いに対応
フォーチューン誌によると、ユーチューブが動画プラットフォームのクリエイターに対し、ペイパルのステーブルコインPYUSDでの報酬受け取りを選択できるようにした。現在は米国ユーザーのみに適用される。
11:53
ビットコイン9万ドル割れから反発、売り圧力後退も流入資金は半減
12日の暗号資産市場でビットコイン(BTC)はFOMC後に一時9万ドルを割り込んだが米国時間にかけて反発した。ただアナリストは売り圧力減少による反発と指摘し、ステーブルコイン流入が8月比50%減の760億ドルまで縮小した。新たな流動性回復まで上昇は限定的で、週足9万3000ドル確保が強気継続の条件に。
11:35
コインベース、ソラナ系トークンの直接取引を開始 上場審査不要で即時売買
米仮想通貨取引所大手コインベースが、アプリ内でソラナ系トークンをDEX経由で直接取引できる新機能を発表。従来の上場審査なしで数百万種類のトークンに即座にアクセス可能。1.2億ユーザーに順次展開予定。
11:04
国税庁が調査結果を発表、暗号資産取引の追徴税額46億円に
国税庁が令和6事務年度の調査結果を公表。暗号資産取引に対する追徴税額は46億円で前年比31%増、1件当たり745万円と全体平均の2.5倍に。政府は分離課税導入に向け調整を進めている。
10:02
米上院銀行委員会長、仮想通貨「クラリティ法案」で銀行幹部らと協議
米上院銀行委員長がビットコインなど仮想通貨の市場構造を定める法案で銀行業界と協議し、進展があったと報告した。ステーブルコイン利回りやDeFiが法案の争点となっている。
09:49
米CFTC、仮想通貨取引の引き渡し規則を撤廃 規制緩和へ
米CFTCが仮想通貨の「現物引き渡し」に関する2020年ガイダンスを撤回。ファム委員長代行は「時代遅れで過度に複雑」と指摘し、規制簡素化へ。12月には現物取引承認やパイロットプログラム開始など、トランプ政権下で仮想通貨規制の整備が加速。
09:35
コインベース、ラップドトークン向けにチェーンリンクのクロスチェーン技術を採用
仮想通貨取引所コインベースはチェーンリンクのクロスチェーン技術を採用。ビットコインのcbBTCやイーサリアムのcbETHなどラップドトークンの送金に活用する。
09:25
米決済機関DTCCがトークン化サービス開始へ、SECから許可
米預託信託決済機構DTCCの子会社DTCがSECから無措置書簡を取得し、DTC管理下の実世界資産をトークン化する新サービスの提供が承認された。2026年後半にサービス展開を開始する予定だ。
08:20
ビットコイン、年末サンタ・ラリーの可能性低下 FRB利下げ後=アナリスト分析
FRBが25ベーシスポイントの利下げを実施した後、ビットコインが約9万ドルまで下落した。アナリストは年末のサンタ・ラリーが起こりにくいと分析しており、強気の確信は2026年初頭に先送りされている。
07:35
ステート・ストリートとギャラクシー、トークン化キャッシュ運用ファンドをローンチへ
ステート・ストリートとギャラクシーは、トークン化したキャッシュ運用ファンドのローンチ計画を発表。まずは仮想通貨ソラナのブロックチェーンに対応し、将来的にはステラやイーサリアムなどにも拡大するとした。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧