CoinPostで今最も読まれています

仮想通貨が「証券」に該当するかを判定するHowey(ハウェイ)テストとは

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

Howeyテストとは
特定の取引が「投資契約」という証券取引の定義の一つに該当するかどうかを判定するテスト。1946年のHowey社訴訟事件の際に裁判所が「投資契約」の判断基準として定めた。いくつかのICOプロジェクトがこのテストスコアを計算して、トークンの「証券性」を検証している。

▶️CoinPost:仮想通貨用語集

SECとは
米証券取引委員会(SEC)は、インサイダー取引や相場操縦など不公正取引に対する「処分権限」を有しており、司法に準じる権限を持った強力な独立機関である。

▶️CoinPost:仮想通貨用語集

目次
  1. はじめに
  2. Howeyテストとは?
  3. ブロックチェーントークンに関するHoweyテストの詳細解説
  4. まとめ

はじめに

「証券」というと、まず株式や投資信託をイメージしますが、実際には様々な形態の金融資産が証券に該当します。

近年は、仮想通貨もこの「証券」に該当するかどうかについて多くの議論がなされています。

仮想通貨が「証券に該当する」と判断された場合、その通貨を発行するには政府の承認が必要になり、自由な発行が困難になります。

このことは、運営者や投資家が証券のルールに従わなければならないというデメリットがある一方で、規制によって投資家が保護されるというメリットもあります。

いずれにせよ、仮想通貨の市況に影響を与える重要事項であることに違いありません。

Howeyテストとは?

どのような金融資産が証券に該当するかを判断する規定の一つに「Howeyテスト」があります。

Howeyテストとは、特定の取引が「投資契約」という証券取引の定義の一つに該当するかどうかを判定するテストです。

このテストは、SECのW. J. Howey社に対する訴訟事件に由来しています。

米国で果汁園を経営していたHowey社の土地のリースバックを「投資契約」と見なしたSECは、Howey社に差し止め命令を出しました。

そして、この取引が「投資契約」に該当するかを最高裁判所が見極める基準として初めて導入されたものが後のHoweyテストとなりました。

ただし、このテストはあくまでも一つの判断基準として用いるものであり、このテスト結果が必ずしも適用されるわけではありません。

ブロックチェーントークンに関するHoweyテストの詳細解説

Howeyテストには、特定のブロックチェーントークンが「証券」であるかどうかを判定するテストもあり、いくつかのICOプロジェクトはこのテスト結果を公表しています。

このテストにおける「投資契約」は、次の3つの要素から成り立っています。

  • 資金を集めているか
  • 共同事業であるか
  • 収益性があるか

このテストでは、ブロックチェーントークンがそれぞれの要素にどれだけ当てはまっているかを数値化し、トークンが証券であるかどうかを判定します。

以下では、Howeyテストの得点がどのように決定するのかを解説します。

「要素1. 資金を集めているか」の得点計算

Q1. 新規発行トークンが有料で販売されるか?

  • Q1. 新規発行トークンが有料で販売されるか?
  • →YES(トークンセールなど)…100pt
  • →NO(マイニング、エアドロップなど)…0pt

法定通貨や(ビットコイン、イーサリアムなどの)仮想通貨を通じて新規トークンを販売している場合、このトークンには「出資がある」と判断されます。

一方、トークンが無料配布されたり、マイニングをする必要がある場合、そのトークンには「出資がない」と判定されます。

Q1の得点が、「要素1. 資金を集めているか」の得点になります。

「要素2. 共同事業であるか」の得点計算

Q2. トークンセールのタイミングはいつか?

  • Q2. トークンセールのタイミングはいつか?
  • →ネットワーク配備前…70pt
  • →ネットワークテスト時…60pt
  • →ネットワーク稼働時…50pt
  • →トークンセールが行われない…0pt

トークンセールが行われる場合、トークンセール時にどのくらいネットワークの開発が進んでいるかが重要になります。

例えば、トークンセール時にまだネットワークが配備されていない場合、トークン購入者は即座にネットワークに参加できず、ネットワークの開発者に完全に依存することになります。

従って、このようなケースでは、トークンがより「証券」の性質を持つことになります。

一方、トークンセール時にネットワークが完成している場合、トークン保有者の依存度は弱くなります。

Q3. トークン保有者が利益を得るために何をする必要があるか?

  • Q3. トークン保有者が利益を得るために何をする必要があるか?
  • →いかなる行動をせずとも利益が均等に配分される…25pt
  • →作業によって得られる利益が変わる…マイナス20pt

トークン保有者が何らかの行動をせずとも、ネットワークの利益が平等に(またはトークン保有量に応じて)配分される時、このトークンは「証券」の性質を持ちます。

一方、トークン保有者の努力によって利益の配分量が大きく変わる場合、このトークンの証券性は弱いです。

Q2とQ3のスコアの合計が、「要素2. 共同事業であるか」の得点になります。

「要素3. 収益性があるか」の得点計算

Q4. トークンがどのような機能を持つか?

  • Q4. トークンがどのような機能を持つか?
  • →従来の証券投資家としての権利が与えられている…100pt
  • →トークン保有者が債権者となっている…100pt
  • →ネットワーク上での機能を持たない…100pt
  • →トークン保有者だけが利用可能な機能を持つ…0pt

トークン保有者に証券保有者と同様の機能が与えられている場合、そのトークンは「証券」と定義されます。

また、トークン自体に機能が一切ない場合、そのトークンは投機目的で利用される可能性が高いため、「証券」の性質が当てはまります。

一方、トークン保有者がトークンから機能的恩恵を受けられる場合、「証券」の性質は弱いです。

Q5. トークンの利益がブロックチェーン外での行動に依存しているか?

  • Q5. トークンの利益がブロックチェーン外での行動に依存しているか?
  • →YES(トークン価値がブロックチェーン外の第三者の信頼度に依存)…80pt
  • →NO(トークンの価値が第三者の努力にあまり依存しない)…0pt

トークン内に全ての機能が含まれていて、ネットワークがプログラムに基づいて動く場合、このようなネットワークは第三者に依存しにくいものになります。

一方、ネットワークを運営するために、第三者の行動が必要不可欠であるような場合、そのトークンの価値は第三者の信頼度に依存することになります。

このようなトークンは、投機による買いが起こりやすく、「証券」の性質があります。

Q6. トークンセールのタイミングはいつか?

  • Q6. トークンセールのタイミングはいつか?
  • →ネットワーク配備前..20pt
  • →ネットワークテスト時…10pt
  • →ネットワーク稼働時…0pt
  • →トークンセールが行われない…0pt

この質問はQ2の得点配分をスライドさせたものになります。

Q7. トークン保有者は決定権を持つか?

  • Q7. トークン保有者は決定権を持つか?
  • →YES(開発者チームの資金利用に対して決定権を持つ)…マイナス20pt
  • →YES(ネットワークの重要な決定に対して決定権を持つ)…マイナス10pt
  • →NO(第三者の意思決定によってネットワークが運営される)…0pt

ネットワーク上の重要な意思決定の権利がトークン保有者に十分に与えられている場合、第三者の意思決定への依存度は弱まります。

ただし、トークン保有者の意思決定は、プログラムされた投票によるものである必要があります。

Q8. トークンの収益性を強調しているか?

  • Q8. トークンの収益性を強調しているか?
  • →YES(「ICO」「投資」などの用語が含まれている)…50pt
  • →NO(ネットワークのアクセス権としてトークンを販売する)…0pt
  • →NO(トークン保有者が利益を得られる可能性はない)…マイナス100pt

トークンセール時などに、収益性を謳っているトークンは「証券」の性質が強くなります。

トークンセールの広告などに「ICO」や「リターン」という言葉がある場合、そのトークンは「収益性を謳っている」と考えられます。

一方、トークンの利用目的がネットワークへのアクセス権である場合、「証券」の性質は弱いと言えます。

Q4~Q8のスコアの合計が、「要素2. 共同事業であるか」の得点になります。

要素1,2,3の最小値を最終得点とする

最後に、要素1,2,3のスコアのうち、最小のスコアを総合得点として採用します。

下記の得点表に基づいて、トークンがどれくらい「証券」に類似しているかを判定できます。

  • 0pt以下…全く類似していない
  • 1~33pt…類似していない
  • 34~66pt…どちらとも言えない
  • 67~99pt…類似している
  • 100pt以上…かなり類似している

まとめ

Howeyテストでは、数値化したスコアに基づいて、ブロックチェーントークンが「証券」であるかどうかを判定できるという利点があります。

ただし、このテストの結果はあくまでも目安であり、必ずしも裁判所の判断と一致するとは限らないことに注意する必要があります。

しかしながら、いくつかのICOは実際にHoweyテストのスコアを公表しており、トークンの証券性を判断する有効な基準になっていることには違いありません。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
09/20 金曜日
07:15
キヨサキ氏「米利下げで金・銀・BTCの価格は上昇へ」
『金持ち父さん 貧乏父さん』の著者ロバート・キヨサキ氏は、米FOMCの会合に合わせ、ゴールド、シルバー、仮想通貨ビットコインの価格が上昇しようとしているとXで予想。改めて購入を呼びかけている。
06:45
ドイツ政府、47の仮想通貨取引所を閉鎖 マネロン違反で
ドイツ警察当局は、マネーロンダリングを含む犯罪行為に関連しているとされる47もの仮想通貨取引所を閉鎖したことを19日に発表した。
06:15
ソラナの猫系ミームコイン「MEW」、韓国アップビットへ上場 価格高騰
韓国仮想通貨取引所大手アップビット(Upbit)は19日、仮想通貨ミームコイン「MEW」を新規上場した。
09/19 木曜日
17:48
「SECの仮想通貨規制は市場混乱を招く」米下院公聴会で厳しい批判
米国下院金融サービス委員会の公聴会で、証券取引委員会は「仮想通貨市場に更なる混乱と不確実性をもたらした」として、厳しく批判された。元SEC委員の証言では、議会主導の包括的な規制枠組みの必要性が強調された。
17:39
ゼロ知識証明の利点と課題:汎用性の高さと多彩なユースケース|WebX2024
WebX2024で業界トップの専門家が、ゼロ知識証明の可能性について語った。スケーラビリティ、プライバシー、セキュリティの向上から、AIや金融分野での革新的応用までの幅広いトピックで意見を交換した。
14:30
テザー社、これまでに不正ウォレット凍結で160億円を回収 市場シェアは75%に到達
テザー社が不正資金対策の成果を報告。世界180の当局と協力し、1,850以上のウォレットを凍結。USDTの市場シェアは75%に拡大。
14:08
FOMC後に上昇加速したビットコイン相場をプロが解説|寄稿:仮想NISHI
米連邦公開市場委員会(FOMC)後に上昇した暗号資産(仮想通貨)相場の今後の展望は? ビットコイン相場とデリバティブの最新データについて、SBI VCトレードのアナリスト「仮想NISHI」が解説した。
13:20
ソラナスマホ「チャプター2」、「Solana Seeker」へと改名 Helium無料サービスなど搭載
ソラナラボ傘下のスマホ子会社「Solana Mobile」は19日、二代目のスマートフォン「チャプター2」を「Solana Seeker(ソラナシーカー)」へとリブランディングしたことを発表した。
12:55
Bitgetら2社、TONへの42億円の投資を発表
TONエコシステムの発展を支援することを目的に、BitgetとForesight Venturesが42億円の投資を発表。仮想通貨TONを大口保有者から入手することで投資を行うという。
11:20
三菱商事のDREAMが推進する不動産投資、トークン化されたSTファンドの新たな展開
ダイヤモンド・リアルティ・マネジメント株式会社、みずほリース株式会社、およびエムエル・エステート株式会社は18日に、適格機関投資家向け不動産STOファンドを組成した。
09:45
米SEC、仮想通貨DeFiプラットフォームRari Capitalと和解
SECがRari Capitalの利回りサービスの問題点を告発・和解。未登録ブローカー活動や誤解を招く宣伝などで和解に至った経緯を解説。
08:25
米FRB、0.5ポイントの大幅利下げを決定
米FRBはFOMCの会合で0.5ポイントの大幅利下げを決定。金融政策の転換がビットコインなどの仮想通貨相場の追い風となるか注目が集まっている。
08:05
米国初、ルイジアナ州政府 ビットコインライトニングに対応 
ビットコインの支払いの仕組みについては、政府間取引のための仮想通貨変換サービス「Bead Pay」によって米ドルに変換される。政府としては、ビットコインを直接保有したりしない。
06:55
トランプ氏、ニューヨークのバーで初めてのビットコイン決済
米国のドナルド・トランプ前大統領は18日、大統領選に向けたキャンペーンで、ニューヨーク市のバー「PubKey Bar」を訪問し仮想通貨ビットコインを使ってチーズバーガーを購入した。
06:20
仮想通貨ALEOとZETA、コインベースへ新規上場 価格高騰
仮想通貨取引所大手のコインベースは19日、2銘柄の新規上場を発表した。ZETAは価格が高騰している。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
重要指標
一覧
新着指標
一覧