ゲーマーとメタバース
米マイクロソフトのゲーム部門CEOで、Xbox事業を統括するフィル・スペンサー氏はブルームバーグのインタビューで、メタバースとP2Eゲームに対する自身の考えを語った。
Ready to go in the wayback machine? Microsoft Gaming CEO Phil Spencer was manning a computer store's Bulletin Board Service in the 80s and cruising in a Ford Pinto. More on his journey from Microsoft intern to gaming CEO on Studio 1.0 with @emilychangtv https://t.co/BciRbGuB6B pic.twitter.com/QHYeuoxTpH
— Bloomberg Technology (@technology) August 25, 2022
ゲーマーの中にはメタバース(仮想空間)を歓迎しない向きもあるのではという質問に対し、同氏はメタバースとは「3Dの共有世界」であり、「ゲーマーはこの30年間、メタバース空間にいた」という解釈を披露。ゲーム空間では、すでにアバターを駆使し、共有された世界の中で、あらゆる場所の誰とでも会話が可能になっているため、今更メタバースと言われても困惑するゲーマーが多いことには驚かないと述べた。
一方、メタバースを事業という観点から見ると、ゲームデザイナーやクリエーターのスキルは非常に重要な意味を持ってくると主張。マイクロソフトのサティア・ナデラCEOがメタバースに強い意欲を見せるのもそのためだと述べた。
メタバースとは
インターネット上に構築された、多人数参加型の3次元仮想現実世界のこと。アバターを使ってゲームや音楽のライブ、オンラインカンファレンスに参加できるなど、様々な領域で活用が期待されている。
▶️仮想通貨用語集
マイクロソフトは今年1月、米ゲーム大手企業アクティビジョン・ブリザードを約9.4兆円(687億ドル)で買収すると発表。同社にとって過去最大規模の買収だが、モバイル分野に強いアクティビジョンを傘下に置くことで、デバイスを跨いだゲーミング事業の成長を加速させることが狙いであり、同時に「メタバースに欠かせない要素」も獲得できると説明した。
ナデラCEOは買収に際し、ゲームは最大かつ最も急成長している娯楽の形態であり、メタバースのプラットフォーム開発において非常に重要な役割を果たすとコメントした。
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P2Eゲームには慎重な姿勢
スペンサー氏は、暗号資産(仮想通貨)関連で注目を集めるP2E(Play to Earn:遊んで稼ぐ)ゲームについて、以下のような理由から、「非常に慎重」な姿勢をとっているという。
P2Eゲームはある種の収益化のために、プレイヤーから労働力を作り出すものだ。
あるプレーヤーが他のプレーヤーのために、単純作業を行い収益を得るという構造は今までのゲームでも存在したが、P2Eではゲーム経済自体にその仕組みを組み込んでしまうとして、同氏は懸念を表した。そして、人気ゲーム「マインクラフト」で、NFT(非代替性トークン)が「搾取的」に使われている状況が生まれていたことに言及。NFTについて懐疑的な見方を示した。
しかし、スペンサー氏は全てのNFTやP2Eゲームを否定しているわけではなく、新しいテクノロジーを「実際にプレイヤーが使う状況では、興味深い事例が生まれる可能性がある」と述べた。